バーナード・ハーマン
  Bernard Herrmann

Date of Birth: 1911/6/29
Place of Birth: New York, New York, USA
Date of Death: 1975/12/24
Mini Biography:
Herrmann started early, winning a composition prize at the age of 13 and founding his own orchestra at the age of 20. He went to New York University and studied with American composer Philip James. He went on to study composition under Bernard Wagenaar and conducting with Albert Stessel at the Julliard School of Music. After writing scores for Orson Welles' radio shows in the 1930s (including the notorious 1938 "The War of the Worlds" broadcast), he was the obvious choice to score Welles' film debut "Citizen Kane"(1941) and subsequently "The Magnificent Ambersons"(1942). He was a prolific film composer, producing some of his most memorable work for Alfred Hitchcock, for whom he wrote nine scores. He was also an early experimenter in the sounds used in film scores, most famously "The Day the Earth Stood Still"(1951), scored for two theremins, pianos, and a horn section; and was a consultant on the electronic sounds created by Oskar Sala on the mixtrautonium for "The Birds"(1963). His last score was for Martin Scorsese's "Taxi Driver"(1976) and died just hours after recording it. He also wrote an opera "Wuthering Heights," and a cantata "Moby Dick."

The Bernard Herrmann Estate: http://www.thebernardherrmannestate.com/
The Bernard Herrmann Society: http://www.bernardherrmann.org/

 

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ただし、指揮だけ担当しているCDや、サントラ盤ではないCD等が含まれている場合があります。


サイコ  PSYCHO

作曲・指揮:バーナード・ハーマン
Composed and Conducted by BERNARD HERRMANN

(米Soundstage Records / 585)

めまい  VERTIGO

作曲:バーナード・ハーマン
Composed by BERNARD HERRMANN

指揮:ミュア・マシイスン
Conducted by MUIR MATHIESON

(米Varese Sarabande / VSD-5759)

アルフレッド・ヒッチコック=バーナード・ハーマンの監督=作曲家コラボレーションによる傑作2作品のサントラ盤が次々とリリースされた。「サイコ」はこれまでにもハーマン自身がナショナル・フィルを指揮したスコア盤が存在していたし、「めまい」は一部の曲のみが収録されたミュア・マシイスン指揮のサントラ盤が出ていたが、完全な形でリリースされるのはいずれも今回が初めてである(但し「サイコ」は正規盤ではない)。

「サイコ」は劇音楽が映像にもたらす効果の完璧な例である。この映画の前半にジャネット・リー扮するマリオンが会社の金を横領して車で逃走する場面があるが、このシーンの組み立ては車を運転するマリオン/彼女の視点から見た道路/リアビューミラーのアップの3種類のショットの積み重ねであり、これを試しに音楽なしで映像だけを見るとさほど緊張感のない単調な印象を受けるが、ハーマンの音楽が付いたとたんに息苦しいほどの強烈なサスペンスに圧倒される。

「サイコ」がストレートな恐怖を表現しているのに対し、「めまい」はもっとロマンティックなトーンとサスペンスが融合された音楽であり、ジェームズ・ステュワートキム・ノヴァックを延々と尾行するシーンの音楽等は美しさと不安定さが同居した極めてドラマティックなスコアとなっている。

バーナード・ハーマンはハリウッド映画音楽史上最大の巨匠である。ヒッチコックとは、これら作品以外にも 「ハリーの災難」「知りすぎていた男」「間違えられた男」「鳥」「北北西に進路を取れ」「マーニー」で組んでいるが、どの音楽も演出の重要な要素としてインテグレートされており、監督と作曲家の理想的なコンビと言われていた。ヒッチコック作品以外でも、オーソン・ウェルズ「市民ケーン」レイ・ハリーハウゼンのダイナメーション特撮による「シンドバッド七回目の航海」等の一連のファンタジー映画、フランソワ・トリュフォー監督作品等に音楽を書いているが、最も彼の個性がよく出ているのはヒッチとのコラボレーションとファンタジー映画のスコアだと思う。ハーマンは非常に激しい気性の持ち主で、ハリウッドの周囲の人々から恐れられていたが、ヒッチとも「引き裂かれたカーテン」の音楽をめぐって衝突し、それ以来コンビを復活することはなかった。晩年はブライアン・デ・パルマ監督等のどちらかといえばB級のスリラー映画を担当していた(それでも音楽は見事なものだった)が、死ぬ直前に書いたマーティン・スコセッシ監督の「タクシードライバー」のスコアは彼のベストスコアの1つとなった。

