テレマークの要塞  THE HEROES OF TELEMARK

作曲・指揮:マルコム・アーノルド
Composed and Conducted by MALCOLM ARNOLD

(米Intrada / Intrada Special Collection Vol.333)

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1965年製作のイギリス映画。監督は「ウィンチェスター銃'73」(1950)「グレン・ミラー物語」(1954)「胸に輝く星」(1957)「エル・シド」(1961)「ローマ帝国の滅亡」(1964)「殺しのダンディー」(1968)等のアンソニー・マン(1906〜1967)。出演はカーク・ダグラス、リチャード・ハリス、ウーラ・ヤコブソン、マイケル・レッドグレーヴ、デヴィッド・ウェストン、セバスチャン・ブレイクス、ジョン・ゴライトリー、アラン・ハワード、パトリック・ジョーダン、ウィリアム・マーロウ、ブルック・ウィリアムズ、ロイ・ドットリス、アントン・ディフリング、エリック・ポーター、マーヴィン・ジョンズ、ジェニファー・ヒラリー、モーリス・デンハム、フェイス・ブルック他。クヌート・ハウケリードの原作『原子爆弾を阻止したスキーの男たち(Skis Against the Atom)』ジョン・D・ドラモンドの原作『これらの男たちがいなかったら(But for These Men)』を基にアイヴァン・モファットとベン・バーズマンが脚本を執筆。撮影はロバート・クラスカー。第二次大戦中にナチス・ドイツによる原爆の製造を阻止したレジスタンスの活躍を描く実話に基づくドラマ(原作者のハウケリードは実際に作戦に参加したメンバー)。レジスタンスのリーダーの1人クヌート・ストラウド(ハリス)は、ナチスがノルウェーのテレマークに建設した原爆製造のための重水工場を爆破するために、オスロ大学のロルフ・ペダーセン博士(ダグラス)の協力を得て工場に特殊部隊を送り込むが……。重水(heavy water)は、質量数の大きい同位体の水分子を多く含み、通常の水より比重の大きい水のことで、原子炉の減速材として使われる。

音楽はイギリスを代表する作曲家の1人であるマルコム・アーノルド(1921〜2006)。「 Main Title」は、ダイナミックなファンファーレ調のイントロからミリタリスティックで純粋にヒロイックなメインの主題、サスペンス調のフレーズ、ドイツ語によるミリタリーマーチへと展開するメインタイトル。「Stupid Fool」は、サスペンス音楽からメインの主題、勇壮なファンファーレへと展開。「Must Get to England」は、メインの主題を織り込んだドラマティックなサスペンス音楽。「German Army Band」は、ブラスバンドによるドイツ軍のミリタリーマーチ。「Love Theme ("Anna")」は、大らかなファンファーレによるイントロからメインの主題、ロルフの別れた妻アンナ(ヤコブソン)のロマンティックな主題、サスペンス音楽、メインの主題へと展開。「Fall Astern」「Listen」「Ferry Leaving Harbor」は、サスペンス音楽。「Silent Night」は、『きよしこの夜』の合唱。「Knute Skiing Away」は、メインの主題からアンナの主題、サスペンス音楽へと展開。「Destruction of Plant」は、ビジーなサスペンスアクション音楽で、最後に爆発音のSE入り。「Heroes of Telemark and End Titles」は、口笛と男声コーラスによる大らかな主題からメインの主題が雄大に盛り上がって締めくくった後に、より早いテンポでメインの主題が繰り返されるエンドタイトル。

マルコム・アーノルドのベスト・スコアの1つと思うが、これまで新録音等もされていない。公開当時に米MainstreamレーベルからサントラLPが出ていたが、この米IntradaレーベルのCDは最近発見された第一世代のアルバム・マスター(ステレオ)による初CD化で、同じMainstreamレーベルから出ていたジェリー・ゴールドスミス作曲の「駅馬車」のスコアとのカップリングになっている。過去に音質の悪い海賊盤CDが出ており、元のサントラLPの音質もあまり良くなかったが、今回のCDは音質改善されている。限定プレス。
(2015年11月)

Malcolm Arnold

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