ゼロの未来  THE ZERO THEOREM

作曲:ジョージ・フェントン
Composed by GEORGE FENTON 

(英Milan / 399 530-2)

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2013年製作のイギリス=アメリカ=フランス=ルーマニア合作映画(日本公開は2015年5月16日)。監督はモンティ・パイソンのメンバーで「バンデットQ」(1981)「未来世紀ブラジル」(1985)「バロン」(1989)「フィッシャー・キング」(1991)「12モンキーズ」(1995)「ブラザーズ・グリム」(2005)「ローズ・イン・タイドランド」(2005)「Dr.パルナサスの鏡」(2009)等の監督作があるテリー・ギリアム(1940〜)。出演はクリストフ・ヴァルツ、メラニー・ティエリー、デヴィッド・シューリス、ルーカス・ヘッジス、マット・デイモン、ベン・ウィショー、ティルダ・スウィントン、ピーター・ストーメア、サジーヴ・バスカー、ルパート・フレンド、グウェンドリン・クリスティー、イングリッド・ビスー、マディソン・リゴ、ルリア・ヴェルデス、ロビン・ウィリアムス他。脚本はパット・ラッシン。撮影はニコラ・ペコリーニ。監督のテリー・ギリアムが「未来世紀ブラジル」(1985)「12モンキーズ」(1995)に続く“ディストピア風刺劇3部作”の1作と呼ぶ、彼のフィルモグラフィー中でもより哲学的な内容の作品。ロンドンの巨大企業マンコム社に雇われているエキセントリックなコンピューター・プログラマー、クオーエン・リス(ヴァルツ)は、自らの存在理由に悩みながら焼け落ちた教会に独りで住み、電話がかかってくるのを待ち続けていた。その電話が彼の悩みを解決してくれると信じて。彼は、マンコム社の経営者(デイモン)から謎の方程式である“ゼロ定理(The Zero Theorem)”の解明を命じられる。しかし彼の仕事は、ウェッブカム・ストリッパーのベインズレー(ティエリー)、経営者の息子ボブ(ヘッジス)、会社の上司ジョビー(シューリス)、AIセラピストのシュリンク=ロム博士(スウィントン)たちによって何度も妨げられる……。今月の11日に63歳で自ら命を絶ったロビン・ウィリアムスが、クレジットなしでカメオ出演している。2013年度ヴェネチア国際映画祭の正式出品作品。

音楽は、テリー・ギリアム監督と「フィッシャー・キング」(1991)でも組んでいるイギリスの作曲家ジョージ・フェントン(1950〜)。「The Zero Theorem Main Title」は、静かでややメランコリックなタッチのメインタイトル。「Leth on the Street」「The Entities Won't Crunch」「Bob Collapses」は、ミステリアスでアブストラクトな曲。「Creep」は、カレン・スーザのセンシュアルな女声ヴォーカルによるジェントルな挿入歌。「Remote Central」「The Nurse」は、軽妙なタッチの曲。「Joby's Party Part 1」「Joby's Part 2」「Joby's Part 3」は、打ち込みによる無機的な曲。「Meeting Management」は、ダークで幻想的な曲。「The Mainframe」「Bob and the Clones」「Bob's on the Job」「Q Loses It」は、不気味でダークなタッチのサスペンス音楽。「Enter in Tropical Style」は、曲名通りトロピカルなタッチの曲。「Beach Romance」は、ジェントルでロマンティックな主題からサスペンス音楽へ。「Shrink Rom Rap - Bob's Crunch」は、出演者の1人であるティルダ・スウィントンのヴォーカルによるロックソング。「Inside Your Head」「There'll Be No Call」「We Can Be Together」「Bainsley Leaves」は、ジェントルなタッチの曲。「Destroying the Mainframe and the Release」は、ダークでアブストラクトなサスペンス音楽。「Qohen Leth」は、メランコリックなタッチの曲。ジョージ・フェントンはオーケストラによる情感豊かなドラマティック・スコアを得意とする作曲家だが、ここでは(監督曰く)予算の制約から電子楽器中心の演奏による、やや前衛的なタッチのスコアを展開。
(2014年8月)

George Fenton

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