マンハッタン無宿  COOGAN'S BLUFF

作曲・指揮:ラロ・シフリン
Composed and Conducted by LALO SCHIFRIN

(米Intrada / Intrada Special Collection Vol.223)

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1968年製作のアメリカ映画。製作・監督は「殺人者たち」(1964)「刑事マディガン」(1967)「真昼の死闘」(1969)「白い肌の異常な夜」(1971)「ダーティハリー」(1971)「突破口!」(1973)「ドラブル」(1974)「ラスト・シューティスト」(1976)「テレフォン」(1977)「アルカトラズからの脱出」(1979)等のドン・シーゲル。出演はクリント・イーストウッド、リー・J・コッブ、スーザン・クラーク、ティシャ・スターリング、ドン・ストラウド、ベティ・フィールド、トム・タリー、メロディ・ジョンソン、ジェームズ・エドワーズ、ルディ・ディアス、デヴィッド・ドイル、ルイス・ゾリッチ、メグ・マイルズ、マージョリー・ベネット、シーモア・カッセル他。「(TV)警部マクロード」(1970)「(TV)ケーブルカー殺人事件」(1971)「(TV)燃えよ!カンフー」(1972〜1975)等のハーマン・ミラーの原案を基にハーマン・ミラー、ディーン・リーズナーとハワード・ロッドマンが脚本を執筆。撮影はバッド・サッカリー。ドン・シーゲル監督がクリント・イーストウッドと初めて組んだ作品で、その後2人は「真昼の死闘」(1969)「白い肌の異常な夜」(1971)「ダーティハリー」(1971)「アルカトラズからの脱出」(1979)と傑作を連発、シーゲルはイーストウッドの初監督作品である「恐怖のメロディ」に出演もしており、イーストウッドが監督としての師匠と見なしている名手。アリゾナ州の保安官補ウォルト・クーガン(イーストウッド)は、ニューヨークで逮捕された凶悪犯リンガーマン(ストラウド)の護送を命じられ、ニューヨーク市警のマッケルロイ警部補(コッブ)に会いに行く。クーガンは煩雑な手続きを無視して勝手にリンガーマンを連行しようとするが、空港で一味に待ち伏せされ、リンガーマンを取り逃がしてしまう。窮地に追い込まれたクーガンは、執念の鬼と化してリンガーマンの行方を追う……。田舎から出てきた型破りな保安官が大都会で活躍するという設定は、デニス・ウィーヴァー主演のTVシリーズ「警部マクロード」に継承されている。日本でTV放送された際の日本語吹替キャストは、クリント・イーストウッド(山田康雄)、リー・J・コッブ(大平透)、スーザン・クラーク(藤田淑子)、ティシャ・スターリング(榊原良子)、ドン・ストラウド(渡部猛)他だった。

音楽はドン・シーゲル監督と「白い肌の異常な夜」「ダーティハリー」「突破口!」「テレフォン」でも組んでいるラロ・シフリン「Arizona Desert」は、砂漠でクーガンがインディアンの酋長を追い詰める冒頭のシーンの幻想的な主題。「Coogan's Wild Ride」は、ダイナミックなイントロからヒロイックなウエスタン調のメインの主題へ展開。この曲は一部のプリントでしか使われていないが、いかにもシフリンらしいパワフルなタッチが快調。「Capture the Chief」は、ビジーなアクション音楽。「Main Title Part A」「Main Title Part B」は、大半のプリントで使用されているメインタイトルの音楽で、市販されているDVDもこのバージョン。「The Big Apple」「Small Talk」は、クーガンがマンハッタンにやって来るシーンのメインの主題のバリエーション。「Song to Julie」は、ジェントルでリリカルなジャズによるジュリー(クラーク)の主題。「Five Minutes」「Beat Up」「Green Worms」「Tell Me About Arizona」も、ジェントルな曲。「Getting Better」「Get Out」は、ライトなジャズ。「Cartoon Background」は、劇中のTVで流れているアニメ番組のBGM(映画では未使用)。「Wrong Number」は、シフリンの得意とするクールなサスペンス・ジャズ。「"Pigeon-Toed Orange Peel"」「"Everybody"」は、ロック・ソングのソース曲。「"Coogan Raga" and Pushie's Pool」は、シタールの演奏によるエキゾチックなタッチの曲からサスペンス音楽へ自然に展開。「Looking for Jimbo」「Where's Ringerman」は、サスペンス音楽。「Ringerman's Chase」「Ringerman's Chase (continued)」は、クライマックスのバイク・チェイスのシーンでのハイテンションでパワフルなサスペンスアクション音楽で、シフリンの真骨頂。「End Title & End Cast」は、リリカルなピアノのイントロからメインの主題へと展開するエンドタイトル。ボーナストラックとして、メインタイトルの別バージョンや、スーザン・クラークによるハミング曲(ジュリーが料理するシーン)、メインの主題の一部をアレンジしたラジオ・スポットCM用の曲等を収録。このスコアの初CD化(コンプリート・スコア)で、限定プレス。Intradaレーベルとユニヴァーサルとの提携で、同スタジオの100周年を記念したリリースの一環。
(2012年12月)

Lalo Schifrin

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