(未公開)ニック・ノルティ/キャサリン・ヘップバーンの愉快なゆかいな殺し屋稼業 GRACE QUIGLEY

作曲・指揮:ジョン・アディスン
Composed and Conducted by JOHN ADDISON

(スペインQuartet Records / QRSCE025)

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1984年製作のアメリカ映画(日本では劇場未公開でビデオ発売済み)。監督は「冬のライオン」(1968)「ウィンブルドン 愛の日」(1979)「(未公開)イーグルス・ウィング」(1979)「(TV)パトリシア物語」(1981)「(TV)スヴェンガリの魔力」(1983)等のアンソニー・ハーヴェイ。出演はキャサリン・ヘプバーン、ニック・ノルティ、キット・ル・フェーヴァー、チップ・ジエン、ウィリアム・デュエル、エリザベス・ウィルソン、ウォルター・エイベル、フランセス・ポール、トゥルーマン・ゲイジ、ポーラ・トゥルーマン、クリストファー・マーニー、ニコラス・ケプロス、ハリス・ラスカウィ、キャロル・ロー、イザベル・フープス他。脚本はA・マーティン・ズウェイバック、撮影はラリー・パイザー。ヨーラム・グローバスとメナヘム・ゴーランが主宰するキャノン・フィルムが製作。夫に先立たれ、ニューヨークのアパートで独り暮らしだったグレース・クウィグリー(ヘプバーン)は、ある日、プロの殺し屋セイモア・フリント(ノルティ)が彼女の嫌味な家主を鮮やかに始末するのを目撃し、フリントを雇って自分も殺してほしいと依頼する。彼女は張り紙をして同じ希望を持つ4人を募り、団体割引を交渉するが……。キャサリン・ヘップバーンの最後の劇場公開作品となったブラック・コメディで、監督のアンソニー・ハーヴェイは彼女が3度目のアカデミー賞を受賞した「冬のライオン」も手がけているベテラン。

音楽は「探偵<スルース>」(1972)「シャーロック・ホームズの素敵な挑戦」(1976)「遠すぎた橋」(1977)「(TV)ジェシカおばさんの事件簿」(1984〜1996)等のイギリスの名手ジョン・アディスンが作曲しており、これは彼がキャリアの後期に手がけたスコア。「Main Title」は、チャーミングで優雅なワルツによるグレースの主題。「Oscar」は、グレースの飼っているカナリアを描写したジェントルな曲。「Mr. Argo Shot / Grace in the Car / Seymour Flint」は、ダークなタッチのサスペンス音楽で、アップビートなパーカッション入り。「Wish Me Luck」は、ややコミカルなサスペンス音楽。「The Proposal」は、グレースがフリントに殺しの依頼をするシーンのサスペンス音楽。「Ac Act of Pity / You're Late! / Mr. Jenkins」は、優雅でジェントルなタッチから後半はダークなサスペンス音楽へ。「The Farewell Party」は、グレースの主題のバリエーション。「The Lovely Death of Mr. Jenkins」は、グレースの隣人ジェンキンス氏(デュエル)が、希望通りフリントに殺させるシーンのサスペンス音楽。「The Geriatric」は、メランコリックなタッチ。「Customers / Rest Homes」は、勇壮で快活な主題から後半はダークなタッチへ。「None Sing Again / The Plan」は、ジェントルなタッチからダークなレクイエム『怒りの日(ディエス・イレ)』の引用へ。「Bulletin Boards」は、躍動的かつコミカルなサスペンス音楽で、いかにもアディスンらしいタッチの曲。「Putnam's Short Cut」は、アップビートなサスペンスアクション音楽。「Hidden Gun / The Killing of Mr. Putnam / Emily's First」は、ダークなサスペンス音楽。「The Funeral Chase」は、『怒りの日』の引用を含む躍動的で勇壮な主題で、これもアディスンの個性がよく出た曲。「Seymour Shot to Grace / Pillow Ride / Beach Revisited / Mum and Son」も、躍動的な主題。「End Credits」は、明るく快活なエンドクレジット。最後にソース音楽や代替テイク等のボーナストラック9曲を収録。ジョン・アディスンらしい気品を感じさせるスコア。映画では未使用となった曲も含む完全盤で、1000枚限定プレス。
(2011年5月)

John Addison

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