上記CDとは別にフィンランドの指揮者エサ=ペッカ・サロネンがロサンゼルス・フィルを振ったハーマンの作品集がリリースされているが、演奏・録音共に素晴らしくハーマンの音楽を初めて聴く人には好アルバムだと思う。「知りすぎていた男」や「引き裂かれたカーテン」等、サロネンの精緻な指揮だとハーマンのいかつい音楽も流麗で透明感のあるスコアになってしまうから不思議である。
(1997年4月)
cover
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(未公開)SF巨大生物の島(新録音) MYSTERIOUS ISLAND

作曲:バーナード・ハーマン
Composed by BERNARD HERRMANN

指揮:ウィリアム・ストロンバーグ
Conducted by WILLIAM STROMBERG

演奏:モスクワ交響楽団
Performed by the Moscow Symphony Orchestra

(米Tribute Film Classics / TFC-1001)

1961年製作のイギリス=アメリカ合作映画(日本では劇場未公開でビデオ発売済み)。監督は「ターザンの憤激」(1952)「地獄特急」(1957)「ズール戦争」(1963)「カラハリ砂漠」(1965)等のサイ・エンドフィールド。出演はマイケル・クレイグ、ジョーン・グリーンウッド、マイケル・キャラン、ゲイリー・メリル、ハーバート・ロム、ベス・ローガン、パーシー・ハーバート、ダン・ジャクソン、ナイジェル・グリーン、ハリー・モンティ。「月世界旅行」(1902)「海底二万哩」(1954)「80日間世界一周」(1956)「地底探険」(1959)「空飛ぶ戦闘艦」(1961)等で知られるSF作家ジュール・ヴェルヌの原作『L'ile mysterieuse』を基にジョン・プレッブル、ダニエル・B・ウルマンとクレイン・ウィルバーが脚本を執筆。撮影はウィルキー・クーパー。ストップモーション撮影によるVFXは「シンバッド七回目の航海」(1958)「アルゴ探検隊の大冒険」(1963)「恐竜100万年」(1966)「シンドバッド黄金の航海」(1973)「シンドバッド虎の目大冒険」(1977)等の名手レイ・ハリーハウゼン。南北戦争の最中、気球に乗って戦場から脱出した囚人たちは、風に流されて南太平洋の島にたどり着く。だがそこは通常の何十倍もある大きさの生物が棲む島だった……。ヴェルヌ原作の『海底二万哩』の後日譚で、後半ネモ船長(ロム)が登場する。

