影なき男 SHOOT TO KILL

作曲・指揮:ジョン・スコット
Composed and Conducted by JOHN SCOTT

(米Intrada / Intrada Special Collection Volume 173)

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1987年製作のアメリカ映画。監督は「アンダー・ファイア」(1983)「ターナー&フーチ/すてきな相棒」(1989)「エア★アメリカ」(1990)「007/トゥモロー・ネバー・ダイ」(1997)「シックス・デイ」(2000)等のロジャー・スポティスウッド。出演はシドニー・ポワティエ、トム・ベレンジャー、カースティ・アレイ、クランシー・ブラウン、リチャード・マズアー、アンドリュー・ロビンソン、ケヴィン・スキャネル、フレデリック・コフィン、マイケル・マックレー、ロバート・レッサー、ミルトン・セルツァー、レス・ラノム、ウォルター・マーシュ、フランク・C・ターナー、サム・ヒオナ他。ハーブ・ジンメルの原案を元にハーブ・ジンメル、マイケル・バートンとダニエル・ペトリ・Jrが脚本を執筆。撮影はマイケル・チャップマン。宝石店の店主の妻を人質に取った犯人が身代金のダイヤモンドを奪い、FBIの包囲網を突破して逃走する。犯人が登山ガイドのサラ(アレイ)率いるグループにまぎれてワシントン州の山岳地帯に逃げ込んだと知ったFBI捜査官ウォ−レン・スタンティン(ポワティエ)は、サラの恋人の登山ガイド、ジョナサン・ノックス(ベレンジャー)を雇い、犯人を追跡する……。登山客の中の誰が犯人か途中までわからない展開となっており、いかにも怪しいバイプレイヤーたちがメンバーを演じているが、その内の1人をドン・シーゲル監督の「ダーティハリー」で凶悪犯サソリ役だったアンディ・ロビンソンが演じている。

音楽はイギリスの作曲家ジョン・スコットが手がけており、彼の傑作「(未公開)燃える男(Man on Fire)」と並ぶストイックなタッチのサスペンスアクション・スコアを展開。「Main Title」は、ダークで重厚なイントロからサックスによるストイックなタッチのメインの主題へと続くメインタイトル(スコットはキャリアの初期にジョン・バリー作曲の「007/ゴールドフィンガー」のスコアでサックスを演奏していた)。このメインの主題が全編を通して様々なバリエーションで何度も登場する。「Kill My Wife Next」は、ダークなサスペンス音楽から後半は躍動的なタッチへ。「Boat Chase」は、サスペンス調からメインの主題を織り込んだダイナミックなアクション音楽へ。「The Road Block」は、サックスによるメインの主題をフィーチャーしたサスペンス音楽。「Bishop's Falls」は、静かにストイックなタッチ。「Happy Campers」「Behold the Gorge」「Not a Bear」「Who's Jonathan」「Mr. Bear」「Bingo」「Sara's Best Shot」等も、サスペンス音楽。「Blazing Saddle」「It's a Long Way Down No.1」は、サックスをフィーチャーしたサスペンス音楽。「I Hate the Woods」「Climbing Trek」「The Storm (Part 2)」「Torching a Fence」等も、メインの主題のバリエーション。「It's a Long Way Down No.2 (Parts 1 & 2)」は、ダイナミックなサスペンスアクション音楽でブラスのアタックがスコットらしい。「And the Killer Is」「The Bodies」「The Storm (Part 1)」「Let Her Go or Die」も、ダイナミックでパワフルなサスペンスアクション音楽。「Say Your Name」は、抑制されたタッチのサスペンス。「The Chimney」は、メインの主題を織り込んだ躍動的なタッチ。「End Titles」は、メインの主題が明確な形で演奏されるエンドタイル。ストレートにかっこいい。最後に別バージョンやソース音楽の6曲のボーナストラックを収録。オーケストラによるダイナミックでオーソドックスなサスペンスアクション・スコアだが、明確なメインの主題を中心に全体が構成されているところが最近の無機的なアクション音楽と異なり、ドラマティックでエモーショナルなパワーがある。

このスコアは、米Varese Sarabandeレーベルが1988年にリリースしたジョン・スコット指揮ロイヤル・フィルの演奏による新録音コンピレーション「Screen Thems」(Varese Sarabande / VSD-5208)にエンドタイトルのみ収録されていたが、この米IntradaレーベルのCDはサントラ音源の初リリース(コンプリート・スコア)で、2000枚限定プレス。
(2011年8月)

John Scott

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