スパルタカス  SPARTACUS: The Complete Album Masters

作曲・指揮:アレックス・ノース
Composed and Conducted by ALEX NORTH

演奏:ハリウッド・スタジオ交響楽団
Performed by the Hollywood Studio Symphony

(米Varese Sarabande / VCL 0516 1170)

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1960年製作のアメリカ映画。監督は「現金に体を張れ」(1956)「博士の異常な愛情」(1964)「2001年宇宙の旅」(1968)「時計じかけのオレンジ」(1971)「シャイニング」(1980)「フルメタル・ジャケット」(1987)「アイズ ワイド シャット」(1999)等のスタンリー・キューブリック(1928〜1999)。出演はカーク・ダグラス、ローレンス・オリヴィエ、ジーン・シモンズ、チャールズ・ロートン、ピーター・ユスティノフ、トニー・カーティス、ジョン・ギャヴィン、ニナ・フォック、ジョン・アイアランド、ハーバート・ロム、ジョン・ドール、チャールズ・マックグロー、ジョアンナ・バーンズ、ハロルド・J・ストーン、ウディ・ストロード他。ハワード・ファストの原作を基に「ローマの休日」(1953)「栄光への脱出」(1960)「ジョニーは戦場へ行った」(1971)「ダラスの熱い日」(1973)「パピヨン」(1973)等のダルトン・トランボ(1905〜1979)が脚本を執筆。撮影はラッセル・メティ。ローマ帝国の圧政に対し叛乱軍を組織して立ち上がった奴隷スパルタカスの闘いを描くスペクタクル史劇。商人バタイアタス(ユスティノフ)に買われ、剣闘士としての訓練を受けていた奴隷のスパルタカス(ダグラス)は、ローマの名将クラサス(オリヴィエ)の命令により、剣闘士同士の真剣勝負でドラバ(ストロード)と戦うことになる。ドラバはスパルタカスを追い詰めるが、彼を仕留める寸前にクラサスに襲い掛かり、その場で処刑されてしまう。好意を抱いていた女奴隷ヴァリニア(シモンズ)が、クラサスに見そめられ売られていくのを目の当たりにしたスパルタカスは、ついに怒りを爆発させ、同僚の剣闘士クリクサス(アイアランド)たちと共謀して叛乱を起す……。権力に飢えた将軍オリヴィエ、狡猾な商人ユスティノフ、堂々たる政治家ロートンの演技が見事。1960年度アカデミー賞の劇・喜劇映画音楽賞、編集賞にノミネートされ、助演男優賞(ピーター・ユスティノフ)、撮影賞(カラー)、美術監督・装置賞(カラー)、衣装デザイン賞(カラー)を受賞している他、同年のゴールデン・グローブの作品賞(ドラマ)を受賞している。

音楽は、アメリカを代表する映画音楽作曲家のアレックス・ノース(1910〜1991)が作曲しており、このスコアは彼の代表作の1つで、アメリカ映画音楽史に残る傑作スコアでもある。「Overture」は、ダイナミックなイントロから明るくヒロイックなマーチの主題へと展開する序曲。「Main Title」は、パワフルなファンファーレからミリタリスティックなパーカッションのフレーズ、ストイックでドラマティックなメインのマーチの主題へと展開するメインタイトル。過去のスペクタクル史劇の映画音楽とは一線を画す、独創的で前衛的とも言えるタッチが秀逸。アメリカン・フィルム・インスティティートのマスタークラスでスティーヴン・スピルバーグ監督とジョン・ウィリアムスが彼らの40年に亘るコラボレーションについて語った対談(2011年収録)の中で、スピルバーグがノース作曲のこのメインタイトルを「これまでに作曲された映画音楽の中で最も偉大な曲の1つ」と絶賛している。「The Mines」は、パーカッシヴでドラマティックなマーチの主題。「Caravan」は、ストイックでドラマティックな曲。「First Pair」は、ダークで重厚なタッチからドラマティックな主題へ展開。「Gladiators Fight to the Death」は、スパルタカスとドラバとの決闘シーンのダイナミックでパーカッシヴなアクション音楽。上記スピルバーグ=ウィリアムスの対談では、スピルバーグがこの曲のシーンを優れた映画音楽の実例として紹介していた。「Brooding」は、メランコリックでドラマティックな曲。「On to Vesuvius - (a) Forward, Gladiators (b) Forest Meeting」は、明るく躍動的な主題からロマンティックなラヴ・テーマへと展開。「Oysters and Snails (Film Version)」は、エキゾチックなタッチの曲。これはクラサスが若い奴隷アントナイナス(カーティス)と風呂に入るシーンの音楽で、このシーンは同性愛を想起させるとして公開当時検閲によりカットされた。1990年のレストア版ではこのシーンが復元されたが、ダイアローグトラックが紛失していたため、カーティスが自分の台詞を、アンソニー・ホプキンスがオリヴィエ(1989年没)の声を吹替えた。「Hopeful Preparations / Vesuvius Camp」は、パワフルで躍動的な曲。「Vesuvius Montage」は、ヒロイックでダイナミックな曲。「Blue Shadows and Purple Hills」は、ラヴ・テーマを織り込んだジェントルでドラマティックな曲。「Headed for Freedom」は、ビジーでダイナミックなアクション音楽。「Homeward Bound - (a) On to the Sea (b) Beside the Pool」は、明るくヒロイックなマーチから軽快な主題、ラヴ・テーマへと展開。「Metapontum Triumph」は、明るく躍動的な曲。「Festival」は、躍動的な舞踏音楽。「Expectant Parents」は、メランコリックでドラマティックな主題からラヴ・テーマへ。「Prelude to Battle - (a) Quiet Interlude (b) The Final Conflict」は、ジェントルな主題からパーカッシヴでミリタリスティックなマーチの主題へ。「Formations」は、ダークで重厚な曲。「Goodbye, My Life, My Love - End Title」は、ラヴ・テーマから、メインの主題、大らかなエンディングへと展開するエンドタイトル。「Spartacus Love Theme」は、ロマンティックで情感豊かなラヴ・テーマ。最後にボーナストラックとして躍動的でダイナミックな「On to the Sea / Infant Burial」「Oysters and Snails / Festival (Album Version)」の別バージョンを収録。

本スコアは、公開当時にDeccaレーベルから全11曲/約42分収録のサントラLPがリリースされており、同じ内容のCDが過去に米MCAレーベル等から出ているが、2010年に米Varese Sarabandeレーベルがモノラルによるコンプリートスコア、現存するステレオ音源トラック等を収録したCD6枚組(約6時間収録)のボックスセット(VCL 0610 1109)をリリース(5000枚限定プレス)している。このCDは、そのボックスセットのDisc 1(現存するステレオ音源トラックを全て収録)を単独リリースしたもので、2000枚限定プレス。
CDのライナーノーツには、アラン&マリリン・バーグマン、エンニオ・モリコーネ、ブライアン・タイラー、デヴィッド・シャイア、ジョン・コリリアーノ、ジョン・モーセリ、ブルース・ブロートン、ラロ・シフリン、パトリック・ドイル、ピノ・ドナジオによる、アレックス・ノースに対する賛辞が収録されている。
(2016年7月)

Alex North

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