アレックス・ノース
  Alex North

Date of Birth: 1910/12/4
Place of Birth: Chester, Pennsylvania, USA
Date of Death: 1991/9/8
Mini Biography:
North earned scholarships to Philadelphia's Curtis Institute, where he studied piano with George Boyle, and New York's Juilliard School, where he took courses in composition with Bernard Wagenaar from 1929 to 1932. While there he worked nights as a telegrapher, which ruined his health. But his fascination with new Russian music, especially that of Prokofiev, made him interested in going to Russia, where he studied composition on scholarship at the Moscow Conservatory with Anton Weprik and Victor Biely, from 1932 to 1935. He served as music director of the Latvian State Theater, and he would later teach at Bennington, Briarcliffe and Finch colleges in the US. He returned to New York in 1936, where he continued his studies with Aaron Copland and Ernst Toch. He wrote scores in New York for the Federal Theater project, worked as Martha Graham's rehearsal pianist, did ballets for Hanya Holm, and for Anna Sokolow, who left Graham to form her own company. One of his first film scores was for Elia Kazan's documentary short "People of the Cumberland"(1937). The US Army drafted him in 1942 and he ended up writing music for over 25 Office of War Information documentaries like "A Million Children"(1944) and "Library of Congress"(1945). He received a Guggenheim Fellowship in 1947 to write his first symphony, and wrote another one, in 1968, called "Africa — Symphony To A New Continent". But it was his music for theater productions of "Death of a Salesman"(1949) and "The Innocents"(1950) that earned him an invitation to Hollywood to score Kazan's film version of his Broadway production of Tennessee Williams' "A Streetcar Named Desire"(1951). He wrote more than 50 film scores, but despite 15 nominations for Oscars, he didn't return home with a statue until he won the Lifetime Achievement Oscar in 1986. His hit single, Unchained Melody, has been recorded over 500 times by artists ranging from the Righteous Brothers to Elvis Presley, Lee Ann Rimes, Sarah McLachlan, John Lennon, and James Galway.

Official website of Alex North: http://alexnorthmusic.com/

 

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ただし、指揮だけ担当しているCDや、サントラ盤ではないCD等が含まれている場合があります。 


2001年宇宙の旅 2001: A SPACE ODYSSEY

作曲:アレックス・ノース
THE ORIGINAL SCORE Composed by ALEX NORTH

指揮:ヘンリー・ブラント
Conducted by HENRY BRANT

(米Intrada /Intrada Special Collection Volume 38)

1968年製作のアメリカ=イギリス合作映画。製作・監督は「現金に体を張れ」(1956)「突撃」(1957)「スパルタカス」(1960)「ロリータ」(1961)「博士の異常な愛情」(1964)「時計じかけのオレンジ」(1971)「バリー・リンドン」(1975)「シャイニング」(1980)「フルメタル・ジャケット」(1987)「アイズ ワイド シャット」(1999)等のスタンリー・キューブリック。出演はケア・デュリア、ゲイリー・ロックウッド、ウィリアム・シルヴェスター、ダニエル・リクター、レナード・ロシター、マーガレット・タイザック他。アーサー・C・クラークの原作を基にスタンリー・キューブリックとクラークが脚本を執筆。撮影はジェフリー・アンスワースとジョン・オルコット。VFXはダグラス・トランブル。人類の夜明けから月面、そして木星への旅を通し、謎の石版“モノリス”と知的生命体の接触を描くSF映画の不朽の名作。1968年度アカデミー賞の監督賞、脚本賞、美術監督・装置賞にノミネートされ、特殊視覚効果賞を受賞。

