白いドレスの女  BODY HEAT

作曲・指揮:ジョン・バリー
Composed and Conducted by JOHN BARRY

(米Film Score Monthly / FSMCD Vol.15 No.4) 2012

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1981年製作のアメリカ映画(日本公開は1982年2月)。監督・脚本は「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」(1980)「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」(1981)「スター・ウォーズ/ジェダイの復讐」(1983)「ボディガード」(1992)等の脚本や「再会の時」(1983)「シルバラード」(1985)「偶然の旅行者」(1988)「ワイアット・アープ」(1994)「ドリームキャッチャー」(2003)等の監督・脚本を手がけたローレンス・カスダン。出演はウィリアム・ハート、キャスリーン・ターナー、リチャード・クレンナ、テッド・ダンソン、J・A・プレストン、ミッキー・ローク、キム・ジマー、ジェーン・ハラレン、ラナ・ソーンダース、カローラ・マクギネス、マイケル・ライアン、ラリー・マーコ、デボラ・ルッチェシ、リン・ハロウェル、ソム・シャープ他。撮影はリチャード・H・クライン。ビリー・ワイルダー監督の名作「深夜の告白」にインスパイアされた犯罪スリラーで、キャスリーン・ターナーが“ファム・ファタール”を演じて劇場映画デビューしている。激しい暑さのフロリダの夜、弁護士のネット・ラシーン(ハート)は、海岸沿いの野外ステージで白いドレスを着た1人の女に目を奪わる。その女、マティ・ウォーカー(夕ーナー)のパインウッドの豪邸を見つけたネッドは、彼女が20歳年上の資産家エドマンド(クレンナ)の妻であることを知る。2人は関係を持つようになり、やがてネッドはマティから夫の殺害の計画を持ちかけられる……。

音楽はジョン・バリー(1933〜2011)が作曲しており、これは彼が1980年代に手がけた傑作スコアの1つ。このスコアは1983年に米Southern CrossレーベルからサントラLPが、1989年にオーストラリアのSCSEレーベルから同じ内容のCDがリリースされているが、この米Film Score MonthlyレーベルのCDは2枚組となっており、1枚目にはコンプリート・スコアと代替テイク、ソース音楽、2枚目にはサントラLPの内容(過去にリリースされたアルバムはミキシングがバリーの許可なくやり直されており、ここではバリーが承認したダン・ウォーリンによるオリジナルのミキシングを初収録)とバリー自身によるメインテーマのデモ音源を収録。1枚目の冒頭「Main Title」は、ロニー・ラング(アルト・サックス)、マイク・ラング(ピアノ)、チャック・ドマニコ(ベース)、ジョン・ゲリン(ドラムス)によるジャズ・カルテットをフィーチャーしたハードボイルドでセンシュアルなタッチのメインタイトルで、バリーの個性が明確に出た名曲。このマティの主題は「3M3 / 3M4」「What I Want」「Kill for Pussy」「Nothing We Can Do / Heather and Roz」「Us and Oscar / Oscar」「Watch Your Step」「Better Get Him」等で何度も登場する。「Searching for Matty」「Agreement」は、ストイックで気だるいジャズ。「I'm Weak」「Busted」は、バリーらしい美しい主題。「She Tries」「Hey Lady」「Chapeau Gratis」「Explosion」「Problem」は、センシュアルなサスペンス音楽。「Head / The Breakers」「Surprise」「He's Dead / Basement」「See Ya / 11M1」「Glasses」は、ダークなサスペンス音楽。「I'm Frightened」は、ダイナミックなサスペンスアクション音楽。「Matty Was Mary Ann」 は、メインの主題のリプライズにより締めくくる。
このジャンルの映画に作曲されたハードボイルドなタッチのスコアでは、ジェリー・ゴールドスミスの「チャイナタウン」、デヴィッド・シャイアの「さらば愛しき女よ」等と並ぶ傑作スコア。
(2013年9月)

John Barry

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