パッション  PASSION

作曲:ピノ・ドナジオ
Composed by PINO DONAGGIO

指揮:ナターレ・マッサーラ
Conducted by NATALE MASSARA

演奏:チェコ国立交響楽団
Performed by the Czech National Symphony Orchestra

(スペインQuartet Records / SM023) 2013

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2012年製作のフランス=ドイツ合作映画(日本公開は2013年10月)。監督・脚本は「愛のメモリー」(1976)「フューリー」(1978)「殺しのドレス」(1980)「スカーフェイス」(1983)「アンタッチャブル」(1987)「ミッション:インポッシブル」(1996)「ファム・ファタール」(2002)「ブラック・ダリア」(2006)等のブライアン・デ・パルマ(1940〜)。出演はレイチェル・マクアダムス、ノオミ・ラパス、カロリーネ・ヘルフルト、ポール・アンダーソン、ドミニク・ラーケ、ライナー・ボック、ベンヤミン・サドラー、ミヒャエル・ロチョフ、マックス・ウルラヒャー、ヨルグ・ピンシュ、トリスタン・プッター、パトリック・ハイン、カルロ・カストロ、メリッサ・ホルロイド、イアン・T・ディッキンソン他。撮影はホセ・ルイス・アルカイネ。フィルム・ノワール作品で知られるフランスのアラン・コルノー監督の遺作「(未公開)ラブ・クライム 偽りの愛に溺れて(CRIME D'AMOUR)」(2010/出演:リュディヴィーヌ・サニエ、クリスティン・スコット・トーマス他)のリメイクで、オリジナル脚本を手がけたナタリー・カルテールが本作の脚本にも参加している。大手広告代理店で働く女性社員が、自分を陥れた悪辣な女性上司に対して仕掛ける復讐劇を描いた心理スリラー。狡猾で野心にあふれるクリスティーン・スタンフォード(マクアダムス)は、ニューヨークに本社を持つ世界的な広告代理店のベルリン支社で働くエグゼクティヴ。彼女の優秀な部下イザベル・ジェームズ(ラパス)は、新作スマートフォン“オムニフォン”の広告企画で斬新なアイデアを提案し、クリスティーンから任されたロンドンでのプレゼンを成功に導く。ところがクリスティーンはその手柄を横取りし、ずっと狙っていたニューヨーク本社への復帰を勝ち取る。その後もクリスティーンの執拗な嫌がらせに苦しめられ続けるイザベルだったが……。ドビュッシーのバレエと殺人の過程をスプリットスクリーンで延々と描写するシークエンスや、ディオプターレンズを使ったショットが、かつてのデ・パルマのタッチを思い起こさせて個人的には懐かしい。

音楽は「キャリー」(1976)「(未公開)悪夢のファミリー」(1979)「殺しのドレス」(1980)「ミッドナイトクロス」(1981)「ボディ・ダブル」(1984)「レイジング・ケイン」(1992)といった全盛期のブライアン・デ・パルマ監督作品の常連作曲家だったイタリア人のピノ・ドナジオ(1941〜)で、これは「レイジング・ケイン」以来、20年ぶりのデ・パルマとのコラボレーション。「Twin Souls」は、クラシカルかつ躍動的でドラマティックな曲で、ドナジオのセンスの良さを感じさせる。「The Breakdown」は、ジャンルカ・ポディオのピアノ・ソロによるジェントルな曲。「Passion Theme」は、サスペンス調のイントロからピアノとストリングスによるリリカルで美しい主題へと展開する、ドナジオらしい流麗なタッチの曲。「Back Issues」「Higher Heels」は、ロックのソース曲。「Know that Know」は、打ち込みによるサスペンス曲でラストにストリングスによるショック・フレーズが入る。「A Dreamer's Deam」は、ドラマティックなサスペンス音楽。「Prelude a L'apres-Midi d'un Faune (Debussy)」は、フランスの作曲家クロード・ドビュッシー(1862〜1918)作曲の「『牧神の午後』への前奏曲」で、上述のバレエ×殺人のシーンに流れる。「Perversions and Diversions」は、サックスをフィーチャーしたセンシュアルなジャズ。「The Last Drop」は、情感豊かでややメランコリックな曲。「Journey Though a Nightmare」は、静かにドラマティックな主題からドナジオらしい流麗なサスペンス音楽へ。ラストの「Last Surprise」は、リリカルで美しい曲。ドナジオの傑作スコア「殺しのドレス」に通ずるロマンティック・スリラーのタッチが、これまた懐かしい。
(2014年9月)

Pino Donaggio

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