愛のメモリー OBSESSION
作曲・指揮:バーナード・ハーマン
Composed and Conducted
by
BERNARD HERRMANN
演奏:ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団、テームズ室内合唱団(ルイス・ヘイズリー指揮)
Performed by the National Philharmonic Orchestra, The
Thames
Chamber
Choir conducted by
Louis Hasley
(仏Music
Box Records / MBR-060)
1976年製作のアメリカ映画(日本公開は1978年1月)。監督は「キャリー」(1976)「フューリー」(1978)「殺しのドレス」(1980)「スカーフェイス」(1983)「アンタッチャブル」(1987)「ミッション:インポッシブル」(1996)「ファム・ファタール」(2002)「ブラック・ダリア」(2006)「パッション」(2012)等のブライアン・デ・パルマ(1940〜)。出演はクリフ・ロバートソン、ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルド、ジョン・リスゴー、シルヴィア・クーンバ・ウィリアムス、ワンダ・ブラックマン、J・パトリック・マクナマラ、スタンリー・J・レイズ、ニック・クライガー、ストッカー・フォントリュー、ドン・フッド、アンドレア・エスターヘイジー、トーマス・カー、トム・フェルリー、ネラ・シモンチーニ・バルビエリ、ジョン・クリーマー他。「ザ・ヤクザ」(1974)「タクシードライバー」(1976)「ローリング・サンダー」(1977)「レイジング・ブル」(1980)等の脚本や「アメリカン・ジゴロ」(1980)「ザ・ハリウッド」(2013)等の監督を手がけたポール・シュレイダー(1946〜)とブライアン・デ・パルマの原案を基にポール・シュレイダーが脚本を執筆。撮影は「未知との遭遇」(1977)「ディア・ハンター」(1978)「天国の門」(1981)等のヴィルモス・ジグモンド。実業家のマイケル・コートランド(ロバートソン)がニューオリンズの自宅で妻のエリザベス(ビュジョルド)、娘のエイミー(ブラックマン)たちと結婚10周年の記念パーティを開いた夜、エリザベスとエイミーが何者かに誘拐されてしまう。マイケルは親友で共同経営者のロバート(リスゴー)に相談し、警察のブリー警部(レイズ)の指示に従って白紙の身代金を犯人側に渡す。警察の追跡を逃げ切ろうとした犯人の車は、タンクローリーと激突して川に落ちてしまう。16年後、マイケルはエリザベスと出逢ったフィレンツェの思い出の教会に行き、そこでエリザベスと瓜二つの女性サンドラと出会う。マイケルはサンドラに夢中になり、2人はニューオリンズで結婚することになるが、またしてもサンドラが誘拐されてしまう……。当時ヒッチコックを意識したサスペンス映画を連作していたデ・パルマ監督が、ヒッチコックの名作「めまい」のプロットをベースにして製作した作品。
音楽は、ヒッチコック監督とのコラボレーションが有名なバーナード・ハーマン(1911〜1975)で、これは彼がキャリアの終焉に手がけた傑作スコア。ハーマンはこの作品で1976年度アカデミー賞の作曲賞にノミネートされている。このCDは2枚組となっており、1枚目には未発表曲を含むコンプリート・スコア、2枚目には過去にリリースされたサントラ盤と同じ内容をリマスターしたものを収録。1枚目の「Main
Title」は、ティンパニの一打に続くオーケストラとオルガンの重厚なフレーズと荘厳なコーラスのフレーズが交互に展開するメインタイトルで、シンプルな構成がかえって強いインパクトを与える曲。「Opening
Party」は、パーティのシーンの優雅なワルツ。「Valse
Lente」は、美しくロマンティックなワルツの主題で、この主題は「Bryn
Mawr」等でも登場する。「Kidnap」は、ジェントルな主題から不吉なサスペンス音楽へ。「Newsboy」は、フルートとハープによる抑制されたタッチの曲。「The
Tape」は、オルガンとオーケストラによる重厚なサスペンス音楽。「The Ferry」「Sandra Finds
Briefcase」は、ダイナミックでパワフルなサスペンス音楽で、まさに“ヴィンテージ・ハーマン”。「Hideout」「Court
Arrives at
Wharf」は、単純なフレーズの繰り返しによりテンションを盛り上げていくサスペンス音楽で、こういう曲はハーマンにしか書けない。「Breakout」「Memorial
Park」「Hospital」「Cemetery」等は、抑制されたサスペンス音楽。「The
Tomb」「Sandra」「Sandra Again」「Court's Confession」「Court, The Morning After」「The
Plane」等は、メインの主題のバリエーション。「Court Meets Sandra」「Portrait of
Elizabeth」「Memorabilia」は、幻想的なコーラスをフィーチャーした静かにドラマティックな曲。「The
Church」「Sandra at Monument」は、ややメランコリックなタッチの曲。「Bryn Mawr
Walk」「Walk Down Hallway」「After Dinner」は、静かにジェントルな曲。「New
Orleans」は、躍動的なタッチから後半メインの主題のバリエーションへ。「The
Wedding」は、ジェントルでドラマティックな曲。「The Wedding Part
II」は、静かに幻想的な曲。「Court Signs Papers」「LaSalle and Sandra at
Airport」「Court Finds LaSalle」「Court and LaSalle
Struggle」は、コーラス、オルガンをフィーチャーした重厚なサスペンス音楽。「Airport」は、サスペンス音楽からワルツの主題へと展開するドラマティックなフィナーレ。最後にボーナストラックとして未使用・代替キュー3曲を収録。バーナード・ハーマン自身が自らのベスト・スコアとコメントしている重厚で格調高いスコア。ハーマンは、ヒロインを演じたジュヌヴィエーヴ・ビュジョルドに惚れ込み、「めまい」のヒロインだったキム・ノヴァクよりも優れていると考えていたという。
このスコアは公開当時にイギリスのDecca
Phase
4レーベル、アメリカのLondon/DeccaレーベルからサントラLP(スコア全体を6曲の組曲に構成したもの)がリリースされており、1989年にカナダのMasters
Film
Musicレーベルが同内容のCDをリリースしている他、1999年にはアメリカで41曲収録の海賊盤CD(Reference)が出ている。今回リリースされた仏Music
Box Recordsレーベルの「SPECIAL ARCHIVAL EDITION」CDは、3000枚限定プレス。
Music Box RecordsレーベルのCDと、過去の海賊盤CDの収録トラックは以下の通り。
<仏Music Box Records / MBR-060>
DISC 1 - THE FILM SCORE (Stereo)
1. Main Title (1:58)
2. Opening Party (0:40)
3.
