(未公開)L'AINE DES FERCHAUX

作曲:ジョルジュ・ドルリュー
Composed by GEORGES DELERUE

リスボン特急  UN FLIC

作曲:ミシェル・コロンビエ
Composed by MICHEL COLOMBIER

(仏Universal / 372 086 3)

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「海の沈黙」(1947)「恐るべき子供たち」(1950)「賭博師ボブ」(1955)「マンハッタンの二人の男」(1958)「(未公開)モラン神父」(1961)「いぬ」(1963)「ギャング」(1966)「サムライ」(1967)「影の軍隊」(1969)「仁義」(1970)といったフィルム・ノワール(犯罪映画)や人間ドラマの傑作で知られるフランスの名匠ジャン=ピエール・メルヴィル監督(1917〜1973)による2作品のスコアをカップリングにしたCD。

「(未公開)L'AINE DES FERCHAUX」は1963年製作のフランス=イタリア合作映画(英語題名は「MAGNET OF DOOM」)。出演はジャン=ポール・ベルモンド、シャルル・ヴァネル、ミシェール・メルシエ、マルヴィナ・シルベルベール、ステファニア・サンドレッリ、バルバラ・ソメール、E・F・メダール、トッド・マルタン、アンドレ・セルト、ジェリー・メンゴ、デリア・カン、ジンジャー・ホール、モーリス・オーゼル、ピエール・ルプルー、ドミニク・ザルディ他。「メグレ警視」シリーズ等で知られるベルギー出身の小説家ジョルジュ・シムノン(1903〜1989)の原作『フェルショー家の兄』を基にジャン=ピエール・メルヴィルが脚本を執筆。撮影はアンリ・ドカエ。過去に犯した殺人の罪から逃れようとするフランスの老企業家デュードネ・フェルショー(ヴァネル)と、彼の秘書兼ボディガードとして雇われた若きボクサーのミシェル・モーデ(ベルモンド)の、フランスからアメリカのマンハッタン、そしてニューオリンズへと続く逃避行を描くドラマ。2001年にフランスのテレビ映画「(未公開/TV)L'AINE DES FERCHAUX」としてリメイクされており、ここではジャン=ポール・ベルモンドがフェルショー役、「TAXi」シリーズのサミー・ナセリが若者を演じている。監督・脚本はメルヴィル監督の「仁義」で助監督を務めたベルナール・ストラ。

音楽はジョルジュ・ドルリューが作曲しており、これは彼が手がけた唯一のメルヴィル監督作品。「Les Appalaches」は、ジャズ・ベースのイントロからハーモニカ・ソロを織り込んだ明るくジェントルなメインの主題へと展開。「Sur le ring (generique)」は、オーケストラによるダイナミックなサスペンス調のメインタイトル。このメインの主題は「A la Dimitri」「La route」「L'affrontement」でも登場。「Maudet et Ferchaux」「Lina」「Un bar a la Nouvelle-Orleans」は、ややメランコリックなタッチのジャズ。「Vers le sud」は、牧歌的でのどかなタッチの曲。「Je m'appelle Michel Maudet」は、サスペンス調の曲。「Manhattan, deux hommes」は、ダイナミックなジャズ。「Slow du desespoir」は、気だるいジャズ。「Poursuite americaine」は、サスペンスアクション音楽。「Fin de route / Arrivee a la Nouvelles-Orleans」は、メインの主題によるフィナーレ。

「リスボン特急(UN FLIC)」は、1972年製作のフランス=イタリア合作映画(英語題名は「DIRTY MONEY」 )で、メルヴィル監督の遺作。出演はアラン・ドロン、リチャード・クレンナ、カトリーヌ・ドヌーヴ、リカルド・クッチョーラ、マイケル・コンラッド、ポール・クローシェ、シモーヌ・ヴァレール、アンドレ・プッス、ジャン・ドサイー、ヴァレリー・ウィルソン、アンリ・マルトー、カトリーヌ・ルティ、ルイ・グランディディエ、フィリップ・ガスト、ドミニク・ザンタール他。脚本はジャン=ピエール・メルヴィル。撮影はワルター・ウォティッツ。サン・ジャン・ド・モンの海辺にある銀行をシモン(クレンナ)、ルイ(コンラッド)、マルク(プッス)、ポール(クッチョーラ)の4人組ギャングが襲撃するが、マルクは出納係に撃たれて重傷を負う。事件を捜査するエドゥアール・コールマン刑事(ドロン)は、病院を次々に調べてマルクを見つけようとするが、シモンの情婦のカティ(ドヌーヴ)が看護士に成りすましてマルクを注射で絶命させてしまう。シモンたちはパリのオーステルリッツ駅からリスボンへと向かう列車で麻薬が運ばれるとの情報を得て、ヘリコプターから列車に乗り移り、麻薬を横取りしようとする……。セリフを排した緻密なモンタージュで見せる冒頭の銀行強盗シーンや、かつては戦友だったコールマンとシモンがナイトクラブで再会するシーンがいかにもメルヴィルらしい。

音楽は「潮騒」(1972)「相続人」(1973)「危険を買う男」(1976)「ホワイトナイツ/白夜」(1985)「ゴールデン・チャイルド」(1986)「エリザ」(1995)等のミシェル・コロンビエ「C'est ainsi que les choses arrivent」は、イザベル・オーブレのヴォーカルによるジェントルでクールなタッチの主題歌。「Pre hold-up」は、アブストラクトなジャズによるサスペンス音楽。「Chausse d'Antin」は、ジェントルでリリカルな曲。「Quatre hommes en voiture」は、クールなジャズからサスペンス音楽へ展開。「Pour un autre terrain vague」「Chez Luce」は、ダークなサスペンス音楽。「Night-club, trois heures du matin」は、ナイトクラブのシーンでのクールなジャズ。「Un monsieur distingue」は、メランコリックでドラマティックな曲。「Edouard au piano」は、コールマン(ドロン)がピアノで演奏するジェントルなジャズ。「L'ambiguite et la derision」は、メランコリックなタッチの曲。
(2013年2月)

= 2018/5/5追記 =

2017/11/24にKADOKAWAよりテレビ放映時の日本語吹替音声を追加した「リスボン特急」のBlu-rayが発売。

日本語吹替キャストは以下の通り:
アラン・ドロン(久富惟晴)
カトリーヌ・ドヌーヴ(荒砂ゆき)
リチャード・クレンナ(臼井正明)
リカルド・クッチョーラ(五藤雅博)
マイケル・コンラッド(長谷川弘)
ポール・クローシェ(大久保正信)
シモーヌ・バレール(露原千草)
アンドレ・プース(平林尚三)

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Georges Delerue

Michel Colombier

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