(未公開)みんなドラキュラ MAMA DRACULA
作曲・指揮:ロイ・バッド
Composed and
Conducted by ROY BUDD
演奏:ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団
Performed by the National
Philharmonic Orchestra of London
(仏Music Box Records / MBR-015)
1980年製作のフランス=ベルギー合作映画(日本では劇場未公開でビデオ発売・TV放映済/TV放映時の邦題は「ママはドラキュラ」)。製作・監督は「処女・その愛のあと/性医学入門」(1969)等のボリス・シュルジンガー。出演はルイーズ・フレッチャー、マリア・シュナイダー、マルク=アンリ・ワユンベルグ、アレクサンドル・ワユンベルグ、ジミー・シューマン、ジェス・ハーン、ミシェル・イスラエル、スージー・フォーク、ヴァンサン・グラス、マリー=フランソワーズ・マヌエル、ジョゼ・グラル、ウィリアム・デル・ヴィスコ、マルティーヌ・ウィルケ、サンドラード、オリアンヌ・ジルモン他。脚本はボリス・シュルジンガー、ピエール・ステルクスとマルク=アンリ・ワユンベルグ。撮影はルーファス・ボヘズとウィリー・クーラント。美貌を保つために600人以上もの若い処女を惨殺してその血を搾り取り、浴槽に満たして自らの身を浸したという実在のハンガリー王国の伯爵夫人エリーザベト・バートリ(1560〜1614)をモデルにしたホラー・コメディ。主人公の女吸血鬼ママ・ドラキュラをルイーズ・フレッチャーが演じる。バートリは被害者の皮膚をかじって血肉を喰らったり、淫乱で黒魔術を好む悪魔崇拝主義者だったとの証言から吸血鬼伝説のモデルとなっており、女吸血鬼を描いたシェリダン・レ・ファニュの小説『カーミラ』(1872)もバートリの実話をベースにしているといわれる。
音楽は「狙撃者」「爆走!」「ドラブル」「ワイルド・ギース」等のイギリスの作曲家ロイ・バッド(1947〜1993)が手がけているが、フランス=ベルギー合作のアニメーション映画「(未公開)新説!人類(珍)化論!?(Le chainon
manquant)」(1980)のバッドのスコアに感銘を受けた監督のボリス・シュルジンガーが彼に作曲を依頼したという。「Invitation
to a Blood
Convention」は、ジェントルで牧歌的なワルツからミステリアスでややメランコリックなタッチのメインの主題へと展開。このメインの主題は「To
the Castle Dracula」「Mama's Little Boys」「Inside the Vamps Showroom」「Mama's
Theme」等で様々なアレンジメントにより何度も登場する。「Mama's
Story」は、バッドらしいダイナミックで躍動的な曲で、後半はメインの主題に展開。「The Castle's
Laboratory」「Fiance's Lib」「Morning Vamps」等は、ややコミカルなタッチ。「Mama
Sends Vamps to Work」は、抑制されたサスペンス音楽。「The Angry
Villagers」は、バッドが得意とするライトなジャズ。「Bath of
Blood」はサスペンス音楽だが、ここでもジャズの味付けがバッドらしい。「The Professor and
Nancy」は、サスペンス調からメインの主題へ。「The Vamp Show」「Tango
Vampo」は、ライトなダンス・ミュージック。ラストの「Mama and her
Family」は、メインの主題のリプライズ。
このスコアは公開当時にフランスのWEAレーベルからサントラLPが出ていたが、これは新たにリマスターされた初CD化で、500枚限定プレス。
(2012年9月)
Roy Budd
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