音楽は、「シンバッド七回目の航海」(1958)「(未公開)ガリバーの大冒険」(1960)「アルゴ探検隊の大冒険」(1963)といったチャールズ・H・シニア製作/レイ・ハリーハウゼン特撮による一連のファンタジー映画のスコアを手がけている巨匠バーナード・ハーマンで、この「(未公開)SF巨大生物の島」もそのジャンルの傑作スコア。4台のハープ、8本のフレンチホルン、4本のチューバにクラリネットとバスーンの追加奏者を増強したオーケストラ構成。「Prelude」 は、ダイナミックなファンファーレのイントロから“センス・オブ・ワンダー”に満ちたシンプルかつ印象的なメインの主題へと展開するスペクタキュラーな前奏曲。「The Battle」「The Gates」「The Stairs」「The Tower」「The Escape」は、南北戦争中の戦闘シーンから脱出までのシークエンスの、躍動的でパワフルなアンダースコア。「The Balloon 1」「The Balloon 2」は、主人公たちの乗った観測気球が嵐の中を漂流するシーンのダイナミックな曲で、まさに“ヴィンテージ・ハーマン”。「The Clouds A〜E」は、メインの主題のバリエーション。「The Island」「The Rocks」は、短いが印象的なファンファーレ。「Exploration」「The Cave」「The Nautilus」「The Bridge」「Underwater」等は、ミステリアスなタッチの曲。「The Giant Crab」は、主人公たちに襲いかかる巨大な蟹を描写した舞踏音楽風の独創的な主題。このスコアでは各々の“巨大生物”に個別の主題が付けられており、「The Bird」での巨大な鳥、「Honeycomb」「The Giant Bee 1」「The Giant Bee 2」での巨大な蜂(羽根音の描写)、「The Octopus」「The Tentacles」での巨大な蛸と、いかにもハーマンらしいカラフルな主題が展開する。「The Volcano」「The Crater」「The Cliff」等では、前奏曲のファンファーレが登場。「Narration」「R. C.[Robinson Crusoe]」「Elena」は、ストリングスによるエルガー調のジェントルな主題。「The Shadow」「The Sinking Ship」「The Smoke」「The Sub Deck」「The Air Hose」等は、メインの主題のバリエーション。「Duo」は、リリカルで繊細なタッチのラヴ・テーマ。「Gunsmoke」は、冒頭の戦闘シーンの主題。「Attack」は、パーカッシヴなアクション音楽。「Lava Flow」は、火山の噴火のシーンのダイナミックな曲。「The Fight」は、地響のようなタッチの戦闘シーンの音楽。「The Ship Rising」は、海底から湧き上がってくるような曲。「The Earthquake」は、クライマックスの噴火シーンのスペクタキュラーな音楽。「Finale」は、メインの主題のリプライズにより締めくくる。「これぞ映画音楽である」といったハーマンの情熱とパワーを感じさせるクラシック・フィルム・スコア。最後にボーナストラックとして「壮烈カイバー銃隊(King of the Khyber Rifles)」(1953)のパワフルなマーチによる前奏曲を収録。

