(未公開)MAN ON A SWING
(未公開)シークレット!シークレット! THE PRESIDENT'S ANALYST

作曲・指揮:ラロ・シフリン
Composed and Conducted by LALO SCHIFRIN

(スペインQuartet Records / QR183)

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これまでサントラ・アルバム化されていなかったラロ・シフリン(1932〜)のスコア2作品をカップリングにしたCD。1000枚限定プレス。

「(未公開)MAN ON A SWING」は、1974年製作のアメリカ映画。監督は「リサの瞳のなかに」(1962)「泳ぐひと」(1968)「ドク・ホリディ」(1971)「バチカンの嵐」(1982)「(未公開)ハロー・アゲイン」(1987)等のフランク・ペリー(1930〜1995)。出演はクリフ・ロバートソン、ジョエル・グレイ、ドロシー・トリスタン、エリザベス・ウィルソン、ジョージ・ヴォスコヴェック、ロン・ウェイアンド、ピーター・マスターソン、レイン・スミス、ジョー・ポナゼッキ、クリストファー・オールポート、パトリシア・ホーキンズ、リチャード・ヴェンチャー、ダイアン・フル、ギル・ジェラード、ロバート・ドライデン他。新聞記者のウィリアム・アーサー・クラークによる実際の殺人事件の取材をベースにした原作『The Girl on the Volkswagen Floor』を基に「わらの犬」(1971)「さらば愛しき女よ」(1975)「アイズ」(1978)等のデヴィッド・ゼラグ・グッドマンが脚本を執筆。撮影はアダム・ホーレンダー。スーパーマーケットの駐車場に止められた車の中で若い女性マギー・ドーソン(フル)の絞殺死体が見つかった事件を捜査する警察署長リー・タッカー(ロバートソン)は、自らを透視能力者と名乗るフランクリン・ウィルスという男(グレイ)から、殺人現場を透視したので捜査に協力したいとの申し出を受ける。タッカーは、ウィルスがマスコミ報道されていない事件の詳細を知っていることから、実は殺人に関与していたのではないかと疑うが……。

ラロ・シフリンのスコアは、「Maggie's Theme」が、メランコリックなタッチのピアノ・ソロによるマギーの主題で、この主題は「Maggie's Theme」「Maggie Retraced」でも繰り返される。この主題以外は、スコア全体が前衛的なタッチのサスペンス音楽と、明るくライトなタッチのソース音楽とで構成されている。「Source Muzak #2」は、ビックバンド・ジャズ、「Source Muzak #1」「Source Muzak #5」「Source Muzak #6」「Source Muzak #7」は、明るくジェントルなタッチ、「Source Muzak #3」「Source Muzak #9」「Juke Box Source」「Radio Source」は、ライトでリズミックなジャズ・ファンクのソース曲。「Evelyn Story」「Forest Finale」は、ダークなサスペンス調の曲。「Wills' Trance」「Dialatone / Empty Porch / Mailman / Phone Voice / A Wet Nothing」「Penultima Trance」「Wills' Last Trance」「End Credits」は、ウォーターフォンをフィーチャーしたアブストラクトで不気味なサスペンス音楽。「Rosehaven Motel」「Choked Up」は、シフリンらしいハイテンションなサスペンス音楽。ストリングスにウォーターフォン等パーカッションを加えた35人編成の楽団による演奏。

「(未公開)シークレット!シークレット!(THE PRESIDENT'S ANALYST)」は、1967年製作のアメリカ映画(日本では劇場未公開でビデオ発売・TV放映済/TV放映時の邦題は「大統領のガードマン」)。監督・脚本は「(TV)てんてこデパート」(1964)「勇気ある友情」(1977)「(TV)ポリスストーリー/グッドガイの最期」(1978)「(未公開)ソギー・ボトムの野郎ども〜爆走!エアボート大追跡〜」(1981)等のセオドア・J・フリッカー(1930〜2014)。出演はジェームズ・コバーン、ゴッドフリー・ケンブリッジ、セヴァーン・ダーデン、ジョーン・デラニー、パット・ハリントン・Jr、バリー・マガイア、ジル・バナー、エデュアード・フランツ、ウォルター・バーク、ウィル・ギア、ウィリアム・ダニエルズ、ジョーン・ダーリング、シェルドン・コリンズ、アート・ジョンソン、マーティン・ホージー他。撮影はウィリアム・A・フレイカー。米国中央執行局(Central Enforcement Agency)により大統領専属の精神科医として雇われたシドニー・シェーファー博士(コバーン)は、仕事の重責とストレスから被害妄想的になり、CEAと対立する連邦規制局(Federal Bureau of Regulation)やロシア秘密情報局(Russian Secret Services)といった組織のエージェントたちから命を狙われていると感じて逃げ出してしまうが……。CIAやFBIを風刺したコメディ調のスリラー。当時のFBI長官だったJ・エドガー・フーヴァーがパラマウントの役員チャールズ・ブラードーンに抗議したため、セリフの中の「CIA」は「CEA」に、「FBI」は「FBR」に吹替え直されたという。

ラロ・シフリンのスコアは、「Paramount Seal and Opening / Main Title」が、ダイナミックなイントロからリズミックでパワフルなジャズ・ベースの主題へと展開するメインタイトル。「Hey Me」は、女声ヴォーカルによるライトなタッチの挿入歌(作詞は監督のテッド・フリッカー)。「The Long Walk」「The Nest」は、勇壮なミリタリスティック・マーチ。「On Call」は、マーチ調のサスペンス音楽。「Lonely Hours」「Sidney Plans Escape」は、ダイナミックなサスペンス音楽。「Paranoid Starts / Cocktail Lounge」は、ライトなジャズ。「Spies Paranoid / Dream Paranoid / Suspicious Paranoid」「Total Sound」「Stinger #1-2-3 / Cooler and Sweater Number」は、ジェントルな曲と女声を織り込んだ不気味なサスペンス音楽の組み合わせ。「Car Radio / More Car Radio」は、明るくライトなソース曲。「Sidney's Flight」は、シフリンの個性が良く出たダイナミックなジャズ・ベースのアクション音楽。「Fast Boat to Moscow」「Telephone Trap」は、ドラマティックなサスペンス音楽。「T. P. C. / Cerebrum Communicator」は、快活なタッチのサスペンス音楽。「End Title」は、『もろびとこぞりて』『きよしこの夜』『ジングルベル』等のクリスマス・ソングを織り込んだエンドタイトル。
(2015年6月)

Lalo Schifrin

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