レナード・ローゼンマン作品集 ALEXANDER THE GREAT AND OTHER RARE ROSENMAN
作曲・指揮:レナード・ローゼンマン (米The Film Music Society / FMS005) |
<収録曲>
1. (未公開)BODY WARS (1989)
2.
(TV)鳩が死ぬ時 WHERE PIGEONS GO TO DIE (1990)
3. (未公開/TV)SYBIL (1976)
4.
(TV)コンバット COMBAT! (1962)
5. (未公開/TV)ALEXANDER THE GREAT
(1964)
「エデンの東」(1955)「理由なき反抗」(1955)「突撃隊」(1961)「ミクロの決死圏」(1966)「馬と呼ばれた男」(1969)「続・猿の惑星」(1970)「最後の猿の惑星」(1973)「指輪物語」(1978)「プロフェシー/恐怖の予言」(1979)等を手がけたアメリカの作曲家レナード・ローゼンマン(1924〜2008)の貴重な未発表音源を集めたコンピレーションで、映画音楽協会(The Film Music Society)によるリリース。1000枚限定プレス。
1.(未公開)BODY WARS
米フロリダ州オーランドのウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート内エプコット・センターで1989年に開催されたワンダーズ・オブ・ライフ(The Wonders of Life)展示用の短編映像。監督は「(TV)スター・トレック/宇宙大作戦」のミスター・スポック役で知られ、「スター・トレック3/ミスター・スポックを探せ!」(1984)「故郷への長い道/スター・トレック4」(1986)「スリーメン&ベビー」(1987)「(未公開)情熱の代償」(1988)「(未公開)ベイビー、ウォンテッド!」(1990)等の監督作があるレナード・ニモイ。出演はエリザベス・シュー、ティム・マシソン、デイキン・マシューズ他。VFXはILMが担当。白血球の反応を調べるシンシア・レアー博士(シュー)がミニチュア化して人間の体内に吸い込まれていく、という「ミクロの決死圏」(1966)に似た設定のアドヴェンチャー。レナード・ローゼンマンは過去にこの「ミクロの決死圏」のスコアを作曲しているほか、レナード・ニモイ監督とは「故郷への長い道/スター・トレック4」でも組んでいる。ローゼンマンのスコアは、「Body Wars Theme」が華やかなファンファーレからヒロイックなマーチへと展開するメインテーマで、主題が「スター・トレック4」に似ているのはご愛嬌。「Coming to Get You」「Ready Now」は、ブラスをパワフルに効かせたダイナミックなサスペンスアクション音楽で、後者は幻想的な女声コーラス入り。「Welcome Home」 は、ジェントルなタッチ。
2.(TV)鳩が死ぬ時 WHERE PIGEONS GO TO DIE
1990年製作のアメリカのテレビ映画。製作・監督は「(TV)大草原の小さな家」のチャールズ・インガルス役で知られ、「(TV)ある勇気の物語!孤独のマラソンランナー」(1976)「(TV)ハイスクール・オリンピック/天才バンザイ」(1985)等の監督も手がけているマイケル・ランドン(1936〜1991)。出演はアート・カーニー、クリフ・デ・ヤング、ブルース・フレンチ、ロバート・ハイ・ゴーマン、キャロル・バータ、リチャード・ブル、キャロル・デニング、マイケル・ファウスティーノ、カート・クリストファー・キンダー、マイケル・ランドン他。「機関銃ケリー」(1958)「(未公開)赤死病の仮面」(1964)「ネモ船長と海底都市」(1969)等の脚本を手がけたR・ライト・キャンベルの原案を基にマイケル・ランドンが脚本を執筆。「(TV)大草原の小さな家」でランドンの娘役だったメリッサ・スー・アンダーソンが製作に参加している。鳩を育てるのが趣味の老人(カーニー)と孫の10歳の少年(ゴーマン)との関係を描いた感動作で、大人になった孫(ランドン)が過去を回想する形式で描かれる。ローゼンマンのスコアは、「Opening」が静かなイントロからリリカルで素朴なピアノの主題、優雅で美しいワルツ調の主題へと展開するメインタイトル。「Dangerous Flight」は、明るく躍動的な主題から後半サスペンス調に。「Dickens Returns / Closing」は、ジェントルな主題からサスペンス調、大らかな主題へと展開。「End Credits」 は、ジェントルなエンドクレジット。
3.(未公開/TV)SYBIL
1976年製作のアメリカのテレビ映画。監督は「ベッツィー」(1978)「アパッチ砦・ブロンクス」(1981)「コクーン2/遥かなる地球」(1988)「(TV)奇跡の翌日/その後のヘレン・ケラーとアニー・サリバン」(1998)等のダニエル・ペトリ。出演はジョアン・ウッドワード、サリー・フィールド、ブラッド・デイヴィス、マーティン・バートレット、ジェーン・ホフマン、チャールズ・レイン、ジェサミン・ミルナー、ウィリアム・プリンス、ペネロープ・アレン、カミラ・アシュランド他。フローラ・レータ・シュライバーの原作を基にステュワート・スターンが脚本を執筆。撮影はマリオ・トシ。統合失調症の母親から受けた虐待が原因で13の人格を持つ解離性同一性障害になった女性シビル(フィールド)描いたドラマ。原作は実在の患者シャーリー・アーデル・メイソンの症例を精神科医のコーネリア・ウィルバー博士が記録した内容に基づいており、この映画ではウッドワードがウィルバー博士を演じている。同じ原作が「(TV)多重人格・シビルの記憶」(2007/監督:ジョセフ・サージェント、出演:ジェシカ・ラング、タミー・ブランチャード)として映像化されている。ローゼンマンのスコアは、「Part 1 Main Title」が素朴な子供のヴォーカル(グロリア・オブライエン)と女声コーラスにストリングスによる不協和音を加えたサスペンス調のメインタイトル。「The Awakening / End Title」は、女声コーラスによる素朴でジェントルな主題と不吉なサスペンス音楽が交互に展開。「"I Remember Me" (full version)」は、シェルビー・フリントのヴォーカルによる主題歌(作曲:ローゼンマン、作詞:アラン&マリリン・バーグマン)。ローゼンマンはこのスコアでエミー賞の作曲賞を受賞している。
4.(TV)コンバット COMBAT!
