ザ・カー  THE CAR

作曲・指揮:レナード・ローゼンマン
Composed and Conducted by LEONARD ROSENMAN

(米Intrada / Intrada Special Collection Vol.306)

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1977年製作のアメリカ映画。製作・監督は「キャット・バルー」(1965)「真昼の衝動」(1966)「馬と呼ばれた男」(1969)「(未公開)恐怖のハネムーン」(1974)「(TV)ダーク・プロフェシー」(1993)等のエリオット・シルヴァースタイン(1927〜)。出演はジェームズ・ブローリン、キャスリーン・ロイド、ジョン・マーリー、R・G・アームストロング、ジョン・ルービンスタイン、エリザベス・トンプソン、ロイ・ジェンソン、キム・リチャーズ、カイル・リチャーズ、ケイト・マータフ、ロバート・フィリップス、ドリス・ダウリング、ヘンリー・オブライエン、エディー・リトル・スカイ、ロニー・コックス他。デニス・シュリアックとマイケル・バトラーの原案を基にデニス・シュリアック、マイケル・バトラーとレイン・スレートが脚本を執筆。撮影はジェラルド・ハーシュフェルド。無差別に殺人を繰り返す黒塗りの無人車の恐怖を描く異色ホラー映画。アメリカ中西部のサンタイネスという小さな町の郊外で、黒のリンカーン・コンティネンタル・マークIIIがヒッチハイカーたちを轢き殺す事件が起きる。保安官のウェイド・ペアレント(ブローリン)は、恋人のローレン(ロイド)が教師を務める学校に子供を送り届け、現場へと向かう。目撃者のエイモス(アームストロング)によれば、車の運転席には誰もいなかったという。翌日、同じ車が町の広場で子供たちに襲いかかる。警官たちが撃つ弾丸にもびくともしない。殺人車を追跡する過程で負傷したウェイドが病院にいる間に、ローレンも車に殺されてしまう。復讐に燃えるウェイドは、峡谷に爆薬を仕掛けて車をおびき寄せるが……。車が襲いかかる前に威嚇的に鳴らすクラクションの音は、モールス信号の「X」のコードになっているという。

音楽はエリオット・シルヴァースタイン監督と「馬と呼ばれた男」でも組んでいるレナード・ローゼンマン(1924〜2008)。「The Car (Main Title)」は、ダークなイントロからグレゴリオ聖歌の『怒りの日(Dies Irae)』の主題へと展開するメインタイトル。この有名な主題は“死”を表す旋律としてベルリオーズ作曲の「幻想交響曲」第5楽章等、様々な楽曲で引用されているが、ここでは「Run」「Apparition」等で邪悪な車の象徴として登場する。「Cyclist Killed」「John Killed」「Sheriff Killed」は、ダイナミックでアブストラクトなタッチのサスペンスアクション音楽。「Dead Girl Found」「Pete Found」「Eerie Car - Bridge」「Strong Spirits」は、ダークで抑制されたサスペンス音楽。「Ray's Pursuit」「Barrel Roll」「Chase - Parts 2 & 3」は、『怒りの日』の主題を織り込んだビジーなサスペンスアクション音楽。「Chase - Part 1」は、パーカッシヴでパワフルなアクション音楽で、不協和音の入り方がローゼンマンらしい曲。スコア全体の白眉。「The Car (End Title)」は、明るく大らかな主題で締めくくるエンドタイトル。「The Car (End Credits)」は、『怒りの日』の主題を織り込んだスリリングなエンドクレジット。最後にエクストラとして代替テイクや劇中のソース曲、プロモ音楽等10曲を収録。トランペット、チューバ、トロンボーンといったブラスの重厚でパワフルなアタックが小気味良いダイナミックなアクション・スコアで、レナード・ローゼンマンの作品中でも最もビジーで激しいスコアの1つ。
このスコアの初サントラ・リリースで、限定プレス。
(2015年5月)

Leonard Rosenman

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