Valse Lente (1:33)
4. Kidnap (2:32)
5. Newsboy (1:45)
6. The Tape
(0:29)
7. The Ferry (2:42)
8. Hideout (0:46)
9. Breakout (1:34)
10.
The Tomb (1:16)
11. Memorial Park (1:19)
12. Sandra (6:44)
13. Sandra
Again (0:58)
14. Court Meets Sandra (1:24)
15. The Church (1:26)
16.
Bryn Mawr (2:04)
17. Bryn Mawr Walk (1:16)
18. Court's Confession
(2:29)
19. Hospital (0:44)
20. Cemetery (1:04)
21. New Orleans
(1:54)
22. Walk Down Hallway (1:07)
23. Portrait of Elizabeth
(1:49)
24. Memorabilia (2:54)
25. Walk to Church (0:12)
26. Sandra at
Monument (2:59)
27. After Dinner (0:46)
28. The Wedding (2:33)
29. The
Wedding Part II (1:31)
30. Court, The Morning After (1:33)
31. Court Signs
Papers (1:34)
32. Sandra Finds Briefcase (2:25)
33. Court Arrives at Wharf
(0:41)
34. LaSalle and Sandra at Airport (2:02)
35. The Plane
(2:21)
36. Court Finds LaSalle (2:02)
37. Court and LaSalle Struggle
(1:06)
38. Airport (3:50)
BONUS TRACKS
39. Ransom (Unused Cue)* (0:18)
40. Past and Present
(Unused Cue)* (0:28)
41. Airport (Alternate)* (3:41)
* not used in
film
Disc 1 Time 74:00
DISC 2 THE ORIGNAL 1976 SOUNDTRACK ALBUM (Remastered Edition)
1. Main Title / Valse Lente / Kidnap (5:58)
2. Newsboy
/ The Tape / The Ferry (4:57)
3. The Tomb / Sandra (8:04)
4. The Church /
Court’s Confession / Bryn Mawr / New Orleans / Wedding (9:25)
5. Court, The
Morning After / Court Signs Papers / Sandra Finds Briefcase / Court Arrives at
Wharf (4:31)
6. The Plane / Court and LaSalle Struggle / Airport
(5:58)
Disc 2 Time 39:07
Total Two-Disc Time 113:07
<米Reference / RO-0001>
1. MAIN TITLE (01:59)
2. OPENING PARTY * (00:42)
3. VALSE LENTE (01:32)
4. KIDNAP (02:31)
5. NEWSBOY (01:51)
6.
THE TAPE (00:30)
7. THE FERRY (02:45)
8. THE RADIO TRUCK * (00:17) (not
used)
9. HIDEOUT * (00:49)
10. BREAKOUT * (01:39)
11. THE TOMB
(01:21)
12. MEMORIAL PARK * (01:22)
13. SANDRA (06:48)
14. SANDRA
AGAIN * (00:59)
15. COURT MEETS SANDRA * (01:27)
16. THE CHURCH (01:29)
17. BRYN MAWR (02:07)
18. BRYN MAWR WALK * (01:19) ("she used to call me
Mike...")
19. COURT'S CONFESSION (02:29)
20. HOSPITAL * (00:43)
21. CEMETERY * (01:04)
22. UNTITLED CUE * (00:31) (not used)
23. NEW ORLEANS ** (01:54) (portion previously unreleased)
24.
WALK DOWN HALLWAY * (01:08)
25. PORTRAIT OF ELIZABETH * (01:50)
26.
MEMORABILIA * (02:56)
27. WALK TO CHURCH * (00:14)
28. SANDRA AT
MONUMENT * (02:57)
29. AFTER DINNER * (00:48)
30. THE WEDDING (02:30)
31. THE WEDDING Pt II (01:29) ("I came back to give you a second
chance...")
32. COURT, THE MORNING AFTER ** (01:33) (portion
previously unreleased)
33. COURT SIGNS PAPERS (01:39)
34. SANDRA
FINDS BRIEFCASE ** (Second Ferryboat) (02:25) (portion previously
unreleased)
35. COURT ARRIVES AT WHARF (00:42)
36. LaSALLE &
SANDRA AT AIRPORT * (01:59)
37. THE PLANE ** (02:22) (portion previously
unreleased)
38. COURT FINDS LaSALLE * (02:02)
39. COURT &
LaSALLE STRUGGLE (01:02)
40. AIRPORT (03:57)
41. AIRPORT * (Alternate)
(04:00)
(* previously unreleased)
Total Duration: 01:13:41
(2015年3月)
Bernard
Herrmann
Soundtrack
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