LUCY/ルーシー  LUCY

作曲・指揮:エリック・セラ
Composed and Conducted by ERIC SERRA

演奏:パリ交響楽団
Performed by L'orchestre symphonique de Paris

(仏EuropaCorp/IDOL / 649.A020.020)

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2014年製作のフランス映画。監督・脚本は「サブウェイ」(1984)「グラン・ブルー」(1988)「ニキータ」(1990)「レオン」(1994)「フィフス・エレメント」(1997)「ジャンヌ・ダルク」(1999)「アンジェラ」(2005)「アーサーとミニモイの不思議な国」(2006)「アデル/ファラオと復活の秘薬」(2010)「The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛」(2011)「マラヴィータ」(2013)等のリュック・ベッソン(1959〜)。出演はスカーレット・ヨハンソン、モーガン・フリーマン、チェ・ミンシク、アムール・ワケド、ジュリアン・リンド=タット、ピルー・アスベック、アナリー・ティプトン、ニコラ・ポンペット、ヤン・オリヴァー・シュローダー、リュカ・アンジュレッティ、ロイク・ブラバン、ピエール・グラモン、ピエール・ポワロ、ベルトラン・クオニアム、パスカル・ロワゾン他。撮影はベッソン監督作品の常連ティエリー・アルボガスト。製作はベッソン夫人のヴィルジニー・ベッソン=シラ。プロダクション・デザインのユーグ・ティサンディエ、衣装デザインのオリヴィエ・ベリオも昔からのベッソン組。台北で最近知り合ったばかりの男からスーツケースをホテルに届けるように無理矢理頼まれたルーシー(ヨハンソン)は、ワン(ミンシク)率いる韓国マフィア一味に拉致され、下腹部に新種のドラッグの入った袋を埋めこまれて運び屋に仕立てられてしまう。だが、下腹部を強打されたルーシーの体内でドラッグが漏れ出し、彼女の脳に異変が生じはじめる。通常の人間は脳の潜在能力の10%しか活用していないが、ルーシーの脳はそれを遥かに越えて覚醒していく。驚異的なスピードで言語をマスターし、目に見えない電波をコントロールできるようになるルーシー。マフィアの追手を易々とかわし、脳科学の権威ノーマン博士(フリーマン)とコンタクトを取るべくパリへと向かう。次々と人智を超えた能力を発揮するルーシーだが、同時に人間性が失われていき、自身でさえもコントロール不能な状態となっていく……。ベッソン率いるヨーロッパ・コープ製作のフランス映画だが、全世界の権利をユニバーサルが取得したので、日本はその提携先の東宝東和が配給。冒頭でヨハンソンがマフィア一味に拉致されるシーンは、ミンシクにゲイリー・オールドマン並みの迫力があって「レオン」の一家惨殺シーンに通ずる緊迫感がある。ミシェル・ジュリエンヌの監修によるパリでのハイテンションなカーチェイス・シーンも手馴れたもの。ベッソン監督作品としては日本でも久々のヒットとなった。

音楽はベッソン監督の盟友エリック・セラ(1959〜)。「Sister Rust」は、イギリスのシンガーソングライター、デイモン・アルバーンの作曲・ヴォーカルによるややメランコリックなタッチの主題歌。「First Cells」は、打ち込みによるややミステリアスなタッチの曲。「Mr.Wang's Bloddy Suite, Pt.1 to 4」は、ダークなサスペンス音楽で中盤ハイテンションに盛り上がる。「Mr.Wang's Bloddy Suite, Pt.5 to 7」は、ダークでミリタリスティックなサスペンス音楽。「All We Have Done with It」は、サックスをフィーチャーした軽妙なタッチの曲。「Choose to Reproduce」「I Feel Everything」は、メランコリックな曲。「Inner Fireworks」は、不気味なサスペンス音楽で後半ダイナミックに盛り上がる。「Lucy is Going Out, Pt.1」「Lucy is Going Out, Pt.2」「Tingjhou Hospital」「Taipei Airport」「Lucy and the Sniffer Dog」「Green Beams」「Grossing the Goon Sea」「Time Is Unity」は、打ち込みによるサスペンス音楽。「Requiem in D Minor, K.626」は、劇中で流れるモーツァルト作曲の「レクイエム ニ短調 K.626」(リッカルド・ムーティ指揮ベルリン・フィル)。「Thank You for Sharing」は、ストイックなタッチの曲。「Disintegration」は、ダイナミックなサスペンス音楽。「Sling the Decks (The Single Barrel Mix)」は、The Crystal Method(スコット・カークランド、ケネス・ジョーダン)によるロック曲。「Pleasant Drive in Paris」「Sixty Percent Mess」は、ビジーなサスペンスアクション音楽。「GPS Control」は、不気味なサスペンス音楽。「Goons and Guards」「Blue Injection」は、ダークでミリタリスティックなサスペンス音楽。「Melt into Matter」は、秦茂子のソプラノをフィーチャーしたストイックなタッチの曲。「Flicking Through Time」「Origin of the World」は、ストイックかつドラマティックな曲。「Lucy and Lucy」「Moonbirth」は、荘厳なタッチからドラマティックに盛り上がる。ラストの「I Am Everywhere」は、冒頭の「First Cells」のリプライズ。エリック・セラ自身がギター、ベース、ウクレレ、パーカッション、ピアノ等の演奏を担当している。
(2014年10月)

Eric Serra

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