寒い国から帰ったスパイ  THE SPY WHO CAME IN FROM THE COLD

作曲・指揮:ソル・カプラン
Composed and Conducted by SOL KAPLAN

(米Intrada / Intrada Special Collection Vol.272)

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1965年製作のイギリス映画。製作・監督は「長く熱い夜」(1958)「ハッド」(1962)「暗殺」(1968)「男の闘い」(1969)「コンラック先生」(1974)「ノーマ・レイ」(1979)「アイリスへの手紙」(1989)等のマーティン・リット(1914〜1990)。出演はリチャード・バートン、クレア・ブルーム、オスカー・ウェルナー、サム・ワナメイカー、ジョージ・ヴォスコヴェック、ルパート・デイヴィス、シリル・キューザック、ペーター・ヴァン・アイク、マイケル・ホーダーン、ロバート・ハーディ、バーナード・リー、ベアトリックス・レーマン、エズモンド・ナイト、ウォルター・ゴテル、マイケル・リッパー他。「鏡の国の戦争」(1968)「リトル・ドラマー・ガール」(1984)「ロシア・ハウス」(1990)「テイラー・オブ・パナマ」(2001)「ナイロビの蜂」(2005)「裏切りのサーカス」(2011)等で知られるスパイ小説の名手で、自身が過去に英国諜報部員だったジョン・ル・カレ(1931〜)の原作を基にポール・デーンとガイ・トロスパーが脚本を執筆。撮影はオズワルド・モリス。引退を考えていた英国諜報部ベルリン主任のアレック・リーマス(バートン)は、上司(キューザック)から最後の任務を命じられ、その目的のために諜報部を退職せよと言い渡される。リーマスは酒びたりの荒んだ日々を送り、図書館で働くナン・ペリー(ブルーム)と愛し合うようになる。やがて諜報部はリーマスを呼び戻し、亡命者として東ドイツへの潜入を命じる。目的は、かつてのナチス党員で東ドイツ諜報機関主任のハンス=ディーター・ムント(アイク)が英国諜報部のダブル・スパイであるという証拠をでっちあげ、ユダヤ人の部下フィードラー(ウェルナー)に疑惑を抱かせてムントを告発させることだった……。1965年度アカデミー賞の主演男優賞と美術監督・装置賞(白黒)にノミネートされ、同年のゴールデン・グローブの助演男優賞(オスカー・ウェルナー)、1966年度英国アカデミー賞の作品賞(国内)、男優賞(国内)、撮影賞(モノクロ)、美術賞(モノクロ)を受賞している。

音楽は「ナイアガラ」(1953)「勝利者」(1963)「栄光の丘」(1966)「(TV)スター・トレック/宇宙大作戦」(1966〜1968)「永遠のエルザ」(1972)「レベルポイント」(1979)等のアメリカ人作曲家ソル・カプラン(1919〜1990)が担当。公開当時に米RCAレーベルからリリースされた再録音版サントラLPの内容(全11曲)に続いて、映画のサントラ音源(17曲)が収録されている。サントラ音源の「Main Title」は、ダイナミックで重厚なイントロからメランコリックなタッチのメインの主題へと展開するメインタイトル(同じ曲がLP再録音版ではよりキャッチーなビッグ・バンド・ジャズのアレンジメントになっている)。「Piano Prelude」は、メインの主題のピアノによるバリエーション。「The Spy Comes In」「Control」「Labour Exchange / Walk in the Rain」「Assignation」「Contact」「The Cell Door #1」「End of the Spy」等は、メインの主題を織り込んだサスペンス音楽。「The Pussy Willow Club」は、ストリップ・クラブのシーンでのダンス・ミュージックのソース音楽。「Interlude」「Waiting for Fiedler」も、メインの主題のバリエーション。「The Newsphoto」は、メランコリックなタッチの曲。「The Compound」は、ダークで重厚なサスペンス音楽。最後の「Theme From The Spy Who Came in From the Cold」は、メインの主題のジャズによるアレンジメント。全体がメインの主題の様々なバリエーションで構成されたスコアで、初期のジョン・バリー的な暗さを帯びたタッチ。
過去のLPジャケットでも使われていたリチャード・バートンのポートレートによるアートワークが秀逸。初CD化/サントラ音源の初リリースで限定プレス。
(2014年5月)

Sol Kaplan

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