アレックス・ノースがこの映画のために作曲したオリジナル・スコアは、1993年にジェリー・ゴールドスミス指揮ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団の演奏によって新録音され、米Varese SarabandeレーベルからCD化されているが、今回米IntradaレーベルがリリースしたCDは、1968年1月にロンドンでノース本人立会いのもとで録音されたオリジナルスコアのモノラル・テープを音源としたもの。冒頭の「The Foraging」は、“人類の夜明け”のシーンの静かなイントロダクション。「The Bluff」は、“月を見るもの(Moon-Watcher)”の種族が、別の類人猿の種族と遭遇するシーンの、躍動的でパーカッシヴな音楽。「Night Terrors」は、類人猿たちが夜の暗闇に怯えるシーンの、アブストラクトで抑制された不吉なタッチの音楽。尚、これら3曲のシーンは、映画の最終版では全く音楽がつけられていない。「Bones」は、類人猿が骨を単なる道具としてではなく武器として使うことを覚えるシーンのダイナミックでヒロイックな音楽。このシーンは最終版ではリヒャルト・シュトラウス作曲の交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」のイントロダクションが使用されており、ノースの音楽もこの曲のスタイルを意識している。「Eat Meat and Kill」は、類人猿が最初の殺人(?)を犯すシーンのパーカッシヴで暴力的な音楽。このシーンも最終版では音楽はない。「Space Station Docking」は、最終版でヨハン・シュトラウスの「美しく青きドナウ」が流れた宇宙船飛行シーンのスコアで、明るく躍動的で快活な音楽。「Space Talk」は、宇宙ステーションに到着したヘイウッド・フロイド博士(シルヴェスター)がテレビ電話で自宅の娘と話すシーンのジェントルな音楽。「Trip to Moon」は、フロイド博士が月面へと旅するシーンの優雅な音楽。「Moon Rocket Bus」は、月面のクレーターでモノリスが発見されるシーンの、コーラスをフィーチャーしたストイックな音楽だが、これはキューブリックが最も嫌悪した曲らしい。「The Foraging(alternate version)」は、冒頭の音楽のダイナミックなタッチの別バージョン。最後にボーナス・トラックとして「Eat Meat and Kill」「Space Station」「Docking」の別テイクが収録されている。ノースらしい実にカラフルでダイナミックなスコア。

アレックス・ノースのスコアがスタンリー・キューブリック監督によって最終的に全て差し替えられた経緯については、様々な記録があるが(新録音盤のレビューご参照)、このCDのジョン・バーリンゲームによる詳細なライナーノーツにも、興味深い記述がある。これによると、キューブリックは当初よりこの映画にクラシック音楽をつけることを考えており、1966年2月に行われたMGMの役員を対象としたプロモ・リール内覧試写では、メンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」とヴォーン・ウィリアムスの「南極交響曲」を使用したり、フランク・プール(ロックウッド)がディスカバリー号の船内をジョギングするシーンにショパンのワルツをつけたりして試行錯誤していたという。また、原作者のアーサー・C・クラークと脚本を執筆していた際には、カルル・オルフの「カルミナ・ブラーナ」を繰り返し聴いており、オルフにオリジナル音楽の作曲を依頼までしたが、当時71歳だったオルフは高齢を理由に断ったらしい。イギリスの作曲家フランク・コーデルが、キューブリックの要請でこの映画のためにマーラーの交響曲第3番の一部を録音したこともあったという。ところが、シネラマ方式による大作映画の上映をイベント化する戦略上、著名な作曲家による一貫したフル・スコアが必須と考えたMGMの役員が、既成音楽を使いたいとするキューブリックのアイデアに反対し、アレックス・ノースに作曲を依頼することになった。1967年12月初旬にオリジナル音楽作曲の依頼を受けたノースは、1968年1月1日からの録音に間に合わせるために不眠不休で作曲し、そのストレスから録音当日は筋肉の痙攣と背中の痛みのために救急車でスタジオまで運ばれ、コントロールルームからオーケストレーターのヘンリー・ブラントが指揮するのを見ることになったという。その後、キューブリックからの連絡は途絶え、4月1日のニューヨークでのスタジオ試写(ワールドプレミア上映ではない)に出席してはじめて、自分の書いたスコアが全て差し替えられていることを知った。後にキューブリックはインタビューで、ノースが作曲したスコアが彼の指定した既成曲によるテンプ・トラックとあまりにも異なっており映画に不適当だった、と語っているが、ヘンリー・ブラントの見解では、キューブリックは最初から自分で選んだクラシックの既成曲を使うつもりで、その使用許諾の権利がクリアできなかったときのバックアップとしてオリジナル音楽をノースに書かせただけだという。尚、このCDはニック・レッドマンがプロデュースしているが、リリースに協力してくれた故ノース夫人(2005年3月没)に捧げた彼のメッセージがなかなか感動的。3000枚限定プレス。

