サン★ロレンツォの夜  LA NOTTE DI SAN LORENZO

作曲・指揮:ニコラ・ピオヴァーニ
Composed and Conducted by NICOLA PIOVANI

(スペインQuartet Records / QR163)

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1982年製作のイタリア映画(英語題名は「THE NIGHT OF THE SHOOTING STARS」/日本公開は1983年2月)。監督は「父/パードレ・パドローネ」(1977)「カオス・シチリア物語」(1984)「グッドモーニング・バビロン!」(1987)「太陽は夜も輝く」(1990)「フィオリーレ/花月の伝説」(1993)「塀の中のジュリアス・シーザー」(2012)等のパオロ・タヴィアーニ(1931〜)とヴィットリオ・タヴィアーニ(1929〜)兄弟。出演はオメロ・アントヌッティ、マルガリータ・ロサーノ、クラウディオ・ビガリ、ミリアム・グイデッリ、マッシモ・ボネッティ、エンリカ・マリア・モデューニョ、サビーナ・ヴァヌッキ、ジョルジョ・ナッディ、レナータ・ザメンゴ、ミコル・グイデッリ、マッシモ・サルキエッリ、ジョヴァンニ・グイデッリ、マリオ・スパッリーノ、ノルマ・マルテッリ、マウロ・モンニ他。脚本はパオロ・タヴィアーニ、ヴィットリオ・タヴィアーニ、ジウリアーニ・G・デ・ネグリとトニーノ・グエッラ。撮影はフランコ・ディ・ジャコモ。第二次大戦も終わりに近い1944年のイタリア中部トスカーナ地方を舞台に、連合軍を求めて脱出の旅に命を賭ける村人たちの姿を描くドラマ。トスカーナでは、8月10日の聖ロレンツォの日の夜に愛する人のために流れ星に願いをかけると叶うという言い伝えがある。この夜、チュチリアは愛するわが子に、自分が6歳の時に体験した出来事を回想するのだった――。1944年の夏、ドイツ軍占領下のイタリア中部では連合軍の北上が待たれていた。サン・マルティーノ村の教会では、徴兵を拒否したコラード(ビガリ)と、既に身重のベリンディア(グイデッリ)の結婚式が行なわれていた。村の司教から、ドイツ軍司令部が人家を爆破することを決定し村人全員を教会に集合させると聞いた人々は、大聖堂へと向かうが、ガルヴァーノ(アントヌッティ)はドイツ軍の罠かもしれないと考え、村を脱出して連合軍を探しに行こうと決意する。チェチリア(グイデッリ)も母のイヴァーナ(マルテッリ)とガルヴァーノたち一行に加わり、日没を待って出発するが……。ドイツ軍が村人の集まった教会を爆破するシーンは、タヴィアーニ兄弟の出身地であるイタリアの村で実際にあった出来事だが、この映画の公開から20年以上後に再調査が行われ、実際にはアメリカ軍の誤爆により教会が爆破されたことが判明したという。1982年度カンヌ国際映画祭の公式コンペティション作品で、審査員特別グランプリとキリスト教一致運動賞を受賞している他、1983年度全米批評家協会賞の作品賞と監督賞を受賞している。

音楽は、この作品以降タヴィアーニ兄弟と「カオス・シチリア物語」(1984)「グッドモーニング・バビロン!」(1987)「太陽は夜も輝く」(1990)「フィオリーレ/花月の伝説」(1993)「(未公開)笑う男」(1998)「復活」(2001)「(TV)サンフェリーチェ/運命の愛」(2004)でも組んでいるイタリアの作曲家ニコラ・ピオヴァーニ(1946〜)で、これは彼の初期の傑作スコア。最初にイタリアのCAMレーベルからリリースされていたサントラLP/CDと同内容の5曲を収録し、その後に初リリースとなるコンプリート・スコアを収録。「La Notte di San Lorenzo (Part I)」は、ジェントルかつメランコリックな子守唄のような“ピオヴァーニ節”のメインの主題から、ストイックで躍動的なマーチ調の主題等へと展開していく15分以上の深遠かつドラマティックな曲。「John Brown's Body」は、劇中でアメリカ兵の象徴として流れる「リパブリック賛歌」。「Offertorium」は、大らかに荘厳なテノールの歌唱によるジュゼッペ・ヴェルディ作曲の「レクイエム」。「O du Mein Holder Abenstern」は、リヒャルト・ワーグナー作曲のオペラ「タンホイザー」の『夕星の歌』で、劇中でドイツ兵が歌う曲。「La Notte di San Lorenzo (Part II)」も、冒頭の曲と同様メインの主題等を織り込んだ10分近い曲。続くコンプリート・スコア(明確な曲名がなく、シークエンス番号のみとなっている)は、「La Notte di San Lorenzo (Seq. 1 - Titoli di Testa)」「Seq. 2」「Seq. 6」「Seq. 8」「Seq. 10」が、メインの主題のバリエーション。「Seq. 3」は、メランコリックなタッチから「リパブリック賛歌」へと展開。「Seq. 4」は、ドラマティックな主題。「Offertorium (Alt. Take)」は、ヴェルディの「レクイエム」の代替テイク。「Seq. 5」「Seq. 7」「Seq.11 -Titoli di Coda」は、ストイックで躍動的なマーチ調の主題。「O du Mein Holder Abenstern (Alt. Take)」は、「タンホイザー」の代替テイク。「Seq. 9」は、サスペンスフルなタッチの曲。500枚限定プレス。
(2014年12月)

Nicola Piovani

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