熱い賭け THE GAMBLER
音楽・指揮:ジェリー・フィールディング
Scored and
Conducted by JERRY FIELDING
(スペインQuartet Records / SCE059)
1974年製作のアメリカ映画(日本初公開は1976年8月)。監督はチェコ出身で「裸足のイサドラ」(1968)「ドッグ・ソルジャー」(1978)「フランス軍中尉の女」(1981)「もうひとつのラブストーリー」(1990)等のカレル・ライス。出演はジェームズ・カーン、ポール・ソルヴィノ、ローレン・ハットン、モリス・カーノフスキー、ジャクリーン・ブルックス、バート・ヤング、カーマイン・カリディ、ヴィック・テイバック、スティーヴン・キーツ、ロンドン・リー、M・エメット・ウォルッシュ、ジェームズ・ウッズ、カール・W・クルダップ、アラン・リッチ、ステュアート・マーゴリン他。脚本はジェームズ・トバック、撮影はヴィクター・J・ケンパー、編集はロジャー・スポティスウッド。ニューヨークの大学教授アクセル・フリード(カーン)は、毎晩メンバー制の秘密クラブにやって来ては、ルーレットで大金をすっていた。アクセルの借金は4万4千ドルに膨れ上がり、カジノの胴元であるシンジケートの幹部から返済を迫られる。彼には資産家の祖父ローウェンタール(カーノフスキー)に泣きつくか、女医として成功している母親ナオミ(ブルックス)に金を借りるしか選択肢はなかった……。ギャンブルに憑かれたエリート教授が、周囲の信用を失い、自滅していく姿を描くドラマ。
音楽はジェリー・フィールディングが担当しているが、主人公のアクセル・フリードがオーストリアの作曲家グスタフ・マーラー(1860〜1911)の熱烈な愛好家であるとの設定から、スコアの大半をマーラーの交響曲第1番ニ長調からの引用により構成している(このため、フィールディングのクレジットが「Music
Composed by」でなく「Music Scored by」となっている)。冒頭の「Main
Title」は、荘厳で大らかなトランペットをフィーチャーしたメインタイトル。「On the Morning After」「On
the Morning After (Continued)」「In the Bank」「The Big Win」「Not for a
Jew」「Airplane」「What Time Is It」「I Love Winning」「Monique's
Room」「Finale」は、交響曲第1番第1楽章のアレンジメント。「To Interior School Hall」「On
the Beach」「Waiting for Billie」は、メランコリックなタッチの曲。「Hips Comes to
Visit」「To Granpa's House」「The Fix and the Tall
Tale」は、同第2楽章のアレンジメント。「Granpa's
Victrola」は、同第3楽章の物憂く虚ろな舞踏音楽風の主題。「Waiting for
One」は、第4楽章と第3楽章の一部を織り込んだ曲。「After the
Game」は、第4楽章の主題のアレンジメント。「End
Credits」は、大らかなトランペットのフレーズからジェントルな主題へ展開するエンドクレジット。クラシック音楽の編曲なので、他のフィールディングのスコアと比べると映画音楽的なドラマ性は薄いが、マーラーの原曲が好きな人にとっては興味深いスコア。最後にジャズやポップスによるソース曲7曲と、代替テイク5曲を収録。
このスコアは、1992年に米Bay
CitiesレーベルがリリースしたCD「Jerry Fielding Film Music 3」(米Bay Cities /
BCD-LE 4004)に22分24秒の組曲が収録されていたが、このQuartet
RecordsのCDはコンプリート・スコアの初リリースで、1000枚限定プレス。
(2013年6月)
Jerry Fielding
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