AVATAR

アバター　AVATAR

作曲・指揮：ジェームズ・ホーナー
Composed and Conducted by JAMES HORNER

（米Atlantic / 521681-2）

このCD（輸入盤）を購入する

このCD（日本盤）を購入する

2009年製作のアメリカ映画。監督・脚本は「ターミネーター」(1984)「エイリアン2」(1986)「アビス」(1989)「ターミネーター2」(1991)「トゥルーライズ」(1994)「タイタニック」(1997)等のジェームズ・キャメロン。出演はサム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、シガーニー・ウィーヴァー、スティーヴン・ラング、ジョエル・デヴィッド・ムーア、ジョヴァンニ・リビシ、ミシェル・ロドリゲス、ラズ・アロンソ、ウェス・ステュディ、CCH・パウンダー、ディリープ・ラオ、マット・ジェラルド、ショーン・アンソニー・モーラン、ジェイソン・ホワイト、スコット・ローレンス他。撮影はマウロ・フィオーレ。ジェームズ・キャメロン監督の12年ぶりの新作で、自ら開発に関わった3D技術を駆使して製作したSF大作。戦場での負傷で下半身不随となり車椅子生活を余儀なくされている元海兵隊員のジェイク・サリー（ワーシントン）は、地球から遥か彼方の衛星パンドラで希少な鉱物を採掘する事業にスカウトされる。ジェイクは、パンドラの先住民ナヴィと人間のDNAを掛け合わせた肉体“アバター”に意識をリンクさせ、遠隔操縦によりパンドラで生活することでナヴィ族との交流を図る任務を与えられる。アバターを介して身体の自由を得たジェイクは、パンドラの森へと足を踏み入れ、ナヴィ族のネイティリ（サルダナ）と出会うが……。ストーリー自体は「ダンス・ウィズ・ウルブズ」(1990)等とよく似ており、さほどオリジナリティはないが、3D映像の臨場感が圧倒的（“飛び出す”3Dではなく、奥行きを表現した3D）。キャメロン監督の前作「タイタニック」(1997)が約1年半かけて達成した全世界興収記録18億4287万ドルを公開からわずか39日間で塗り替え、1月31日にハリウッド映画史上初となる全世界興収20億ドルを突破、2月10日時点で22億1000万ドル(約1989億円)を超える興行収入を稼ぎ出している。日本でも洋画歴代1位（興収262億円）の「タイタニック」が82日間で達成した興収100億円を50日間で突破。2009年度アカデミー賞の9部門（作品賞、監督賞、撮影賞、作曲賞、美術賞、視覚効果賞、音響賞(編集)、音響賞(調整)、編集賞）にノミネートされている他、2009年度ゴールデン・グローブの音楽賞、歌曲賞にノミネートされ、同作品賞(ドラマ)、監督賞を受賞、2009年度放送映画批評家協会賞の作品賞、監督賞、メイクアップ賞にノミネートされ、同撮影賞、編集賞、美術賞、視覚効果賞、音響賞、アクション映画賞を受賞している。

音楽はジェームズ・キャメロン監督と「エイリアン2」(1986)「タイタニック」(1997／アカデミー賞の音楽賞と主題歌賞を受賞)でも組んでいるジェームズ・ホーナー。「"You Don't Dream in Cryo...."」は、パーカッシヴなイントロから女声ヴォーカルを加えた幻想的な主題、ストイックでドラマティックな主題へと展開する。「Jake Enters His Avatar World」は、ストイックな主題からエスニックなタッチのサスペンス音楽へ展開。「Pure Spirits of the Forest」は、幻想的なタッチから重厚なサスペンス音楽へ。「The Bioluminescence of the Night」は、メインの主題である「I See You」のバリエーション。「Becoming One of "The People", Becoming One with Neytiri」は、ボーイソプラノによるメインの主題。「Climbing Up "Iknimaya - The Path to Heaven"」は、オーケストラとコーラスによるエスニックなタッチの躍動的な曲で、非常に高揚感があるが、エンニオ・モリコーネの作風によく似ているのが難点。「Jake's First Flight」は、コーラスをフィーチャーしたメインの主題のバリエーション。「Scorched Earth」「The Destruction of "Hometree"」は、ダイナミックなサスペンスアクション音楽。「Quaritch」は、躍動的でサスペンスフルな曲。「Shutting Down Grace's Lab」は、ヴォーカルを加えたストイックなタッチの曲。「Gathering All the Na'vi Clans for Battle」は、オーケストラとコーラスによる躍動的でヒロイックな曲。「War」は、オーケストラとコーラスにシンセサイザーを加えた11分以上に及ぶダイナミックなアクション音楽。ラストの「I See You (Theme from Avatar)」は、レオーナ・ルイスのヴォーカルによる主題歌（作曲：ジェームズ・ホーナー、サイモン・フラングレン／作詞：サイモン・フラングレン）。どことなく「タイタニック」の主題歌「My Heart Will Go On」に似ているのはご愛嬌？　上述の通り、ホーナーはこのスコアでアカデミー賞の作曲賞にノミネートされている。
（2010年2月）

James Horner

Soundtrack Reviewに戻る