サンダーバード  THUNDERBIRDS ARE GO
サンダーバード6号  THUNDERBIRD 6

作曲・指揮:バリー・グレイ
Composed and Conducted by BARRY GRAY 

(米La-La Land / LLLCD 1306)

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ジェフ・トレーシーと彼の息子たちによる国際救助隊の活躍を描いたジェリー・アンダーソン製作のスーパーマリオネーションによる傑作TVシリーズ「サンダーバード(THUNDERBIRDS)」の劇場映画版2作品のスコアをカップリングにしたアルバム。

「サンダーバード(THUNDERBIRDS ARE GO)」は1966年製作のイギリス映画(日本公開は1967年7月)。監督は「(TV)謎の円盤UFO」(1970〜1973)等のデヴィッド・レイン。脚本はジェリー&シルヴィア・アンダーソン、撮影はアラン・ペリー、VFXはデレク・メディングス。声の出演はピーター・ダイネリー(ジェフ・トレーシー役)、シェーン・リマー(スコット・トレーシー)、ジェレミー・ウィルキン(バージル・トレーシー)、マット・ジマーマン(アラン・トレーシー)、デヴィッド・グラハム(ゴードン・トレーシー、ブレインズ、パーカーの3役)、レイ・バレット(ジョン・トレーシー、フッドの2役)、クリスティン・フィン(ミンミン)、シルヴィア・アンダーソン(レディ・ペネロープ・クレイトン=ウォード)他。巨大宇宙船ゼロエックス号による人類初の有人探査計画が、機内に侵入した悪漢フッドの妨害によって失敗に終わる。2号機は国際救助隊の協力により厳重な監視下で打ち上げられ、無事火星に到着するが……。

音楽はジェリー・アンダーソン製作作品の常連作曲家バリー・グレイ(1908〜1984)。「Main Titles and Zero X」は、パーカッションによるイントロから勇壮なサンダーバード・マーチ、続いて、よりスペクタキュラーな「ZERO X」のマーチへと展開するメインタイトル。「Zero X Theme / Spy on Board」は、「ZERO X」のマーチ(これは名曲)からサスペンス音楽へと展開。「Thunderbirds Are Go / Penelope on the Move」は、サンダーバード・マーチから、場面に合わせてTVシリーズと共通の様々な主題へとメドレー風に展開する曲。「Journey to Mars and The Swinging Star」も、「ZERO X」の主題、サスペンス音楽等、様々な主題に展開。「Fall to Earth / Martian Exploration」は、不気味なサスペンス音楽。「Rock Snakes / Escape From Mars」「Time Passes」は、ダイナミックなサスペンスアクション音楽。「End Titles」は、「THUNDERBIRDS ARE GO!」の掛け声からサンダーバード・マーチへと展開するエンドタイトル。

ジェリー・アンダーソン作品でのバリー・グレイのスコアは、イギリスのSilva Screenレーベルと、アンダーソンのファンクラブ「FANDERSON」(こちらはメンバー限定)から大半がCDとしてリリースされており、この劇場版「サンダーバード」のスコアも1988年にCD化されている(英Silva Screen / FILMCD 018)が、これは新録音だった。今回の米La-La LandレーベルのCDはサントラ音源の初リリース。

「サンダーバード6号(THUNDERBIRD 6)」は、1968年製作のイギリス映画。監督のデヴィッド・レイン、脚本のジェリー&シルヴィア・アンダーソン、VFXのデレク・メディングスは劇場版1作目と共通だが、撮影がハリー・オークスに変更。声の出演も大半が1作目と同じだが、ジョン・トレーシー役がキース・アレクサンダー、フッド役がゲリー・ファイルズに変更。その他、ジョン・カーソン(フォスター役)、ジェフリー・キーン(ジェームズ・グレン役)等が担当。ブレインズが新たに開発した反重力推進の民間大型遊覧飛行船スカイシップ1号。その処女航海となる世界一周飛行には国際救助隊の面々も招待されていたが、乗組員に成りすまして乗り込んだ謎の組織「ブラックファントム」の一味が国際救助隊の秘密を探ろうと企んでいた。その陰謀に気付いた救助隊メンバーと船内で戦闘となるが、その際の流れ弾で人工重力装置が破損し、スカイシップが航行不能となってしまう……。

