風の惑星/スリップストリーム SLIPSTREAM
作曲・指揮:エルマー・バーンステイン
Composed and Conducted by ELMER BERNSTEIN
演奏:ロンドン交響楽団
Performed by the London Symphony Orchestra
(米Perseverance / PRD 039)
1989年製作のイギリス映画。監督は「トロン」(1982)「(未公開)トラブル・バケーション/熱い追跡」(1987)等のスティーヴン・リズバーガー。出演はマーク・ハミル、ボブ・ペック、ビル・パクストン、キティ・オルドリッジ、エレノア・デヴィッド、ロビー・コルトレーン、スーザン・レオング、アルキス・クリティコス、トニー・アレッフ、リッコ・ロス、ジョージ・カミラー、ロシャン・セス、ジェニファー・ヒラリー、ベン・キングスレー、F・マーレイ・エイブラハム他。ビル・バウアーの原案を基にトニー・ケイデンが脚本を執筆。撮影はフランク・タイディ。製作は「スター・ウォーズ」(1977)「ダーククリスタル」(1982)「オズ」(1985)等のゲイリー・カーツ。特殊視覚効果はブライアン・ジョンソン。大規模な環境汚染により文明が滅亡した地球で、人々は荒廃の中から立ち上がり、小さな共同体を作って新たな生活を送っていた。シェリフのウィル・タスカー(ハミル)は同僚のベリツキー(オルドリッジ)と手配中の殺人犯バイロン(ペック)を逮捕するが、護送中にバウンティ・ハンターのマット・オウェンズ(パクストン)によってバイロンを奪い去られてしまう……。
音楽はエルマー・バーンステインが担当しており、ベテランらしいドラマティックでソリッドなオーケストラル・スコアを展開。「Prologue
and Pursuit」は、ダイナミックでパワフルなイントロからビジーなアクション音楽へ。「Escape」は、シンシア・ミラーの演奏によるオンド・マルトノをフィーチャーしたサスペンス音楽で、中盤にウエスタン調のヒロイックでパワフルな主題が登場。「Dreams」も、オンド・マルトノによる幻想的でジェントルな曲。「Lost
Android」は、幻想的なヴォーカルとオンド・マルトノによる主題からダイナミックなアクション音楽へ展開。「Slipstream People」は、ウエスタン調のヒロイックな主題から後半はサスペンス音楽へ。「Avatar」も、幻想的なヴォーカルとオンド・マルトノによるジェントルな主題。「Travel
to Dance」は、オーケストラによるドラマティックで美しい主題から、躍動的な主題、ダイナミックなアクション音楽へと展開。「Sacrifice」は、ビジーでダイナミックなサスペンスアクション音楽。「Museum
Society」は、ジェントルでドラマティックな曲。「Android Love」は、オンド・マルトノによる幻想的でジェントルなラヴテーマ。「Revenge
and Resolution」は、サスペンス音楽からダイナミックなアクション音楽、ヒロイックで躍動的な主題へと展開。クリストファー・パルマーがオーケストレーションを担当し、キース・グラントによりロンドンのアビー・ロード・スタジオで録音されている。公開当時にエルマー・バーンステイン自身が選曲して、シンシア・ミラーのプロデュースによりサントラを出す用意をしていたが、映画の興行成績が芳しくなかったため発売中止になった経緯がある。バーンステインの作品中でもアルバム化の希望が多かったスコアの初CD化で、3000枚限定プレス。
尚、このアルバムはFilm Score
Monthlyレーベルの主宰者ルーカス・ケンドールが「正規にライセンスされていない」と指摘してPerseveranceレーベルのロビン・エスターハマーを非難しており、物議を醸している。
(2011年5月)
Elmer Bernstein
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