スター・ウォーズ/フォースの覚醒 STAR WARS: THE FORCE AWAKENS
作曲:ジョン・ウィリアムス
Composed by JOHN WILLIAMS
指揮:ジョン・ウィリアムス、ウィリアム・ロス、グスターボ・ドゥダメル
Conducted by JOHN WILLIAMS, WILLIAM ROSS, GUSTAVO
DUDAMEL
(米Walt Disney Records /
D002177202)
2015年製作のアメリカ映画。監督は「M:i:III」(2006)「スター・トレック」(2009)「SUPER 8/スーパーエイト」(2011)「スター・トレック
イントゥ・ダークネス」(2013)等のJ・J・エイブラムス(1966〜)。出演はハリソン・フォード、マーク・ハミル、キャリー・フィッシャー、アダム・ドライバー、デイジー・リドリー、ジョン・ボイエガ、オスカー・アイザック、ルピタ・ニョンゴ、アンディ・サーキス、ドーナル・グリーソン、アンソニー・ダニエルズ、マックス・フォン・シドー、ピーター・メイヒュー、グウェンドリン・クリスティー、サイモン・ペッグ他。脚本はローレンス・カスダン、J・J・エイブラムスとマイケル・アーント。撮影はダニエル・ミンデル。2012年にウォルト・ディズニーが約40億ドルでルーカスフィルムを買収したことで、「スター・ウォーズ
エピソード3/シスの復讐」(2005)以来10年ぶりに製作され公開された新たな3部作の第1弾(エピソード7)。「スター・ウォーズ
エピソード6/ジェダイの復讐」(1983)から30年後の世界を舞台に展開する。帝国軍の残党から誕生した「ファースト・オーダー」と戦うレジスタンスのレイア将軍(フィッシャー)は、伝説のジェダイ・マスターである兄ルーク・スカイウォーカー(ハミル)の行方を探していた。レジスタンスのパイロット、ポー・ダメロン(アイザック)は、惑星ジャクーでルークの居場所が記された地図をロア・サン・テッカ(シドー)から受け取るが、「ファースト・オーダー」のカイロ・レン(ドライバー)率いるストームトルーパー隊の襲撃を受け、彼の忠実なドロイドBB-8に地図データを託す。ジャクーで廃品回収をしながら家族を待ち続ける孤独な女性レイ(リドリー)は、偶然そのBB-8と巡り会うが……。クレジットされていないが、ダニエル・クレイグがストームトルーパーの1人として出演している。監督のJ・J・エイブラムスは、エピソード4〜6のメイン・キャスト(フォード、ハミル、フィッシャー)や、ミレニアムファルコン、Xウィングといった宇宙船を復活させ、可能な限り(CGIではなく)フィジカルなセットを使って撮影することで、旧作の質感を再現しようとしている。
音楽は本シリーズのエピソード1〜6を全て手がけているジョン・ウィリアムス(1932〜)。J・J・エイブラムス監督作品の常連作曲家であるマイケル・ジアッキーノは、本作のスコアを担当しなかったことについて「自分で作曲するよりもジョン・ウィリアムスが作曲するスコアが聴きたかった」とコメントしており、本作にはストームトルーパー「FN-3181」役で出演もしている。「Main Title and The Attack on the Jakku
Village」は、お馴染みのメインの主題(スター・ウォーズのテーマ)からミリタリスティックなサスペンス音楽、ビジーなアクション音楽、ダークなカイロ・レンの主題等へと展開。パワフルでクリスプなブラスの響きがウィリアムスらしい。「The
Scavenger」は、抑制されたタッチからジェントルなレイの主題へ。「I Can Fly Anything」「The
Falcon」は、ダイナミックなアクション音楽だが、ややメカニカルな印象がある。「Rey Meets BB-8」は、ジェントルな曲。「Follow
Me」は、抑制されたタッチからエピソード4の(懐かしい)ファンファーレを織り込んだビジーなアクション音楽へ。「Rey's
Theme」は、ジェントルで素朴かつドラマティックなレイの主題。「That Girl with the
Staff」は、ダークで抑制されたサスペンス音楽。「The
Rathtars!」は、エピソード4のファンファーレを織り込んだビジーなサスペンスアクション音楽。「Finn's Confession」は、ドラマティックな曲。「Maz's
Counsel」は、エピソード4のフォースの主題を織り込んだ抑制されたタッチから後半ドラマティックに盛り上がる。「The Starkiller」は、トラジックな主題。「Kylo Ren Arrives at the
Battle」は、ダークなカイロ・レンの主題からダイナミックなアクション音楽へ。「The
Abduction」は、ダイナミックなタッチからドラマティックなレイの主題へ。「Han and
Leia」は、(懐かしい)レイアの主題、ハン・ソロ(フォード)とレイアの主題からレジスタンスのマーチへ。「March of the
Resistance」は、ミリタリスティックでヒロイックなレジスタンスのマーチ。「Snoke」は、不気味な男声コーラスによるダークでシニスターなスノーク(サーキス)の主題。「On the
Inside」は、カイロ・レンの主題からダイナミックなサスペンスアクション音楽へ。「Torn
Apart」は、メランコリックなタッチからカイロ・レンの主題、フォースの主題へと展開するドラマティックな曲。「The Ways of the
Force」は、カイロ・レンの主題、フォースの主題を織り込んだダイナミックなアクション音楽。「Scherzo for
X-Wings」は、メインの主題を織り込んだビジーでダイナミックなスケルツォ。「Farewell and The
Trip」は、ドラマティックなタッチからフォースの主題、ハン・ソロとレイアの主題、レイアの主題、レイの主題へと展開。「The Jedi Steps and
Finale」は、静かにドラマティックなタッチからフォースの主題が盛り上がって、いつものフレーズではじまるフィナーレ(エンドクレジット)へと移行し、メインの主題、レイの主題、カイロ・レンの主題、レジスタンスのマーチ、フォースの主題がメドレーで展開、最後はメインの主題で静かに終わる。本シリーズのスコア全体を通して適用されているライトモチーフの手法が、このスコアでも踏襲されており、レイ、カイロ・レン、レジスタンスのマーチといった新たな主題が登場。ビジーなアクション音楽の比率が高いのは、J・J・エイブラムスの演出スタイルに起因するものだろう。
尚、ベネズエラ出身の指揮者で2009年からロスアンジェルス・フィルハーモー管弦楽団の音楽監督を務めているグスターボ・ドゥダメル(1981〜)がSpecial Guest Conductorとして「Main
Title」「The Starkiller」「March of the
Resistance」「Finale」を指揮している。ドゥダメルは、2014年9月30日にウォルト・ディズニー・コンサートホールでロス・フィルを指揮してジョン・ウィリアムスの映画音楽を演奏しており(2015年1月18日にNHK
BSプレミアムで放送済)、その繋がりからの起用だろう。
(2016年1月)
John Williams
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