(未公開)ブラック・サンデー BLACK SUNDAY
作曲・指揮:ジョン・ウィリアムス
Composed and Conducted by JOHN WILLIAMS
(米Film Score Monthly / FSMCD Vol.12 No.19)
1977年製作のアメリカ映画(日本では劇場未公開でビデオ発売済)。監督は「終身犯」(1961)「影なき狙撃者」(1962)「五月の七日間」(1963)「大列車作戦」(1964)「グラン・プリ」(1966)「フィクサー」(1968)「フレンチ・コネクション2」(1975)等のジョン・フランケンハイマー。出演はロバート・ショー、ブルース・ダーン、マルト・ケラー、フリッツ・ウィーヴァー、スティーヴン・キーツ、ベキム・フェーミュ、マイケル・V・ガッツォ、ウィリアム・ダニエルズ、ウォルター・ゴテル、ヴィクター・カンポス、ジョセフ・ロビー、ロバート・ウッスラー、パット・サマーロール、トム・ブルックシアー、クライド草津、他。「羊たちの沈黙」(1990)「ハンニバル」(2001)「レッド・ドラゴン」(2002)「ハンニバル・ライジング」(2007)等のトーマス・ハリスの原作を基に、「麗しのサブリナ」(1954)「成功の甘き香り」(1957)「北北西に進路を取れ」(1959)「ウエスト・サイド物語」(1961)「サウンド・オブ・ミュージック」(1964)「ヒッチコックのファミリー・プロット」(1976)等のアーネスト・レーマン、「ジャッカルの日」(1973)「オデッサ・ファイル」(1974)「対決」(1989)等のケネス・ロスと、「ジャイアンツ」(1956)「テレマークの要塞」(1965)等のアイヴァン・モファットが脚本を執筆。撮影はジョン・A・アロンゾ。製作は「ゴッドファーザー」(1972)「チャイナタウン」(1974)「マラソン マン」(1976)等のロバート・エヴァンス。国際テロ組織“ブラック・セプテンバー”の女テロリスト、ダーリア(ケラー)と、彼らに雇われたヴェトナム帰還兵のランダー(ダーン)は、合衆国大統領を含む8万5千人の観客で埋めつくされたスーパーボウルの競技場上空でテレビ中継用の飛行船を爆破させようと企む。イスラエル特殊部隊モサドのカバコフ少佐(ショー)は、FBI捜査官のコーレイ(ウィーヴァー)と連携してテロリストたちの破壊工作を阻止しようとするが……。ジョン・フランケンハイマー監督のダイナミックで骨太な演出が素晴らしいサスペンス・アクション映画の傑作。執念の鬼と化して全編とにかく走りまくるロバート・ショーのパワーに圧倒される。日本でも1977年夏に劇場公開が予定されていたが、政治的理由から公開中止を余儀なくされた作品(映画館を爆破するとの脅迫が配給会社に入ったと言われている)。
音楽はジョン・ウィリアムスで、彼が「スター・ウォーズ」(1977)「未知との遭遇」(1977)と同年に作曲した傑作サスペンスアクション・スコア。「Beirut」は、メインのテロリストの主題による不吉な曲。続く「Commandos
Arrive」「Commando Raid」は、冒頭のモサド襲撃シーンのビジーでダイナミックなサスペンスアクション音楽。「It Was Good
/ Dahlia Arrives / The Unloading」「The Telephone Man / The Captain Returns」等も、抑制されたサスペンス音楽。「Speed
Boat Chase」は、ハイテンションなアクション音楽。「Nurse Dahlia / Kabakov's Card / The
Hypodermic」「Miami / Dahlia's Call」「Passed」「The Flight Check」等は、メインの主題を織り込んだサスペンス音楽。「Moshevsky's
Dead」「The Test」「The Last Night」等は、不吉なタッチの抑制されたサスペンス音楽。「Preparations」は、ストイックなマーチ調の主題。「Airborne
/ Bomb Passes Stadium」「Farley's Dead」「The Blimp and the Bomb」「The Take Off」等は、メインの主題を織り込んだダイナミックでビジーなアクション音楽で、まさに職人的な上手さ。「Underway」は、ドラマティックなタッチ。「Air
Chase (Part 1)」「Air Chase (Parts 2 and 3) / The Blimp Hits」「The Explosion」は、クライマックスのパワフルでダイナミックなアクション音楽。「End
Title」は、メインの主題のメランコリックなアレンジメントによるエンドタイトル。最後に代替テイクとソース音楽が5曲収録されているが、ラストの「The
Explosion (revised ending) / End Title (film edit)」は、映画で使われたエンディングの音楽で、サスペンスフルなエンドタイトルが素晴らしい。単純なフレーズの執拗な繰り返しで緊張感を盛り上げる手法は、ウィリアムスの傑作「ジョーズ」にも通ずる。これは、ウィリアムスの過去の作品中でも最もサントラ・リリースの希望が多かったスコアの1つで、今回が初アルバム化。必聴盤。10,000枚限定プレス。
(2010年4月)
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