1962〜1967年製作のアメリカのテレビシリーズ。監督はボリス・セイガル、ロバート・アルトマン、バート・ケネディ、テッド・ポスト、リチャード・ドナー、トム・グライス、バーナード・マケヴィティ等。出演はヴィク・モロー(日本語吹替:田中信夫)、リック・ジェイソン(納谷悟朗)、ジャック・ホーガン(羽佐間道夫)、ピエール・ジャベール(山田康雄)、ディック・ピーボディ(塩見竜介)、スティーヴン・ロジャース(嶋俊介)、コンラン・カーター、トム・ローウェル、シェッキー・グリーン、ウィリアム・ブライアント他。脚本はウィリアム・バスト、ジム・トンプソン、バート・ケネディ、ロバート・アルトマン他。撮影はロバート・B・ハウザーとエメット・バーグボルズ。第二次世界大戦中のヨーロッパ戦線における米陸軍小隊の活躍を描いた戦争アクション。5シーズン全152話が製作され、テリー・サヴァラス、トム・スケリット、フリッツ・ウィーヴァー、サル・ミネオ、ジェームズ・カーン、ジェームズ・コバーン、ボー・ブリッジス、ロバート・デュヴァル、リカルド・モンタルバン、デニス・ホッパー他がゲスト出演した。ローゼンマンのスコアは、「Main Title」が日本でもよく知られている“コンバット”マーチによる主題曲。「Soldiers Searching」「Enemy Territory」は、メインの主題のバリエーション。「A Hero's Death」は、トラジックな曲。「Wartime Liaison」「French Cafe」「Brief Respite / Finale」は、ジェントルでロマンティックな曲。「Diversion」は、ややコミカルなタッチ。「Tortured Crawling」「Battle」は、サスペンスアクション音楽。「Hand to Hand Combat」も、ダイナミックなアクション音楽。「Combat! March」 は、メインのマーチのリプライズ。第1シーズンのライブラリー音源からこのCDに収録された約19分のスコアが、このシリーズで唯一残っている音源らしい。
5.(未公開/TV)ALEXANDER THE GREAT
1964年製作のアメリカのテレビ映画。監督は「サイレンサー/沈黙部隊」(1966)「要塞」(1970)「ベン」(1972)「ウォーキング・トール」(1973)等のフィル・カールソン(1908〜1985)。出演はウィリアム・シャトナー、アダム・ウエスト、ジョン・カサヴェテス、ジョセフ・コットン、サイモン・オークランド、ピーター・ハンセン、ロバート・フォーティアー、ジヴァ・ロダン、ジョン・ドゥーセット、ビル・アーヴィン、マイク・ブラッドフォード他。「戦場」(1949)「突撃隊」(1961)等のロバート・ピロッシュの原案を基にウィリアム・イエーツとロバート・ピロッシュが脚本を執筆。撮影はレスター・ショアー。紀元前333年、アレクサンダー大王(シャトナー)率いるマケドニア軍がペルシア軍を破ったイッソスの戦いを描く歴史劇。1964年に多額の予算をかけて製作されたがお蔵入りとなり、シャトナーが「(TV)スター・トレック/宇宙大作戦」のカーク船長役、ウエストが「(TV)バットマン」のバットマン役で有名になった後、1968年に1度だけ放映された。ローゼンマンのスコアは、「Main Title」がダイナミックなファンファーレから勇壮な男声コーラス(ギリシャ語)による荘厳な主題へと展開するメインタイトル。「The Hanged」「The Dagger」は、サスペンス音楽。「Meet Alexander」は、ファンファーレからダイナミックで躍動的な主題へ。「Orgy」は、パーカッシヴな舞踏音楽風の曲。「On the Move」は、勇壮な男声コーラスを織り込んだ曲。「Antigonus Dies」「The Pursuit」「Big Battle / Conquered」は、ダイナミックでビジーなアクション音楽。「Ada's Dance」は、エイダ(ロダン)の舞踏シーンのパーカッシヴでミステリアスな曲。「End Credits」は、メインの主題のリプライズによるエンドクレジット。この重厚なコーラス入りのオーケストラル・スコアが全体のハイライトとなっており、このアルバムのタイトルにもなっている。
(2013年4月)
Leonard Rosenman
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