ミズーリ・ブレイク  THE MISSOURI BREAKS

作曲・指揮:ジョン・ウィリアムス
Composed and Conducted by JOHN WILLIAMS

(米Kritzerland / KR 20026-0)

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1976年製作のアメリカ映画。監督は「左きゝの拳銃」(1958)「奇跡の人」(1962)「逃亡地帯」(1966)「ボニーとクライド/俺たちに明日はない」(1967)「アリスのレストラン」(1969)「小さな巨人」(1970)等のアーサー・ペン(1922〜2010)。出演はマーロン・ブランド、ジャック・ニコルソン、ランディ・クエイド、キャスリーン・ロイド、フレデリック・フォレスト、ハリー・ディーン・スタントン、ジョン・マクリアム、ジョン・P・ライアン、サム・ギルマン、スティーヴ・フランケン、リチャード・ブラッドフォード、ジェームズ・グリーン、ルアナ・アンダース、ダニー・ゴールドマン、ハンター・フォン・リアー他。脚本はトーマス・マクゲイン、撮影はマイケル・C・バトラー、編集はジェラルド・B・グリーンバーグ。製作は「動く標的」(1966)「荒鷲の要塞」(1968)「爆走!」(1972)「ロング・グッドバイ」(1973)「軍用列車」(1975)「さらば愛しき女よ」(1975)「北海ハイジャック」(1980)「エンゼル・ハート」(1987)等のエリオット・カストナー(1930〜2010)とロバート・M・シャーマン。西部開拓末期のモンタナを舞台に、馬泥棒の一群対牧場主、そして雇われた殺し屋との闘いを描いた西部劇。牧場主デヴィッド・ブラクストン(マクリアム)と牧童頭マーカー(ブラッドフォード)は、若い馬泥棒サンディ(フォン・リアー)を捕え、その首を吊した。サンディは、トム・ローガン(ニコルソン)をリーダーとする身内意識で固く結ばれたグループ、リトル・トッド(クエイド)、ケアリー(フォレスト)、カルヴィン(スタントン)、サイ(ライアン)の仲間だった。彼らはサンディの仇として、マーカーの首を木に吊した。ローガン一味の動きに不快感をつのらせたブラクストンは、ワイオミングの“整理屋”として名高いガンマン、リー・クレイトン(ブランド)を呼び寄せる……。

音楽はジョン・ウィリアムスで、これは彼が「タワーリング・インフェルノ」(1974)「JAWS/ジョーズ」(1975)「スター・ウォーズ」(1977)「未知との遭遇」(1977)といった大作に大編成オーケストラによるリッチなスコアを提供していた時期の作品だが、ここでは一転してミニマルでライトなスコアを展開。「The Missouri Breaks (Main Title)」は、ストイックなベース、ギター、ハーモニカをフィーチャーした乾いたタッチのメインタイトル。「Logan's Entrance」は、ハーモニカをフィーチャーしたラヴ・テーマの快活なバリエーション。「Logan and Calvin Talk (Unused)」は、ギターとハーモニカによるジェントルな曲。「The Train Robbery」は、スラプスティックでコミカルなタッチの曲。「After the Trial / The Hanging Foreman / Riding the Horse」は、明るく快活なフィドルによる主題からストイックなギターの主題へ。「Boys Will Play」は、ハーモニカ、バンジョー、ギター等をフィーチャーした快活でコミカルな曲。「Clayton at the Wake (Unused)」は、リリカルでジェントルな曲。「Crossing the River」は、明るく軽快な曲。「Clayton's Binoculars」は、ウィリアムスの作品中でおそらく最もミニマルな表現による曲。「Logan and Jane」「The Cabbage Patch」は、ジェントルなラヴ・テーマで、1970年代のウィリアムスのタッチ。個人的にとても懐かしい。「The Mounties Attack / Lee Chases Tod」は、パーカッシヴなアクション音楽。「The Drowning of Tod」は、モールス信号のようなミニマルな曲。「News of Tod」は、静かにジェントルなギターによる曲。「The Rustling Sequence」は、明るく快活な曲。「Si and Cary」は、風のSEを織り込んだ不気味なサスペンス音楽。「Calvin」は、静かでややメランコリックな曲。「End Titles」は、ラヴ・テーマによるエンドタイトル。最後に未使用曲やオルガン、バンジョー、ハーモニカ、フィドルによる5曲をボーナストラックとして収録。
このスコアは公開当時にUnited ArtistsレーベルよりサントラLPが出ていたが、これは当時の慣例として作曲家自身が新たなアレンジによりアルバム用に再録音したものだった。その後、1999年に米Rykodiscレーベルがボーナストラック3曲を追加したCDをリリースし、同じ内容のCDを2004年に米Varese Sarabandeが再発している。今回米KritzerlandレーベルがリリースしたCDは2枚組となっており、1枚目にサントラ音源を初収録し、2枚目に再録音盤LPと同じ内容を収録。1200枚限定プレス。
(2013年8月)

John Williams

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