この「(未公開)SF巨大生物の島」のスコアは、1993年に英Cloud Nineレーベルよりハーマン指揮ロンドン交響楽団の演奏によるサントラCDがリリースされている(英Silva Screenレーベルより再発予定)ほか、ハーマン自身がナショナル・フィルハーモニー管弦楽団を指揮した全5曲から成る組曲が英DeccaレーベルのコンピレーションLP/CD「The Mysterious Film World of Bernard Herrmann」、及びカナダのMasters Film MusicレーベルによるCD4枚組の限定盤「Bernard Herrmann: The Concert Suites」に収録されている。この米Tribute Film ClassicsレーベルのCDは、未使用曲を含む全ての音楽を新録音により収録したコンプリート・スコアで、モスクワ交響楽団によるエナジェティックな演奏が素晴らしい。 cover
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バーナード・ハーマンが手がけた作品には
「市民ケーン(Citizen Kane)」(1941)
「悪魔の金(The Devil and Daniel Webster)」(1941)
「偉大なるアンバーソン家の人々(The Magnificent Ambersons)」(1942)
「ジェーン・エア(Jane Eyre)」(1944)
「戦慄の調べ(Hangover Square)」(1945)
「アンナとシャム王(Anna and the King of Siam)」(1946)
「幽霊と未亡人(The Ghost and Mrs. Muir)」(1947)
「(未公開/TV)Studio One」(1948)
「(未公開)Portrait of Jennie」(1948)
「地球の静止する日(The Day the Earth Stood Still)」(1951)
「危険な場所で(On Dangerous Ground)」(1952)
「五本の指(5 Fingers)」(1952)
「キリマンジャロの雪(The Snows of Kilimanjaro)」(1952)
「蛮地の太陽(White Witch Doctor)」(1953)
「十二哩の暗礁の下に(Beneath the 12-Mile Reef)」(1953)
「壮烈カイバー銃隊(King of the Khyber Rifles)」(1953)
「(未公開/TV)The Lineup」(1954)
「悪の花園(Garden of Evil)」(1954)
「エジプト人(The Egyptian)」(1954)
「(未公開/TV)Climax!」(1954)
「(未公開/TV)Shower of Stars - A Christmas Carol」(1954)
「(未公開)凶弾の舞台(Prince of Players)」(1955)
「ケンタッキー人(The Kentuckian)」(1955)
「ハリーの災難(The Trouble with Harry)」(1955)
「(未公開/TV)General Electric Theater - A Child Is Born」(1955)
「(未公開/TV)Landmark」(1956)
「灰色の服を着た男(The Man in the Gray Flannel Suit)」(1956)
「知りすぎていた男(The Man Who Knew Too Much)」(1956)
「間違えられた男(The Wrong Man)」(1956)
「(未公開)Williamsburg: The Story of a Patriot」(1957)
「(未公開/TV)Hawkeye and the Last of the Mohicans - The Ethan Allen Story」(1957)
「(未公開/TV)Playhouse 90 - Without Incident」(1957)
「夜を逃れて(A Hatful of Rain)」(1957)
「(TV)西部の男パラディン(Have Gun - Will Travel - Three Bells to Perdido)」(1957)
「(未公開/TV)Collector's Item」(1958)
「めまい(Vertigo)」(1958)
「裸者と死者(The Naked and the Dead)」(1958)
「(未公開/TV)Westinghouse Desilu Playhouse」(1958)
「(未公開/TV)Pursuit」(1958)
「シンバッド七回目の航海(The 7th Voyage of Sinbad)」(1958)
「(未公開/TV)For Better or Worse」(1959)
「北北西に進路を取れ(North by Northwest)」(1959)
「ゆきすぎた遊び(Blue Denim)」(1959)
「地底探険(Journey to the Center of the Earth)」(1959)
「(TV)ミステリー・ゾーン(The Twilight Zone)」(1959〜1963)
「サイコ(Psycho)」(1960)
「(未公開)ガリバーの大冒険(The 3 Worlds of Gulliver)」(1960)
「(未公開/TV)The Americans」(1961)
「(TV)ガンスモーク(Gunsmoke - Harriet, - Kitty Shot)」(1961)
「(未公開)SF巨大生物の島(Mysterious Island)」(1961)
「夜は帰って来ない(Tender Is the Night)」(1962)
「恐怖の岬(Cape Fear)」(1962)
「鳥(The Birds)」(1963)
「アルゴ探検隊の大冒険(Jason and the Argonauts)」(1963)
「(未公開/TV)The Great Adventure - The Story of Nathan Hale」(1963)
「(TV)ヒッチコック劇場(The Alfred Hitchcock Hour)」(1963〜1965)
「マーニー(Marnie)」(1964)
「(未公開/TV)Kraft Suspense Theatre - A Lion Amongst Men」(1964)
「(未公開)Joy in the Morning」(1965)
「(未公開/TV)Convoy」(1965)
「(TV)ローハイド(Rawhide - The Pursuit, - Encounter at Boot Hill)」(1965)
「(未公開/TV)The Virginian - Reckoning, - Show Me a Hero, - Nobility of Kings」(1965〜1967)
「(未公開/TV)Bob Hope Presents the Chrysler Theatre - Nightmare」(1966)
「華氏451(Fahrenheit 451)」(1966)
「(TV)原子力潜水艦シービュー号(Voyage to the Bottom of the Sea - Cave of the Dead)」(1967)
「(未公開/TV)Cimarron Strip - Knife in the Darkness」(1968)
「黒衣の花嫁(La mariee etait en noir, aka The Bride Wore Black)」(1968)
「(未公開)密室の恐怖実験(Twisted Nerve)」(1968)
「(未公開/TV)Companions in Nightmare」(1968)
「(未公開)Bezeten - Het gat in de muur, aka Obsessions」(1969)
「ネレトバの戦い(Bitka na Neretvi, aka The Battle of Neretva)」(1969)
「(未公開)エンドレスナイト(Endless Night)」(1971)
「(未公開)The Night Digger」(1971)
「悪魔のシスター(Sisters)」(1973)
「悪魔の赤ちゃん(It's Alive)」(1974)
「タクシードライバー(Taxi Driver)」(1976)
「愛のメモリー(Obsession)」(1976)
「(TV)666号室(Chambre 666)」(1982)
がある。
バーナード・ハーマンは、1941年の「市民ケーン」、1946年の「アンナとシャム王」、1976年の「タクシードライバー」「愛のメモリー」でアカデミー賞の劇映画音楽賞/劇・喜劇映画音楽賞/作曲賞にノミネートされており、1941年の「悪魔の金」で同賞の劇映画音楽賞を受賞している。また、1976年の「タクシードライバー」で英国アカデミー賞の作曲賞(アンソニー・アスキス映画音楽賞)と、LA批評家協会賞の音楽賞を受賞している。
(2008年2月)

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