エル・コンドル EL CONDOR

戦うパンチョ・ビラ VILLA RIDES!

作曲・指揮:モーリス・ジャール
Composed and Conducted by MAURICE JARRE

(仏Universal Emarcy / 277 136 2)

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フランスの作曲家モーリス・ジャール(1924〜2009)が、メキシコを舞台にしたアメリカ製西部劇に書いたスコア2作品をカップリングにしたCD。トラディッショナルなウエスタン・スコアの影響を全く受けず、スパニッシュ・リズムをベースにメキシカン・フレーヴァーを表現している。

エル・コンドル(EL CONDOR)は、1970年製作のアメリカ映画(日本初公開は1971年12月)。監督は「ブルー・マックス」(1966)「レマゲン鉄橋」(1968)「ハイジャック」(1972)「タワーリング・インフェルノ」(1974)「キングコング」(1976)「ナイル殺人事件」(1978)等のジョン・ギラーミン。出演はジム・ブラウン、リー・ヴァン・クリーフ、パトリック・オニール、マリアンナ・ヒル、アイアン・アイズ・コディ、イモジェン・ハッサル、イライジャ・クック・Jr、グスターヴォ・ロホ、フロレンシオ・アマリーラ、フリオ・ペーニャ他。スティーヴン・W・カラバトソスの原案を基に「悪魔の赤ちゃん」(1973)「(未公開)空の大怪獣Q」(1982)等の監督ラリー・コーエンとスティーヴン・W・カラバトソスが脚本を執筆。撮影はアンリ・ペルサン。製作は「スプリングフィールド銃」(1952)「肉の蝋人形」(1953)「蒙古の嵐」(1961)等の監督アンドレ・ド・トス。19世紀のメキシコ。シャベス将軍(オニール)がメキシコ・シティの国庫に納められた莫大な黄金をエル・コンドルの砦に移すことを監房で知ったルーク(ブラウン)は、その黄金を目当てに脱獄。ルークは途中で出会った砂金掘りのジャルー(クリーフ)と組むことにするが、ジャルーは黄金の山分けを条件にアパッチ酋長サンタナ(コディ)と掛け合い、100人規模のインディアンを仲間に引き入れる……。

モーリス・ジャールのスコアは、「El Condor (Openning Credits)」が、パーカッシヴなイントロから躍動的なメインの主題へと展開するオープニング・クレジットで、ジャールの個性がよく出た曲。「Ballad for Two Guitars」は、ジェントルなギター曲。「Before the Attack」は、躍動的なサスペンス音楽で、後半メインの主題が登場。「High Tension and Broken Waltz」は、明るく陽気なタッチからサスペンス音楽へ展開。「The Ride」「Luke and Jaroo」「The Escape」は、躍動的なタッチの曲。「The Fortress」は、軽快なマーチ風のサスペンス音楽からメインの主題のバリエーションへ。「Pure Gold」も、メインの主題からラテン風のトランペット・ソロを織り込んだサスペンス音楽へ。「A Band of Apache」も、メインの主題の躍動的なタッチ。このスコアの初サントラ化(同じ仏Universalレーベルの「モーリス・ジャール映画音楽集」に2曲のみ収録されていた)。

戦うパンチョ・ビラ(VILLA RIDES!)は、1968年製作のアメリカ映画(日本初公開は1969年1月)。監督は「消えた拳銃」(1966)「シェイマス」(1972)「愛のメダリスト」(1976)「ハンター」(1980)「(TV)ケインとアベル/権力と復讐にかけた男の情熱」(1985)等のバズ・キューリック。出演はユル・ブリンナー、ロバート・ミッチャム、チャールズ・ブロンソン、マリア・グラツィア・ブッチェラ、ハーバート・ロム、ロバート・ヴィハロ、フランク・ウォルフ、アレクサンダー・ノックス、フェルナンド・レイ、ジル・アイアランド、ジョン・アイアランド他。ウィリアム・ダグラス・ランスフォードの原作『Pancho Villa』を基に、「荒野のガンマン」(1961)「昼下りの決斗」(1962)「ダンディー少佐」(1965)「ワイルドバンチ」(1969)「砂漠の流れ者」(1970)「ビリー・ザ・キッド/21才の生涯」(1973)等の監督で知られるサム・ペキンパーと、「ボニーとクライド/俺たちに明日はない」(1967)「ザ・ヤクザ」(1974)「チャイナタウン」(1974)「ザ・ファーム/法律事務所」(1993)「ミッション:インポッシブル」(1996)等のロバート・タウンが脚本を執筆。撮影は「戦場にかける橋」(1957)「バルジ大作戦」(1965)「ワイルド・ギース」(1978)「砂漠のライオン」(1981)等のジャック・ヒルデヤード。製作は「続・荒野の七人」(1966)「レッド・サン」(1971)「パピヨン」(1973)等のテッド・リッチモンド。動乱の続く1912年のメキシコ。アメリカ人のパイロットで銃器商人のリー・アーノルド(ミッチャム)は、反革命派のラミレス大尉(ウォルフ)に機関銃を売り渡すが、パンチョ・ヴィラ(ブリナー)率いる革命軍の襲撃に合い、投獄されてしまう。リーが保有する飛行機を戦闘に活用したいと考えたヴィラと副官のフィエロ(ブロンソン)は、リーを釈放して革命軍に引き入れるが……。

モーリス・ジャールのスコアは、「Villa Rides (Opening Credits)」が、パーカッシヴなイントロから口笛による明るいメインの主題へ展開するオープニング・クレジット。「Much More Money」は、明るく快活な曲。「Waltz in the Clouds」は、ダイナミックで躍動的なタッチから後半は優雅なワルツへ。「Mexican Suspense」「After the Marriage」「Pancho on the Move」は、抑制されたサスペンス音楽。「Love Theme」は、ジェントルなラヴテーマ。「Villistas Attacking the Train」は、メインの主題を織り込んだ明るくダイナミックで躍動的な曲。「Petit Cafe Concert」は、優雅でジェントルな曲。「The Battle」は、パーカッシヴでダイナミックなアクション音楽。「After the Battle - Interpolating La Cucaracha」は、メキシコ民謡を織り込んだサスペンス音楽。「Cantina Dance」は、明るく躍動的な舞踏音楽。「Villa and Madero」は、メインの主題のジェントルなバリエーション。「Villa Rides! - End Title」は、口笛によるメインの主題のリプライズ。このスコアは公開当時に米Dot RecordsからサントラLPが出ていた他、仏Universalレーベルの「モーリス・ジャール映画音楽集」に2曲のみ収録されていた。

モーリス・ジャールは、これら2作品以外にも「プロフェッショナル(The Professionals)」(1966)「5枚のカード(5 Card Stud)」(1968)「レッド・サン(Soleil rouge)」(1971)「ロイビーン(The Life and Times of Judge Roy Bean)」(1972)「明日なき追撃(Posse)」(1975)といったウエスタンのスコアを手がけている。
(2011年6月)

Maurice Jarre

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