アレックス・ノースが手がけた作品には、
「(未公開)China Strikes Back」(1937)
「(未公開)Heart of Spain」(1937)
「(未公開)The People of the Cumberland」(1937)
「(未公開)A Better Tomorrow」(1945)
「(未公開)Library of Congress」(1945)
「(未公開/TV)Your Show of Shows」(1950)
「(未公開/TV)The Billy Rose Show」(1950)
「(未公開)The 13th Letter」(1951)
「欲望という名の電車(A Streetcar Named Desire)」(1951)
「セールスマンの死(Death of a Salesman)」(1951)
「革命児サパタ(Viva Zapata!)」(1952)
「(未公開)Les Miserables」(1952)
「荒野の襲撃(Pony Soldier)」(1952)
「(未公開)The Member of the Wedding」(1952)
「(未公開)The American Road」(1953)
「(未公開)Go, Man, Go!」(1954)
「デジレ(Desiree)」(1954)
「(未公開)Unchained」(1955)
「スピードに命を賭ける男(The Racers)」(1955)
「(未公開/TV)Gunsmoke」(1955)
「街中の拳銃に狙われる男(Man with the Gun)」(1955)
「バラの刺青(The Rose Tattoo)」(1955)
「明日泣く(I'll Cry Tomorrow)」(1955)
「悪い種子(The Bad Seed)」(1956)
「雨を降らす男(The Rainmaker)」(1956)
「ながれ者(The King and Four Queens)」(1956)
「(未公開)Four Girls in Town」(1957)
「(未公開)独身者のパーティ(The Bachelor Party)」(1957)
「長く熱い夜(The Long, Hot Summer)」(1958)
「女優(Hot Spell)」(1958)
「志願(Stage Struck)」(1958)
「南海の冒険(South Seas Adventure)」(1958)
「(TV)サンセット77(77 Sunset Strip)」(1958)
「悶え(The Sound and the Fury)」(1959)
「(未公開)メキシコの暴れん坊(The Wonderful Country)」(1959)
「スパルタカス(Spartacus)」(1960)
「荒馬と女(The Misfits)」(1961)
「(未公開)サンクチュアリ(Sanctuary)」(1961)
「噂の二人(The Children's Hour)」(1961)
「(未公開)All Fall Down」(1962)
「クレオパトラ(Cleopatra)」(1963)
「シャイアン(Cheyenne Autumn)」(1964)
「暴行(The Outrage)」(1964)
「(未公開/TV)F.D.R.」(1965)
「華麗なる激情(The Agony and the Ecstasy)」(1965)
「バージニア・ウルフなんかこわくない(Who's Afraid of Virginia Woolf?)」(1966)
「(未公開/TV)Africa」(1967)
「コマンド戦略(The Devil's Brigade)」(1968)
「栄光の座(The Shoes of the Fisherman)」(1968)
「殺人美学(Hard Contract)」(1969)
「オリンポスの詩(A Dream of Kings)」(1969)
「ウイラード(Willard)」(1971)
「(TV)灰色のハイウェイ(The Man and the City - Forbidden Knowledge)」(1971)
「(未公開)Pocket Money」(1972)
「(未公開)Once Upon a Scoundrel」(1974)
「(未公開)Shanks」(1974)
「弾丸を噛め(Bite the Bullet)」(1975)
「(TV)怒りの凶弾(Journey Into Fear)」(1975)
「(TV)リッチマン・プアマン/青春の炎(Rich Man, Poor Man)」(1976)
「(未公開)The Passover Plot」(1976)
「シャレード'79(Somebody Killed Her Husband)」(1978)
「(未公開/TV)The Word」(1978)
「(未公開)Wise Blood」(1979)
「(未公開)Carny」(1980)
「(未公開)ドラゴンスレイヤー(Dragonslayer)」(1981)
「(TV)シスター・シスター(Sister, Sister)」(1982)
「火山のもとで(Under the Volcano)」(1984)
「女と男の名誉(Prizzi's Honor)」(1985)
「(TV)セールスマンの死(Death of a Salesman)」(1985)
「ザ・デッド/「ダブリン市民」より(The Dead)」(1987)
「グッドモーニング,ベトナム(Good Morning, Vietnam)」(1987)
「(未公開)John Huston and the Dubliners」(1988)
「(未公開)愛と哀しみの十字架(The Penitent)」(1988)
「(未公開)The Last Butterfly/Posledni motyl」(1991)
がある。
アレックス・ノースは1951年の「欲望という名の電車」「セールスマンの死」、1952年の「革命児サパタ」、1955年の「バラの刺青」「(未公開)Unchained」(歌曲賞)、1956年の「雨を降らす男」、1960年の「スパルタカス」、1963年の「クレオパトラ」、1965年の「華麗なる激情」、1966年の「バージニア・ウルフなんかこわくない」、1968年の「栄光の座」、1974年の「(未公開)Shanks」、1975年の「弾丸を噛め」、1981年の「(未公開)ドラゴンスレイヤー」、1984年の「火山のもとで」でアカデミー賞の劇・喜劇映画音楽賞/作曲賞にノミネートされ、1985年に同賞の名誉賞を(映画音楽作曲家としては初めて)受賞しているほか、1968年の「栄光の座」ではゴールデン・グローブの音楽賞を受賞している。
(2007年3月)

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