アンナ・カレーニナ ANNA KARENINA

作曲:ダリオ・マリアネッリ
Composed by DARIO MARIANELLI

指揮:ベンジャミン・ウォールフィッシュ
Conducted by BENJAMIN WALLFISCH

(米Decca / B0017596-02)

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2012年製作のイギリス映画。監督は「プライドと偏見」(2005)「つぐない」(2007)「路上のソリスト」(2009)「ハンナ」(2011)等のジョー・ライト。出演はキーラ・ナイトレイ、ジュード・ロウ、アーロン・テイラー=ジョンソン、ケリー・マクドナルド、マシュー・マクファディン、ドムノール・グリーソン、ルース・ウィルソン、アリシア・ヴィカンダー、オリヴィア・ウィリアムス、エミリー・ワトソン、エリック・マクレナン、テオ・モリセイ、セシリー・モリセイ、オクタヴィア・モリセイ、ベアトリス・モリセイ他。「戦争と平和」「復活」等で知られるロシアの文豪トルストイ(レフ・ニコラエヴィチ・トルストイ/1828〜1910)の『アンナ・カレーニナ』を基に「未来世紀ブラジル」(1985)「太陽の帝国」(1987)「ロシア・ハウス」(1990)「ビリー・バスゲイト」(1991)「恋におちたシェイクスピア」(1998)「エニグマ」(2001)等のトム・ストッパードが脚本を執筆。撮影はシーマス・マクガーヴェイ。1870年代のロシア。政府高官カレーニン(ロウ)の妻アンナ(ナイトレイ)は、兄夫婦のいさかいを仲裁するためにやって来たモスクワで若い貴族の将校ヴロンスキー(テイラー=ジョンソン)と出会い、惹かれあう。アンナは夫と幼い息子の待つペテルブルクへ帰るが、ヴロンスキーはアンナを追う。2人の関係は急速に深まるが、それを知ったカレーニンは世間体を気にして離婚に応じようとしない……。同じ原作が「アンナ・カレニナ」(1935/製作:デヴィッド・O・セルズニック、監督:クラレンス・ブラウン、出演:グレタ・ガルボ、フレデリック・マーチ、バシル・ラスボーン、レジナルド・オーウェン)、「アンナ・カレニナ」(1948/監督・脚本:ジュリアン・デュヴィヴィエ、出演:ヴィヴィアン・リー、ラルフ・リチャードソン)、「アンナ・カレーニナ」(1967/監督:アレクサンドル・ザルヒ、出演:タチアナ・サモイロワ、ニコライ・グリツェンコ)、「アンナ・カレーニナ」(1975/監督:マルガリータ・ピリヒナ、出演:マイヤ・プリセツカヤ、アレクサンダー・ゴドノフ)、「ジャクリーン・ビセットのアンナ・カレーニナ」(1985/監督:サイモン・ラングトン、脚本:ジェームズ・ゴールドマン、出演:ジャクリーン・ビセット、クリストファー・リーヴ)、「アンナ・カレーニナ」(1997/監督・脚本:バーナード・ローズ、出演:ソフィー・マルソー、ショーン・ビーン、アルフレッド・モリナ)等、過去に何度も映画化・ドラマ化されている。

音楽はジョー・ライト監督と「プライドと偏見」(2005)「つぐない」(2007)「路上のソリスト」(2009)でも組んでいるイタリア出身のダリオ・マリアネッリ「Overture」は、女声スキャットを織り込んだ躍動的な舞踏音楽調の序曲。「Clerks」は、列車のSEからストイックで躍動的な主題へ。「She Is of the Heavens」は、口笛と女声ヴォーカルをフィーチャーしたスリリングでドラマティックな曲。「Anna Marches into a Waltz」は、女声スキャットを織り込んだストイックな曲。「Beyond the Stage」「Unavoidable」「Time for Bed」「Someone Is Watching」「Leaving Home, Coming Home」「I Know How to Make You Sleep」「Anna's Last Train」「I Understood Something」等は、メランコリックなタッチの曲。「Kitty's Debut」は、優雅でややメランコリックなワルツ。「Dance with Me」も、優雅でジェントルなワルツで後半ドラマティックに盛り上がる。「The Girl and the Birch」は、『Beroza』と呼ばれるロシアの古い民謡で、様々なバージョンがあるらしく、ここでは年配の夫に不貞をはたらく若い女性を描いた歌となっている。「Can-Can」は、陽気なカン・カン。「I Don't Want You to Go」は、ダークでストイックなタッチ。「Too Late」「Lost in a Maze」は、ドラマティックな曲。「Masha's Song」は、タニッシュタ・チャタージーの女声ヴォーカルによるメランコリックな歌曲(作曲はマリアネッリとアヌーシュカ・シャンカー)。「A Birthday Present」は、ダイナミックなイントロからメランコリックな主題へ。「At the Opera」は、トルストイの原作の第2部11章の原文を歌詞としたオペラ歌曲で、テルマン・グズヘフスキーとアレグラ・ジアグが歌っている。「Curtain」は、メランコリックでドラマティックなワルツ調の曲。ラストの「Seriously」は、躍動的なメインの主題。ドラマティックでエモーショナルなオーケストラル・スコアで、原作の舞台であるロシアン・フレーヴァーを上手く織り込んでいる。ピアノ・ソロはマリアネッリ自身の演奏。
(2012年12月)

Dario Marianelli

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