ブレーキ・ダウン BREAKDOWN
作曲・指揮：ベーシル・ポールドゥーリス
Composed and Conducted by BASIL POLEDOURIS
（米La-La Land Records / LLLCD 1173）
1997年製作のアメリカ映画。監督は「（TV）Ｆ-１６」(1991)「Ｕ-５７１」(2000)「ターミネーター3」(2003)「サロゲート」(2009)等のジョナサン・モストウ。出演はカート・ラッセル、J・T・ウォルッシュ、キャスリーン・クインラン、M・C・ゲイニー、ジャック・ノーズワージー、レックス・リン、リッチ・ブリンクリー、モイラ・ハリス、キム・ロビラード、トーマス・コパッチ、ジャック・マクギー、ヴィンセント・ベリー、ヘレン・ダフィー、アンセル・クック、ジーン・ハートライン他。ジョナサン・モストウの原案を基にジョナサン・モストウとサム・モンゴメリーが脚本を執筆。撮影はダグ・ミルサム。製作はディノ・デ・ラウレンティスとマーサ・デ・ラウレンティス。リチャード・マシスン原作・脚本によるTV映画「（TV）恐怖のレストラン（DYING ROOM ONLY）」(1973／監督：フィリップ・リーコック、出演：クロリス・リーチマン、ロス・マーティン)と設定がよく似た“巻き込まれ型”サスペンス映画。東海岸のボストンから西海岸のサン・ディエゴへドライブ中に車が故障して立ち往生していたジェフ（ラッセル）とエイミー（クインラン）の夫婦は、長距離トラックの運転手ウォーレン（ウォルッシュ）に出会い、彼の行きつけのダイナーまでエイミーを送ってもらってそこから修理屋を呼ぶ事にする。故障が単に配線が抜けていただけと気付いたジェフは、車を直してエイミーが待つダイナーへと向うが、そこに彼女の姿はなく、店の主人も彼女を見ていないという。やがてエイミーを乗せてくれたトラックを発見したジェフは運転手に詰め寄るが、彼は2人に会ったこともないと言い張る……。英語の原題名をそのままカタカナ表記にすると“ブレイク・ダウン”で、（車の）“故障”と（主人公の）“精神衰弱”をひっかけたタイトルだが、カー・アクション映画的な響きのある“ブレーキ・ダウン”という邦題もなかなか上手いと思う。
音楽はベーシル・ポールドゥーリス（1945〜2006）が担当しており、この3枚組サントラCDの1枚目には最終的に映画で使用されたスコア（ポールドゥーリスの他にリチャード・マーヴィン、エリック・コルヴィン、スティーヴ・フォアマン、ジャド・ミラーが追加音楽を作曲）、2枚目には初期の代替スコア、3枚目には更に追加の代替テイクを収録。1枚目の冒頭の「Main
Titles」は、パーカッシヴでサスペンスフルなメインタイトル。「Gas Station / Leaving Belle's」「Earl's
Truck By / Photos / No Help」「The Bank」等は、抑制されたサスペンス音楽。「Route 7-North」は、ダイナミックでビジーなサスペンスアクション音楽。「Bringing
Money to Earl / Jeff in the Truck / Jeff Stabs Earl / Cop Pursues」は、ストイックなタッチ。「Earl
and Cop Shot / Speeding Truck Climb」「Jeff Sneaks Into House / Deke Freeze / Car
Chase」「Truck Ramming / Climb the Truck / The Truck Falls」は、パーカッシヴでダイナミックなサスペンスアクション音楽。最後の「End
Credits」も、サスペンスフルなタッチ。全体にやや無機的なサスペンスに徹した打ち込み主体のアンダースコア。一方、2枚目に収録された初期のスコアは、よりドラマティックでダイナミックなオーケストラによるサスペンス音楽で、こちらのほうがポールドゥーリスの個性がよく出ている。「Main
Titles」は、ギターとストリングスによるストイックなタッチのメインタイトル。「Earl's Truck By / Leaving
Belle's」「Heist Explained」「Cop Pursues」等も、ストイックなサスペンス音楽。「Photos」は、ジェントルな曲。「Route
7-North」「Jeff in the Truck / Jeff Stabs Earl」は、ダイナミックなサスペンスアクション音楽。「Deep
Wacko」「The Bank / Bringing Money to Earl」「Earl and Cop Shot」等は、抑制されたサスペンス音楽。「Speeding
Truck Climb」は、重厚なアクション音楽。「In the Freezer / Deke Freeze / Car Chase」は、ダークで不気味なタッチから後半重厚でダイナミックなアクション音楽に展開。「Truck
Ramming」は、不気味なサスペンス音楽から最後は静かに締めくくる。
このスコアのサントラ初リリースで3000枚限定プレス。
（2011年8月）
Basil Poledouris
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