(未公開)ドラゴンスレイヤー DRAGONSLAYER

作曲・指揮:アレックス・ノース
Composed and Conducted by ALEX NORTH

演奏:ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団
Performed by the National Philharmonic Orchestra

(米La-La Land Records / LLLCD 1128)

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1981年製作のアメリカ映画(日本では劇場未公開でビデオ発売済)。監督は「続・激突!/カージャック」(1974)「マッカーサー」(1977)「オーケストラ!」(2009)等の脚本や、「コルベット・サマー」(1978)「(未公開)ビリージーンの伝説」(1985)「ニューヨーク東8番街の奇跡」(1987)「ビンゴ!」(1991)等の監督作があるマシュー・ロビンス。出演はピーター・マクニコル、ケイトリン・クラーク、ラルフ・リチャードソン、ジョン・ハラム、ピーター・アイア、アルバート・サルミ、シドニー・ブロムリー、クロエ・サラマン、エムリーズ・ジェームズ、ロジャー・ケンプ、イアン・マクディアミッド、ケン・ショーター、ジェイソン・ホワイト他。脚本はマシュー・ロビンスとハル・バーウッド。撮影はデレク・ヴァンリント。特撮は「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」(1980)「E.T.」(1982)「スター・ウォーズ/ジェダイの復讐」(1983)「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」(1984)「アビス」(1989)「ターミネーター2」(1991)「ジュラシック・パーク」(1993)「宇宙戦争」(2005)等のデニス・ミューレン(ILM)と「(TV)スペース1999」(1975〜1976)「エイリアン」(1979)「ネバーエンディング・ストーリー」(1984)等のブライアン・ジョンソン。ドラゴンの特撮監修はケン・ラルストンフィル・ティペット。中世のヨーロッパ。偉大な老魔法使いウルリク(リチャードソン)の弟子となったゲイレン(マクニコル)は、日夜修行に励んでいた。そんなある日、若者たちがウルリクを訪ねてくる。彼らは自国を守るために凶悪なドラゴンと取引をして処女を生贄として捧げてきたが、この悲劇を終わらせるため、ウルリクにドラゴンを退治してほしいと要請する。ウルリクは渋々ながらドラゴン退治を引き受けるが、その道中で命を落としてしまい、彼の後を継いだゲイレンがドラゴンと対決することになる……。ストップモーション・アニメを進化させた「ゴー・モーション」システム(=コマ撮りの際にモデルを動かして“ぶれ”を記録することで、完成映像のカクカクした動きを解消する手法)を採用したリアルなドラゴンの特撮が当時話題になった作品。1981年度の作曲賞と視覚効果賞(デニス・ミューレン、ブライアン・ジョンソン、ケン・ラルストン、フィル・ティペット)にノミネートされている。

音楽はハリウッドを代表する映画音楽作曲家の1人、アレックス・ノース(1910〜1991)が晩年に手がけた傑作。「Main Title」は、トロンボーンとテューバによる重厚でパワフルなファンファーレからミステリアスなタッチの主題へ展開するメインタイトル。「No Sorcerers - No Dragons」「Maiden's Sacrifice」「The Lance / The Lottery」「Galen's Search for the Amulet」等も、ミステリアスなタッチの曲。「Ulrich's Death and Mourning / The Amulet」「Valerian's Dragon Scales」等は、サスペンス音楽。「Forest Romp」「Burning Village」は、躍動的でノースらしい曲。「Visions and Reflections / Hodge's Death」「The Lair / Landslide」は、抑制されたサスペンス音楽。「Galen Jailed / Galen's Escape」も、サスペンス調から躍動的な主題へ。「Jacopus Blasted」は、ドラマティックな曲。「Still a Virgin」「Dejection / Eclipse / Resurrection of Ulrich」は、ジェントルでリリカルな曲。「Elspeth's Destiny / Tyrian - Galen Fight」は、パーカッシヴなサスペンス音楽。「3 Darling Dragonettes / Triumphant Dragon」は、ダイナミックな曲。「Dragon Sore-ing」は、躍動的なイントロからミステリアスな主題へ。「Destroy That Amulet!」は、サスペンスアクション音楽。「'Tis the Final Conflict」は、躍動的でファンタスティックなタッチのノースらしい独創的な曲。「Intro to End Credits / End Credits」は、ジェントルでリリカルな主題から躍動的で快活なエンドクレジットへ。最後にボーナストラックを3曲収録。アレックス・ノースらしいコンプレックスでカラフルなスコアで、上述の通り、彼はこのスコアでアカデミー賞の作曲賞にノミネートされている。このスコアは過去にオーストラリアのSouthern CrossレーベルからサントラLP/CDが出ていたが、このLa-La LandレーベルのCDは追加曲を収録し、音質を改善した初の公式CDリリース。3000枚限定プレス。
(2010年6月)

Alex North

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