(未公開)暗闇からの脱出 ESCAPE FROM THE DARK
作曲・指揮:ロン・グッドウィン
Composed and
Conducted by RON GOODWIN
演奏:グライムソープ・コリアリー・バンド
Performed by the Grimethorpe Colliery
Band
(スペインQuartet Records / SCE072)
1976年製作のイギリス=アメリカ合作映画(アメリカ公開題名は「THE LITTLEST HORSE
THIEVES」/日本では劇場未公開)。監督は「1000日のアン」(1969)「クイン・メリー/愛と悲しみの生涯」(1971)「失われた地平線」(1973)「ダブ」(1974)「真夜中の向う側」(1977)「(TV)ナイト・オブ・ザ・フォックス」(1990)「(TV)鏡の中の他人」(1993)等のチャールズ・ジャロット。出演はアラステア・シム、ピーター・バークワース、モーリス・コルボーン、スーザン・テッブス、アンドリュー・ハリソン、クロエ・フランクス、ベンジー・ボルガー、プルネラ・スケイルズ、レスリー・サンズ、ジョー・グラッドウィン、ジェレミー・ブロック、デレック・ニューアーク、ダンカン・ラモント、イアン・ホッグ、リチャード・ワーナー他。「戦う幌馬車」(1967)「(未公開)女ガンマン・皆殺しのメロディ」(1971)「大列車強盗」(1972)等の監督として知られるバート・ケネディ(1922〜2001)とローズマリー・アン・シッソンによる原案を基にローズマリー・アン・シッソンが脚本を執筆。撮影はポール・ビーソン。1909年のイギリス。ヨークシャー州エルムズデール村の炭鉱の経営者であるハロゲート卿(シム)は、新任マネージャーのサンドマン(バークワース)に炭鉱の機械化を命じる。サンドマンの11歳の娘アリス(フランクス)と、その友人のデイヴ(ハリソン)とトミー(ボルガー)は、機械化によってそれまで炭鉱で働かされていた子馬たちが屠殺されると知り、子馬を盗んで匿おうとするが……。ウォルト・ディズニーの製作としてはダークな内容のドラマ。
音楽はイギリスの名手ロン・グッドウィン(1925〜2003)。「633爆撃隊」(1964)「荒鷲の要塞」(1968)「空軍大戦略」(1969)「ナバロンの嵐」(1978)等の戦争アクションを得意とする作曲家で、ここでは全編がブラスバンドの演奏による劇伴スコアを展開。「Main
Title - Children's
Theme」は、男声バリトンによるメインの主題のヴォーカルから、明るく軽快なマーチによるメインタイトルへ展開。グッドウィンらしい親しみやすいメロディが秀逸で、このメインの主題は「The
Children Round Up the Ponies」「Requiem for Flash - The Pony - As Miners Are
Rescued」等でも繰り返される。「Miner's Theme - Children at Play - Lord
Harrogate's
Theme」は、ストイックな主題、快活な主題から荘厳なマーチへと展開。「Lullaby」は、ジェントルなタッチのララバイ。「Alice
in Disguise - Dream Sequence」は、軽快でコミカルなタッチから後半はメインの主題へ。「Alice
in Tears - Suspense Theme - Children's
Theme」は、荘厳でストイックな主題から抑制されたサスペンス音楽へ。「Starting the Engine -
Descent into the Mine」は、躍動的なタッチからメインのマーチ、抑制されたサスペンス音楽へと展開。「Lost
in the Mine - Escape from the Dark」は、軽快で躍動的なサスペンス音楽。「Operation
Pony Rescue」は、明るく軽快な主題。「Rescue Plan
Foiled!」は、荘厳なトランペット・ソロ。「The Miners Support the
Children」は、ストイックな主題。「Miners Defeated into Desaster at the
Pit」は、ダイナミックなアクション音楽からメインの主題へと展開。ブラスのアタックがグッドウィンらしい。「Search for
Missing Miners」は、ダークなサスペンス。「The Village Band Marches to Tea
Party」「Village Band at the Tea Party」は、明るく快活なマーチ。「Main Title
(Reprise) - End
Title」は、メインのマーチのリプライズによるエンドタイトル。
演奏しているグライムソープ・コリアリー・バンドは、イギリスのサウス・ヨークシャー州グライムソープ村に本拠地を置くブラスバンドで、グライムソープ炭坑従業員のクラブ活動として1917年に設立された(“コリアリー”は炭鉱を意味する)。1996年製作のイギリス映画「ブラス!(BRASSED
OFF)」(監督:マーク・ハーマン/出演:ピート・ポスルスウェイト、ユアン・マクレガー他)は、このグライムソープ・コリアリー・バンドの実話をベースにしており、劇中の演奏もこのバンドが担当している(スコアはトレヴァー・ジョーンズが作曲)。
このスコアは公開当時にイギリスのEMIレーベルからサントラLPが出ていたが、このスペインQuartetレーベルのCDはLPと同じ内容(もともとがコンプリート・スコアだった)の初CD化で、1000枚限定プレス。グッドウィンのファンは必須のアルバム。
(2014年1月)
Ron Goodwin
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