(未公開)フランケンシュタイン/禁断の時空 FRANKENSTEIN UNBOUND

作曲・指揮:カール・デイヴィス
Composed and Conducted by CARL DAVIS

演奏:ミュンヘン交響楽団
Performed by the Munich Symphony Orchestra

(米Buysoundtrax Records / BSXCD 8936)

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1990年製作のアメリカ映画(日本では劇場未公開でビデオ発売済)。製作・監督は「アッシャー家の惨劇」(1960)「(未公開)リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」(1960)「黒猫の怨霊」(1962)「忍者と悪女」(1963)「ワイルド・エンジェル」(1966)「聖バレンタインの虐殺/マシンガン・シティ」(1967)「(未公開)血まみれギャングママ」(1970)「レッド・バロン」(1971)等のロジャー・コーマン。出演はジョン・ハート、ラウル・ジュリア、ニック・ブリンブル、ブリジット・フォンダ、キャサリン・ラベット、ジェイソン・パトリック、マイケル・ハッチェンス、キャサリン・コーマン、ウィリアム・ガイガー、ミッキー・ノックス、ミリアム・サイアー、テリ・トリース、シンシア・アリソン、イザベル・ロッシエッタ、マット・キャシディ他。ブライアン・W・オルディスの原作を基にロジャー・コーマンとF・X・フィーニーが脚本を執筆。撮影は「地獄に堕ちた勇者ども」(1969)「ルードウィヒ/神々の黄昏」(1972)「ナザレのイエス」(1977)等のアルマンド・ナンヌッツィとマイケル・スコット。400本以上の作品を手がけている低予算映画の帝王ロジャー・コーマンが「レッド・バロン」以来約20年ぶりに監督したSFホラー映画。2031年、ニュー・ロスアンジェルスで次世代兵器を開発中の科学者ジョー・ブキャナン博士(ハート)の行った実験によって時空に歪みが生じ、彼はコンピューター搭載のスーパーカーと共に1817年のスイスへと飛ばされてしまう。そこでブキャナンは、ヴィクター・フランケンシュタイン博士(ジュリア)と、彼が創造したモンスターと遭遇するが……。ユニヴァーサルからこの映画の監督をオファーされたロジャー・コーマンは、「フランケンシュタインの映画はこれまでに50本くらい作られており、51本目になるこの映画のことは誰も気にもとめないだろうから、やりたくない」と断ったが、その後何年も説得され続け、ついに彼が過去に稼いだいかなる金額をも上回るギャラを提示されて引き受けることにしたという。この作品の製作費は12百万ドルで、過去のコーマン作品の平均製作費の約20倍だった。

音楽は「フランス軍中尉の女」(1981)「チャンピオンズ」(1984)「レインボウ」(1989)「(TV)高慢と偏見」(1995)等のカール・デイヴィス(1936〜)。文芸作品のスコアが多い作曲家で、ロジャー・コーマン監督によるSFホラー作品には珍しい人選のように思えるが、キャリアの初期にクリストファー・リーとピーター・クッシングが共演したイギリス製のホラー映画「(未公開)怪奇!二つの顔の男(I, MONSTER)」(1971)のスコアを手がけており、このジャンルは初めてではない。「Main Titles」は、重厚でパーカッシヴなイントロからダークでドラマティックなメインの主題へ展開するメインタイトル。このメインの主題が「Guilty Verdict / Following Victor」「We Are Brothers」「Meet Mary Godwin」「Victor Appears」「Elizabeth Awakens」等で繰り返し登場する。「Demonstration of Power」は、荘厳なタッチの曲。「Buchanan's Regret」「Reality Check」「The Madness of Possibility」等は、メランコリックな曲。「Time Slips」は、重厚でダイナミックなサスペンス音楽。「Out in the Sticks」は、メランコリックでストイックなマーラー風の主題。「Carriage Ride / First Nightmare」は、躍動的なイントロからメインの主題へ。「Man About Town」は、ジェントルで快活なタッチの曲。「Make Me a Mate」「Third Nightmare」「What Have You Done? / More Power!」等は、サスペンス音楽。「Victor's Confession」は、ダークでメランコリックな曲。「The Hanging / Reference Mary Shelley / Byron」「The End of Justine Moritz」「Second Nightmare」「Preparations」は、ストイックなタッチの曲。「Joe and Mary」は、ジェントルでドラマティックな曲。「The End of Elizabeth」は、メインの主題を含む躍動的でクラシカルな曲。「The Monster's Rage」は、重厚でダイナミックなサスペンス音楽。「Kill Him」は、ドラマティックなサスペンス音楽。「I Am Frankenstein, I Am Unbound」は、重厚でストイックな主題からドラマティックなサスペンス音楽、メインの主題へと展開。「End Credits」は、ジェントルなイントロからメインの主題へと展開するエンドクレジット。19世紀ロマンティシズムを再現した格調高くクラシカルなタッチが秀逸なシンフォニック・スコア。オーケストラはかつてのグランケ交響楽団として知られるミュンヘン交響楽団。
音質があまり良くないのが残念だが、このスコアの初リリースで1200枚限定プレス。
(2013年12月)

Carl Davis

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