復讐捜査線  EDGE OF 
DARKNESS(REJECTED SCORE)      
作曲: 
 ジョン・コリリアーノ
Composed by JOHN 
CORIGLIANO
指揮:  レナード・スラットキン
Conducted by LEONARD 
SLATKIN     
演奏:
 
ロンドン・メトロポリタン管弦楽団
  Performed by the 
London Metropolitan Orchestra
  
(米Perseverence Records / PRD 
055)
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2010年製作のイギリス=アメリカ合作映画(日本公開は2011年7月)。監督は「007/ゴールデンアイ」(1995)「マスク・オブ・ゾロ」(1998)「バーティカル・リミット」(2000)「レジェンド・オブ・ゾロ」(2005)「007/カジノ・ロワイヤル」(2006)「グリーン・ランタン」(2011)等のマーティン・キャンベル。出演はメル・ギブソン、レイ・ウィンストーン、ダニー・ヒューストン、ボヤナ・ノヴァコヴィッチ、ショーン・ロバーツ、デヴィッド・アーロン・ベイカー、ジェイ・O・サンダース、デニス・オヘア、ダミアン・ヤング、カテリーナ・スコーソン、フランク・グリロ、ウェイン・デュヴァル、ベンガ・アキナベ、ガブリエル・ポーパ、ポール・スパークス他。トロイ・ケネディ・マーティンのオリジナル脚本を基にウィリアム・モナハンとアンドリュー・ボーヴェルが脚本を執筆。撮影はフィル・メヒュー。編集は「エグゼクティブ・デシジョン」(1996)「追跡者」(1998)「ネメシス/S.T.X」(2002)の監督でもあるステュアート・ベアード。1985年に英国BBCで製作されたTVミニシリーズ「刑事ロニー・クレイブン」を、同作の監督を務めたマーティン・キャンベルが自らリメイクしたサスペンスアクション。ボストン警察殺人課のベテラン刑事トーマス・クレイヴン(ギブソン)は、帰省したひとり娘のエマ(ノヴァコヴィッチ)を駅に出迎える。24歳のエマは大学を卒業しワシントンDCのある企業で研修生として働き始めていた。ある日、体調を崩して嘔吐したエマを病院に連れて行こうとしたクレイヴンを何者かが襲撃し、エマは彼の目の前でショットガンで射殺されてしまう。捜査陣はクレイヴンに恨みを持つ者の犯行で、彼を狙った弾がエマに当たったものと判断するが、クレイヴンには心当たりがなく、最愛の娘を殺した犯人を自分の手で探し出すと心に誓う。やがてクレイヴンは、エマが勤務先の軍需企業の犯罪的行為と国家の安全保障に影響を及ぼす巨大な陰謀に気づき、その真実を暴露しようとして抹殺されたことを突きとめる……。 
放射性物質でボロボロになりながらも執念の鬼と化して復讐を遂げようとするギブソンが鬼気迫る。
音楽は「アルタード・ステーツ/未知への挑戦」(1980)「レボリューション・めぐり逢い」(1985)「レッド・バイオリン」(1998)のアメリカの現代音楽作曲家ジョン・コリリアーノ(1938〜)が作曲しているが、彼のスコアは映画が大幅に追加撮影・再編集されたためにプロデューサーによってリジェクトされ、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ(2001〜2003)「ヒューゴの不思議な発明」(2011)「ホビット 
思いがけない冒険」(2012)等のハワード・ショアが新たなスコアを作曲した。ショアのスコアのサントラ盤も出ているが、これはコリリアーノのリジェクテッド・スコアを米Perseverence 
Recordsがリリースしたもの。「His Daughter's 
Death」は、メランコリックなイントロからジェントルな主題、重厚なサスペンス音楽へと展開。「Reflections」は、かすかな遊園地風の主題を織り込んだ抑制されたサスペンス音楽。「Her 
Home」「Family Shave」は、ジェントルで繊細なタッチの曲。「Pursuit」「Her Friends 
Death」は、アブストラクトでダイナミックなアクション音楽。パーカッシヴで非常にオリジナルなタッチ。「Hideout」「The 
Escape」は、抑制されたサスペンス音楽。「A Sober 
Story」は、ダークでメランコリックな主題から後半ダイナミックに盛り上がる。「Revenge」は、かすかな遊園地風の主題を織り込んだ重厚なサスペンスアクション音楽。ラストの「Reunification」は、ダークでメランコリックな主題からジェントルな主題がドラマティックに盛り上がり、同じ主題による主題歌「Breathe 
in the 
Dawn」(作曲:コリリアーノ、作詞:マーク・アダモ、ヴォーカル:ヒーラ・プリットマン)へと続く。前衛音楽的なタッチのサスペンスアクション音楽がコリリアーノらしいダイナミックなスコア。
ここでオーケストラの指揮を担当しているレナード・スラットキン(1944〜)は、セントルイス交響楽団、ワシントンD.C.ナショナル交響楽団、BBC交響楽団、デトロイト交響楽団、リヨン国立管弦楽団の音楽監督を歴任したアメリカの著名なクラシック音楽指揮者(http://www.leonardslatkin.com/)で、過去にコリリアーノの交響曲第一番の指揮も手がけている。
(2012年7月)
John Corigliano
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