やさしい本泥棒 THE BOOK THIEF
作曲・指揮:ジョン・ウィリアムス
Composed and Conducted
by JOHN WILLIAMS
(米Sony Classical / 88883797072)
2013年製作のアメリカ=ドイツ合作映画(日本公開は2014年6月)。監督は「(TV)シェイクスピア21-から騒ぎ」(2005)「(TV)サリー・ロックハートの冒険/マハラジャのルビー」(2006)「(TV)グレイシー・フィールズ物語」(2009)「(TV)ダウントン・アビー
〜貴族とメイドと相続人〜」(2010〜2012)等のブライアン・パーシヴァル。出演はジェフリー・ラッシュ、エミリー・ワトソン、ソフィー・ネリッセ、ハイケ・マカッシュ、ジュリアン・レーマン、ゴサード・ランゲ、レイナー・ライナーズ、カーステン・ブロック、ニコ・リアーシュ、ルドガー・ボケルマン、ポール・シェーファー、ノゾミ・ライナス・カイザー、オリヴァー・ストコフスキー、ロバート・バイエル、ロジャー・アラム(ナレーション)他。マークース・ズーサックの原作『本泥棒』を基にマイケル・ペトローニが脚本を執筆。撮影はフロリアン・バルハウス。ナチス政権下のドイツを舞台に、風変わりな里親のもとで本の魅力に目覚めていく少女の過酷にして数奇な運命を描くドラマ。第2次世界大戦中のミュンヘン郊外で、里親と暮らす活発な少女リーゼル・メミンガー(ネリッセ)。里親のハンス・フーバーマン(ラッシュ)は、リーゼルが『墓掘り人の手引き』という少女に似つかわしくない本を肌身離さず持っていることから、彼女が字が読めないことに気付き、本を読み聞かせるようになる。ハンスはリーゼルのために地下室の壁にわからない字を書いて“辞書”を作ってやり、リーゼルは読み書きを覚えて、次第に本が持つ魅力に引き込まれていく。しかし、折りしもドイツはナチス政権によって自由に本を読むことを禁じられる時代へと突入していく……。2013年度アカデミー賞の作曲賞、同年のゴールデン・グローブの音楽賞、英国アカデミー賞の作曲賞にノミネートされている。
音楽は、ここ数年スティーヴン・スピルバーグ監督作品に特化してスコアを担当している今年82歳のジョン・ウィリアムス(1932〜)で、これは最近では珍しいスピルバーグ以外の作品。「“One
Small
Fact”」は、ランディ・カーバーのメランコリックなピアノ・ソロによるイントロからドラマティックなメインの主題へ展開。このメインの主題は「Learning
to Write」「Writing to Mama」等でも登場する。「The Journey to Himmel
Street」「Revealing the Secret」は、メランコリックなタッチの曲。「New Parents and a
New Home」は、ピアノとストリングスによるジェントルな曲。「Ilsa's
Library」は、静かにドラマティックなピアノによる主題。「The Snow Fight」「Foot
Race」「Rescuing the Book」は、明るく快活なタッチの曲。「Learning to Read」「The
Train Station」「The Visitor at Himmel
Street」は、繊細でドラマティックな曲。「Book
Burning」は、ダークなサスペンス音楽。「“I Hate Hitler!”」「The Departure of
Max」は、静かに繊細な曲。「Max and Liesel」「“Jellyfish”」「Max
Lives」は、静かにジェントルな曲。「Rudy is
Taken」は、ドラマティックな曲。「Finale」は、ジェントルなピアノとストリングスによるフィナーレ。「The
Book
Thief」は、ピアノ・ソロによるメランコリックなイントロからオーケストラによるメインの主題へ展開する7分以上の曲。抑制されたタッチのドラマティック・アンダースコアで、美しいメインの主題や明るく快活な部分はかつてのウィリアムスのタッチを思い起こさせる。
(2014年3月)
John Williams
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