ロボコップ ROBOCOP

作曲:ベーシル・ポールドゥーリス
Composed by BASIL POLEDOURIS

指揮:ハワード・ブレイク、トニー・ブリットン
Conducted by HOWARD BLAKE and TONY BRITTON

演奏:シンフォニア・オブ・ロンドン
Performed by the Sinfonia of London

(米Intrada / Intrada Special Collection Volume 129)

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1987年製作のアメリカ映画。監督は「4番目の男」(1979)「(未公開)グレート・ウォリアーズ/欲望の剣」(1985)「トータル・リコール」(1990)「氷の微笑」(1992)「ショーガール」(1995)「スターシップ・トゥルーパーズ」(1997)「インビジブル」(2000)「ブラックブック」(2006)等のポール・ヴァーホーヴェン。出演はピーター・ウェラー、ナンシー・アレン、ダニエル・オハーリヒー、ロニー・コックス、カートウッド・スミス、ミゲル・ファーラー、ロバート・ドクィ、レイ・ワイズ、フェルトン・ペリー、ポール・マクレーン、ジェシー・D・ゴインズ、デル・ザモラ、カルヴィン・ファン、リック・リーバーマン、リー・デ・ブロー、マーク・カールトン、エドワード・エドワーズ、リーザ・ギボンズ、マリオ・マチャド他。脚本はエドワード・ニューマイヤーとマイケル・マイナー。撮影はヨスト・ヴァカーノとソル・ネグリン。ロボコップの造形と特殊メイクは「遊星からの物体X」(1982)「トワイライトゾーン/超次元の体験」(1983)「ミッション:インポッシブル」(1996)等のロブ・ボッティン。ストップモーションアニメを含むVFXはフィル・ティペット。市警察の経営が民間企業のOCP(オムニ・コンシューマー・プロダクツ)社に委託されている近未来のデトロイトを舞台に、凶悪犯クラレンス・ボディッカー(スミス)一味に惨殺された地元警官のアレックス・マーフィ(ウェラー)が、OCP社の開発したサイボーグ警官“ロボコップ”となって蘇り、犯罪者たちに立ち向かう。オランダで生まれ第二次大戦での残虐な暴力を間近に見て育ったポール・ヴァーホーヴェン監督(1938〜)が、強烈なヴァイオレンス描写とブラックでシニカルなユーモアで演出したSFアクションの傑作。当初マーフィ役には「トータル・リコール」「スターシップ・トゥルーパーズ」等に出演しているマイケル・アイアンサイドがキャストされていたが、ロボコップのスーツを着るには大柄すぎたために、スリムなピーター・ウェラーに交替。また、マーフィの相棒アン・ルイス巡査役にはステファニー・ジンバリストが予定されいたが撮影の遅れからスケジュールが合わなくなり、ナンシー・アレンに交替した。1987年度アカデミー賞の音響賞と編集賞にノミネートされ、特別業績賞(音響効果編集)を受賞している。1990年に続編の「ロボコップ2」、1992年に「ロボコップ3」が製作され、その後TVシリーズ化された。日本でのテレビ放映時の日本語吹替キャストはピーター・ウェラー(磯部 勉)、ナンシー・アレン(小宮和枝)、ダニエル・オハーリヒー(納谷悟朗)、ロニー・コックス(中村 正)、カートウッド・スミス(田中信夫)、ミゲル・フェラー(富山 敬)、ロバート・ドクィ(藤本 譲)、レイ・ワイズ(江原正士)、フェルトン・ペリー(秋元羊介)、ポール・マクレーン(千田光男)、ジェシー・D・ゴインズ(石丸博也)、リーザ・ギボンズ(高島雅羅)、マリオ・マチャド(小川真司)他だった。

音楽はポール・ヴァーホーヴェン監督と「(未公開)グレート・ウォリアーズ/欲望の剣」(1985)「スターシップ・トゥルーパーズ」(1997)でも組んでいるベーシル・ポールドゥーリス(1945〜2006)で、これは彼のアクション・スコアの傑作。過去に米Varese Sarabandeレーベルから41分程度を収録したサントラLP/CDが出ており、その後同レーベルから短いCM音楽を追加したCDもリリースされたが、今回米Intradaが出したCDはコンプリートスコア(56分16秒)の初リリース。「Main Title」は、オーケストラとシンセサイザーの組み合わせにより作品の近未来感と暴力性を巧みに表現した短いメインタイトルから、TVニュース番組「メディアブレイク」のテーマ曲へと展開。「Have a Heart」は、人工心臓のCMで流れるジェントルな曲。「O.C.P. Monitors」は、OCP社役員会議でディック・ジョーンズ副社長(コックス)がプレゼンテーションするシーンの荘厳でヒロイックなタッチの曲。「Twirl」は、役員のボブ・モートン(フェラー)たちがエレベーターで降りるシーンのダークな曲。「Van Chase」は、マーフィとルイスがクラレンス一味を追跡するカーチェイス・シーンの重厚でダイナミックなアクション音楽から、後半サスペンス調へ。「Murphy Dies in O.R.」は、クラレンスたちに銃撃されたマーフィが救急病院に運び込まれるシーンのトラジックでドラマティックな音楽。「Robo Lives」は、マーフィがロボコップとして復活するシーンのシンセサイザー主体の曲。「Drive Montage」は、ロボコップが車で初出動するシーンのヒロイックな曲で、ここでメインのマーチの主題が明確に登場する。この曲は今回CDに初収録された。「Helpless Woman」は、ロボコップがレイプされそうになった女性を救出するシーンの、メインの主題を織り込んだ曲。「Nukem」は、一家で楽しむ核戦争シミュレーションゲームのCM音楽。「Murphy's Dream」は、マーフィが悪夢を見るシーンのアブストラクトで不気味な曲。「Gas Station Blow-Up」「Clarence Frags Bob」等は、ストイックなサスペンス音楽。「Murphy Goes Home」は、ロボコップが空き家になったマーフィの自宅に戻るシーンのトラジックで不気味な曲。「Rock Shop」は、ロボコップが麻薬取引現場に乗り込みギャングたちを一網打尽にするシーンのメインの主題によるアクション音楽で、痛快無比。「Robo Drives to Jones」は、サスペンス調から後半はメインの主題のバリエーションへ。「Directive 4」は、ジョーンズが行使した“指令4”によりロボコップが動けなくなるシーンのサスペンス音楽。「Robo & Ed 209 Fight」は、ジョーンズが開発した犯罪対策ロボット“ED-209”とロボコップのバトルシーンのダイナミックなアクション音楽。メカ同士の戦闘を表現したメタリックなサウンドが絶妙。「Force Shoots Robo」は、ロボコップが仲間の警官たちから総攻撃に合うシーンの音楽で、メインの主題のパワフルでドラマティックなアレンジメント。後半は“6000 SUX”自動車のCM音楽。「Big Is Better」は、エレベーター内のライトなソース曲で、映画では未使用。「Care Package」は、最後の戦闘シーンの前にマーフィとルイスが会話するシーンのメランコリックな曲。「Looking for Me」は、メインの主題を織り込んだクライマックスのダイナミックでパワフルなアクション音楽。「Across the Board (End Credits)」は、ロボコップがジョーンズを射殺するエンディングから、メインのマーチを含む様々な主題がメドレーで登場するエンドクレジットへ展開。グラフィックな暴力と激しい怒りを見事に表現したスコアで、ポールドゥーリスのベスト作の1つだろう。必聴盤。3000枚限定プレス。
(2010年5月)

Basil Poledouris

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