ホワイトファング  WHITE FANG

作曲:
ベーシル・ポールドゥーリス、ハンス・ジマー
Composed by BASIL POLEDOURIS and HANS ZIMMER

指揮:
ベーシル・ポールドゥーリス、シャーリー・ウォーカー
Conducted by BASIL POLEDOURIS and SHIRLEY WALKER


(米Intrada / Intrada Special Collection Vol.189)

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1991年製作のアメリカ映画(日本公開は1992年8月)。監督は「グリース」(1978)「青い珊瑚礁」(1980)「ナビゲイター」(1986)「ジャイアント・ベビー」(1992)「疑惑の幻影」(1998)「(未公開)アマンダ・バインズ in Sweet Paradise」(2005)等のランダル・クレイザー。出演はクラウス・マリア・ブランダウアー、イーサン・ホーク、セイモア・カッセル、スーザン・ホーガン、ジェームズ・レマー、ビル・モーズリー、クリント・B・ヤングリーン、ピウス・サヴェージ、アーロン・ホッチ、チャールズ・ジミー・Sr、クリフォード・フォスマン、アーヴィン・ソッジ、トム・ファロン、ディック・マッキー、スザンヌ・ケント他。「海の狼」(1920)「野性の叫び」(1935)等のジャック・ロンドン(1876〜1916)の原作を基にジャンヌ・ローゼンバーグ、ニック・シールとデヴィッド・ファロンが脚本を執筆。撮影はトニー・ピアース=ロバーツ。母と死別した青年ジャック・コンロイ(ホーク)は父親を訪ねてゴールド・ラッシュに沸くアラスカにやって来る。父の友人アレックス(ブランダウアー)、その相棒のスカンカー(カッセル)と犬ゾリで旅する途中、彼らは狼の群れに襲われ、その中の1頭の狼との混血の犬を撃ち殺すが、その犬には1匹の子供がいた。アイア・タックと名付けられたその犬は町の悪党ビューティ・スミス(レマー)に連れ去られ、金儲けのための闘犬にされてしまう。町で闘いに傷つき瀕死だったアイア・タックは、ジャックに助けられて献身的に看病され、人間への信頼を取り戻していく……。この映画でアイア・タックを演じた狼と混血の犬ジェドは、「(未公開)ナティ物語(THE JOURNEY OF NATTY GANN)」の犬や、ジョン・カーペンター監督の「遊星からの物体X」でエイリアンに変形する犬も演じている“名優”。

音楽はランダル・クレイザー監督と「青い珊瑚礁」等でも組んでいるベーシル・ポールドゥーリスが作曲しているが、彼のスコアに満足しなかったプロデューサーが途中からハンス・ジマーを起用して新たなスコアを作曲させた。結果的に映画ではポールドゥーリスとジマーの両方のスコアが使用されており、今回IntradaレーベルからリリースされたサントラCD(2枚組)には、1枚目にポールドゥーリスのスコア、2枚目にジマーのスコアがそれぞれ完全な形で収録されている。ベーシル・ポールドゥーリス作曲の「Main Title & Opening Credits」は、明るく躍動的なイントロから彼らしい大らかなアメリカーナのメインの主題へ展開。このメインの主題は「The Place」「The River」「The Cabin」「Mining Montage」「Jack Forces Fang Away」等でも登場する。「Golden Staircase」「Wolf Dance」「Pit Fight」は、ストイックなタッチの曲。「Death of Kiche」は、メランコリックなタッチ。「Slow Motion Wolves」「Fang on Sled」「Bonding」「Just Friends」「Jack and White Fang」は、ジェントルなタッチ。「Puppy Things」は、明るく快活。「The Bear Attack」「Fang's Revenge」は、ダイナミックなサスペンスアクション音楽。「Jack Bit」は、ミステリアスなタッチ。「Gold Test」は、躍動的な曲。「The Return」は、メインの主題が後半壮大に盛り上がる。「End Credits」も、メインの主題のリプライズによるエンドクレジット。最後に酒場でのソース音楽等の追加トラックを5曲収録。ベーシル・ポールドゥーリス「レッド・オクトーバーを追え!」(1990)「イントルーダー/怒りの翼」(1990)「ロボコップ3」(1992)「フリー・ウィリー」(1993)等メジャーな作品を手がけていた時期の作品で、彼の個性がよく出たリッチなオーケストラル・スコア。

2枚目のハンス・ジマー作曲の「Opening Credits - Main Title」は、オーケストラとシンセサイザーによるヒロイックなメインタイトル。「The Staircase」も、ヒロイックかつストイックな曲。「Black Wolf」は、サスペンス調から中盤ドラマティックに盛り上がり、後半はダイナミックなアクション音楽へ展開。「Kiche's Demise」は、ドラマティックでサスペンスフル。「Fang with Jack」は、ジェントルな曲。「Vengeance Fulfilled」は、ダイナミックなアクション音楽。ラストの「Home Again」は、ドラマティックな曲。尚、サスペンスフルな「The Trek Continues」、ストイックでダイナミックな「Full Moon Wolf Attack」と、ジェントルでドラマティックな「Seasons Pass」「The Mine」の一部は、フィアチラ・トレンチの作曲、ダイナミックなサスペンスアクション音楽「The Bear Attack」の一部は、シャーリー・ウォーカーの作曲となっている。オーケストラの指揮はシャーリー・ウォーカーハンス・ジマー「ブラック・レイン」(1989)「ドライビング Miss デイジー」(1989)「デイズ・オブ・サンダー」(1990)「バックドラフト」(1991)「テルマ&ルイーズ」(1991)等を手がけていたキャリア初期のスコアで、彼はこのスコアをわずか16日間で作曲しなければならなかったという。

2人の作曲家が同じ映画に全く違う主題によるスコアを別々に作曲し、その両方が映画で使用されているという珍しいケースで、しかもいずれのスコアにも作曲家の個性がよく表れている。限定プレス。
(2012年5月)

Basil Poledouris

Hans Zimmer

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