(未公開/TV)POLLYANNA

作曲・指揮:クリストファー・ガニング
Composed and Conducted by CHRISTOPHER GUNNING 

(独Caldera Records / C6006)

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2003年製作のイギリスのテレビ映画。監督は「(TV)めざせダウニング街10番地」(1986)「(TV)外科医の恋」(1997)「(TV)名探偵ポワロ ひらいたトランプ」(2005)等のサラ・ハーディング。出演はアマンダ・バートン、ケネス・クラナム、ジョージナ・テリー、アデン・ジレット、パム・フェリス、ケイト・アシュフィールド、トム・ベル、トム・エリス、デヴィッド・バンバー、ベン・ソーントン、ジュディ・フリン、アマンダ・ウォーカー、ニコラ・デュフェット、ジャン・ケアリー、ジェラルディン・フィッツジェラルド他。アメリカの作家エレノア・ホグマン・ポーター(1868〜1920)の原作を基にサイモン・ナイが脚本を執筆。撮影はクリス・オデル。両親を亡くした11歳の少女ポリアンナ(テリー)は、気難しく冷酷な富豪の叔母ポリー(バートン)の邸宅に引き取られるが、何にでも喜びと楽しみを見出す楽観的なポリアンナは、牧師だった父親から教えられた“しあわせゲーム”を広めて、ベルディングスビルの町を明るく変えていく……。ポーターの原作は、日本でも『少女パレアナ』(角川文庫)『少女ポリアンナ』(ポプラ社)等の翻訳が出版されており、1960年製作のディズニー映画「ポリアンナ(POLLYANNA)」(監督:デヴィッド・スウィフト/出演:ヘイリー・ミルズ、ジェーン・ワイマン、リチャード・イーガン)等、何度も映画化されている他、日本でも1986年に「愛少女ポリアンナ物語」(監督:楠葉宏三)としてテレビアニメ化され、フジテレビで放映されている。

音楽はイギリスの作曲家クリストファー・ガニング(1944〜)。「Opening Titles」は、フルート、ピアノ、ストリングスによるジェントルで親しみやすいポリアンナの主題で、このメインの主題は「Pollyanna has a Dog」「Preparing for the Wedding」「Treatment for Pollyana」「The New Room」「Pollyanna's Beautiful Game」等で何度も登場する。「Arriving at Aunt Pollys」「The New Car」は、明るく快活な曲。「Not Much of a Welcome」「Nocturne」は、ダークで抑制されたタッチの曲。「Pollyanna Climbs out of the Window」「Pollyanna Goes Visiting」「Aunt Polly Softens」「Goodness is Waiting 」「A New Hairdo for Aunt Polly」「Pray that She May Walk Again」等は、ジェントルなタッチの曲。「Pollyanna Running to Fetch the Doctor」は、サスペンス調の曲。「Pollyanna - A Lifelong Invalid」「Pendleton Visits Aunt Polly」は、メインの主題のメランコリックなタッチのアレンジメント。「Doctor Chilton to the Rescue」「She Said Yes」は、躍動的なタッチの曲。「Pollyanna's Father」は、静かにドラマティックな曲。「Closing Title」は、メインの主題のリプライズによるクロージング曲(プロデューサーが明るすぎると判断して実際の映画では流れなかった)。いかにもイギリスの作曲家らしい、牧歌的かつ繊細で美しいスコア。フルート、オーボエ、クラリネット、バスーン、フレンチホルン、ピアノ、ハープと21人のストリングスから構成される計28人のオーケストラによる演奏で、ピアノ・ソロはジル・クロスランド。

最後にボーナストラックとして、クリストファー・ガニング自身による25分ほどのオーディオコメンタリーが収録されているが、ここではリチャード・ロドニー・ベネットに師事したこと(ベネットのスコアでは「遥か群衆を離れて」が好みと)、最初に手がけた長編映画のスコア「さよならジェミニ」(1970)で殺人シーンの音楽が書けずに苦労し、友人のジョン・スコットに作曲を手伝ってもらったこと、彼の代表作「(TV)名探偵ポワロ」のメインテーマではソプラノ・サックスの演奏で軽妙なタッチを出したが、映像に合わせてみると軽すぎたためアルト・サックスに変更したこと、自分のスコアでは「(未公開)疑惑に抱かれて(Under Suspicion)」「ファイアーライト(Firelight)」が好みであること、この「(未公開/TV)POLLYANNA」のスコアの作曲がこれまででも最も幸福な体験であったこと等を語っている。
(2015年3月)

Christopher Gunning

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