(未公開)UNIDENTIFIED FLYING ODDBALL

作曲・指揮:ロン・グッドウィン
Composed and Conducted by RON GOODWIN

(米Intrada / Intrada Special Collection Vol.343)

 ★TOWER.JPで購入


1979年製作のアメリカ映画(イギリスでの公開題名は「A SPACEMAN IN KING ARTHUR'S COURT」)。監督は「(TV)警部マクロード/ニューメキシコの顔」(1972)「(TV)600万ドルの男/対決!サイボーグ国際誘拐シンジケート」(1973)「(TV)私立探偵マグナム/謎のロンドン殺人事件」(1980)「(TV)スター・トレック'88/新・宇宙大作戦2」(1987)「(TV)ハリス家の人びと」(1987)等のラス・メイベリー(1925〜2012)。出演はデニス・デューガン、ジム・デイル、ロン・ムーディ、ケネス・モア、ジョン・ル・メスリール、ロドニー・ビューズ、シーラ・ホワイト、ロバート・ビーティ、シリル・シャップス、ケヴィン・ブレナン、ユワン・ソロン、パット・ローチ、レグ・ライ、ブルース・ボア、アル・ランパート他。『トム・ソーヤーの冒険』(1876)『王子と乞食』(1881)『ハックルベリー・フィンの冒険』(1885)等で知られるアメリカの作家マーク・トウェイン(1835〜1910)の小説『アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー(A Connecticut Yankee in King Arthur's Court)』(1889)を基にドン・テイトが脚本を執筆。撮影はポール・ビーソン。お調子者のNASA科学者トム・トリンブル(デューガン)は、超光速の宇宙船を操縦できるアンドロイドのハーミス(デューガン2役)を開発するが、いざ出発となるとハーミスは怖気づいてしまい、トムが自分で操縦するはめに。時間を逆行した宇宙船は、中世(508年)のイギリスに到着。宇宙服を着たトムは、メイドの“サンディ”ことアリサンド(ホワイト)に怪物と間違えられてしまい、策略家の騎士サー・モードレッド(デイル)に捕らわれて、キャメロットのアーサー王(モア)の前に連れて行かれるが……。同じマーク・トウェインの原作が「夢の宮廷(A CONNECTICUT YANKEE IN KING ARTHUR'S COURT)」(1949/監督:テイ・ガーネット、出演:ビング・クロスビー、ロンダ・フレミング、セドリック・ハードウィック)や「(未公開)タイムマスター/時空をかける少年(A KID IN KING ARTHUR'S COURT)」(1995/監督:マイケル・ゴットリーブ、出演:トーマス・イアン・ニコラス、ケイト・ウィンスレット、ダニエル・クレイグ)等、何度も映画化されており、1995年の作品ではロン・ムーディが1979年製作の本作と同じ魔術師マーリン役で出演している。

音楽はイギリスの作曲家ロン・グッドウィン(1925〜2003)。グッドウィンは1970年代にディズニーとプロデューサーのヒュー・アットウールと組んで「(TV)追跡!ダイヤ泥棒(DIAMONDS ON WHEELS)」(1973)「(未公開)ONE OF OUR DINOSAURS IS MISSING」(1975)「(未公開)ESCAPE FROM THE DARK」(1977)「(未公開)キャンドルシュー/セント・エドモンドの秘宝(CANDLESHOE)」(1977)「(未公開/TV)BORN TO RUN」(1979)といった作品のスコアを手がけており、この「(未公開)UNIDENTIFIED FLYING ODDBALL」は彼が作曲した最後のディズニー映画。冒頭の「Space Conference」は、ミステリアスなタッチの曲。「Main Title」は、明るくヒロイックなファンファーレから優雅で快活な主題へと展開するメインタイトル。「Take-Off Is Delayed」は、大らかなタッチの曲。「Journey into Space」は、ミリタリスティックなマーチ調のイントロからサスペンス音楽、後半躍動的でヒロイックな主題へと展開。「The Spaceman Meets Alisande」「The Laser Gun」「The Jet Takes Off」は、ややおどけたタッチのサスペンス音楽。「Tom Captured by Sir Mordred」は、荘厳なタッチの主題から宮廷音楽風の優雅な主題へ。「Consternation at Camelot」は、ファンファーレからドラマティックな主題へ。「Tom Protests」は、ダイナミックなファンファーレからサスペンス音楽へ。「The Burning」は、ミリタリスティックでストイックなマーチ調の主題から後半ダイナミックでヒロイックなアクション音楽へ。「Tom Finds Excalibur」は、ミリタリスティックなタッチのサスペンス音楽。「The Sword Fight」は、静かなサスペンス音楽から後半ヒロイックで躍動的なアクション音楽へ。「Tom Chats to Sandy」は、荘厳で躍動的な主題から優雅でジェントルな主題へ。「The Joust」は、荘厳なファンファーレ、ややおどけたタッチのサスペンス、優雅な主題へと展開。「Tom and Sandy Foil Mordred」は、躍動的でヒロイックな曲。「The Battle Rages」は、ダイナミックでヒロイックなサスペンスアクション音楽。「Victory for King Arthur」は、ミリタリスティックでストイックなマーチ調の主題。「Tom Says Farewell to Sandy」は、優雅でジェントルな主題から明るく快活な主題へ。「We Have Lift Off / End Title」は、アメリカの民謡でコネチカット州の州歌「ヤンキードゥードゥル」の主題からミリタリスティックなマーチへと展開し、ラストはヒロイックな主題で大らかに締めくくるエンドタイトル。ロン・グッドウィンの個性がはっきりと出たダイナミックかつ優雅でソリッドな活劇スコア。

このスコアは1980年にグッドウィン自身がボーンマス交響楽団を指揮して録音したコンピレーション「DRAKE 400」(英Chandos / CHAN 8811)に4分半ほどのコンサート用組曲が収録されていたが、このIntradaレーベルのCDはサントラ音源による未使用曲を含むコンプリート・スコアの初リリースで、限定プレス。
(2016年2月)

Ron Goodwin

Soundtrack Reviewに戻る


Copyright (C) 2016  Hitoshi Sakagami.  All Rights Reserved.