音楽は同じくバリー・グレイ「Plans to Build a Skyship and THUNDERBIRD 6 Main Titles」は、サスペンスフルなイントロからコミカルなタッチの主題、サンダーバード・マーチのジェントルなアレンジメント、明るく軽快な「サンダーバード6号」の主題へと展開するメインタイトル。「Flight of the Tiger Moth」は、サンダーバード・マーチの軽快なアレンジメントから優雅なワルツへ。「Operation Escort」も、サンダーバード・マーチのバリエーション。「The Ballroom Jazz」「Dinner Aboard Skyship One」は、ソフトなタッチのジャズ。「Welcome Aboard / Dumping Bodies」は、サスペンス音楽やコミカルなタッチの主題等のメドレー。「Skyship Journey - Grand Canyon to Melbourne」は、大らかな主題からコミカルなタッチのサスペンス音楽等へ展開。「Indian Street Music」は、エキゾチックなタッチの主題。「Skyship Journey - Egypt to Switzerland and The Whistle Stop Inn」は、アラビックな主題、明るく優雅な主題、サンダーバード6号の主題へと展開。「Thunderbirds Are Go / The Trap / Tower Collision」は、サンダーバード6号の主題、サンダーバード・マーチ、ハイテンションなサスペンスアクション音楽へと展開。「Tiger Moth Escape」は、明るく軽快なタッチからサスペンスアクション音楽へ。「Crash Landing and Conclusion」も、アクション音楽からサンダーバード・マーチへと展開し、締めくくる。

このスコアは2004年に米MGMレーベルからサントラCDがリリースされていた(米MGM Music / MGMCD 001)が、これはモノラル音源だった。今回のCDはステレオ音源の初CD化。1,200枚限定プレス。

最後にこの2作品の日本語吹替について。
@最初の劇場公開時には、TVシリーズ版と同じ声優陣により日本語吹替版が制作されたが、その音源が紛失してしまったため、A全く新しい声優陣により吹替版が再度制作された(劇場版のTV放映時にはこの吹替版を使用)。Bその後1992年にリリースされたVHS版では声優陣を更に一新した吹替版が制作された(この吹替版はLDにも収録)。C更にその後、2003年8月、2004年1月に劇場版がNHKでTV放映された際に、最初のTVシリーズ版と極力同じ吹替キャストによって再アフレコされたが、その時点での故人や引退した声優のパートについては別の声優が起用された(2004年に発売された2作品のDVDには、このNHK版の吹替が収録されている)。

役名  @TVシリーズ  A新録音版   BVHS/LD版  CNHK/DVD版 
    劇場版  6号     
ジェフ  小沢重雄  中村正  中村正  阪脩  小沢重雄 
スコット  中田浩二  石丸博也  石丸博也  大塚芳忠  中田浩二 
バージル  宗近晴見  村山明  村山明  大滝進矢  宗近晴見 
アラン  剣持伴紀  須田博光  石立鉄男  難波圭一  菅沼久義 
ゴードン  和田一壮  鈴木清信  永田博丈  宮本充  藤田圭宣 
ジョン  桜井英一  井口成人  市川治  堀秀行  福島潤 
ブレインズ  大泉滉  小宮山清  八代駿  富山敬  龍田直樹 
ミンミン  里見京子  水野谷左絵  中川まり子  榊原良子  里見京子 
ペネロープ  黒柳徹子  日々野美佐子  日々野美佐子  小原乃梨子  黒柳徹子 
パーカー  今橋恒  八奈見乗児  青野武  及川ヒロオ  松岡文雄 
フッド  西田昭市  飯塚昭三  飯塚昭三  笹岡繁蔵  谷昌樹 

(2014年9月)

Barry Gray

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