リユニオン-再会-  REUNION (L'AMI RETROUVE)
ウィンター・ローズ  MISUNDRSTOOD

作曲: フィリップ・サルド
Composed by PHILIPPE SARDE

演奏: レスター・ボウイ・オーケストラ(「リユニオン-再会-」)
Performed by Lester Bowie and His Orchestra (REUNION)


(スペインQuartet Records / QR253)

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フランスの作曲家フィリップ・サルド(1948〜)が「スケアクロウ」(1973)「忍冬(すいかずら)の花のように」(1980)「(TV)ガン・ランナー」(1988)等のアメリカの映画監督ジェリー・シャッツバーグ(1927〜)とコラボレートした2作品のスコアのカップリング(但し「ウィンター・ローズ」は使用されなかったスコア)。

「リユニオン-再会-(REUNION)」は、1989年製作のフランス=西ドイツ=イギリス合作映画(日本公開は1991年2月)。出演はジェイソン・ロバーズ、クリスチャン・アンホルト、サミュエル・ウェスト、フランソワーズ・ファビアン、モーリーン・カーウィン、ドロシア・アレクサンダー、フランク・ベイカー、ティム・バーカー、イムケ・バーンシュテット、ギデオン・ボールティング、アラン・ボウヤー、ジャック・ブリュネ、ルパール・ドゥガ、ロバート・ディートル、リュック=アントワーヌ・ディケロ他。フレッド・ウルマンの原作を基に「さらばベルリンの灯」(1966)「ラスト・タイクーン」(1976)「フランス軍中尉の女」(1981)「侍女の物語」(1990)「スルース」(2007)等のハロルド・ピンター(1930〜2008)が脚本を執筆。撮影はブリューノ・ドゥ・ケイゼール。第2次大戦前夜のドイツを舞台に、ユダヤ人少年とドイツ貴族の血を引く少年の友情と、半世紀後の顛末を描くドラマ。シュトゥットガルトのギムナジウムに名門の少年コンラディン・フォン・ローエンブルグ(ウェスト)が転校してくる。彼が唯一心を許したのは、孤立していたユダヤ人の少年ハンス・シュトラウス(アンホルト)だった。共通の趣味を持ち、友情を深めてゆく2人だったが、コンラディンの両親は彼がユダヤ人と親しくすることが理解できなかった。ナチスの台頭に伴い、ハンスの父親は彼をニューヨークの叔父に預けることにし、2人に別れの時が訪れる。半世紀後、ニューヨークでへンリー・シュトラウス(ロバーズ)と名を変え弁護士として成功を収めたハンスは、コンラディンの消息を知るために再びシュトゥットガルトを訪れるが……。1989年度カンヌ国際映画祭の正式出品作品。

フィリップ・サルドのスコアは、ジャズのアレンジを加えたドイツ風マーチの主題をベースにしており、アメリカのジャズトランペッター/作曲家のレスター・ボウイ(1941〜1999)のオーケストラによる演奏。「Reunion - Corridors of Remembrance」は、陽気でバウンシーなマーチ調のビッグバンド・ジャズによるメインの主題。「Friendship」「For Jason and Jerry」「Back from the Woods」は、明るくジェントルな曲。「Wounds of the Past」は、ドラマティックな曲。「Daily Partners」「German Countryside」は、メインの主題のバリエーション。「Propaganda」は、ちょっと調子はずれの演奏による明るく陽気なマーチ。ラストの「Reunion」は、メインの主題のリプライズ。

「ウィンター・ローズ(MISUNDRSTOOD)」は、1983年製作のアメリカ=イタリア合作映画。出演はジーン・ハックマン、ヘンリー・トーマス、リップ・トーン、ハックルベリー・フォックス、モーリーン・カーウィン、スーザン・アンスパッチ、ジューン・ブラウン、ヘレン・ライアン、ナディム・サワルア、ニダル・アル=アスカール、カーレッド・アクルート、ラジャ・ガフシ、モヘディーン・ムラッド、ジェームズ・R・コープ、ハリマ・ダウード他。フロレンス・モンゴメリーの原作を基にバーラ・グラントが脚本を執筆。撮影はパスカリーノ・デ・サンティス。同じ原作を映画化した1965年製作のイタリア映画「天使の詩(INCOMPRESO)」(監督:ルイジ・コメンチーニ、出演:アンソニー・クエイル、ステーファノ・コラグランデ、音楽:フィオレンツォ・カルピ)のリメイク。母親の死をきっかけに生じた父親と息子の心の断絶を描くドラマ。チュニジアで貿易会社を営むアメリカ人ネッド・ロウリー(ハックマン)は、妻リリー(アンスパッチ)が急死したことで深い悲しみに沈む。葬式から戻った彼は、長男のアンドリュー(卜ーマス)にだけ母の死を告げ、身体の弱い次男マイルズ(フォックス)のことを心配し、弟には黙っているようにと口止めする。淋しさから父に甘えたいアンドリューだったが、忙しいネッドはかまってやる暇がなく、父と子の心の溝は次第に広がっていく……。

フィリップ・サルドのスコアは、ユダヤ音楽、北アフリカ音楽、アメリカのカントリー・ミュージックを組み合わせたものだが、最初の試写の反響に落胆したプロデューサーが映画の再編集を決定し、スコアも「(未公開/TV)Nanette: An Aside」(1977)「(未公開)Hofshat Kaits」(2007)等のマイケル・ホップ作曲のものにリプレースされた。ここではサルド作曲の未使用スコアを7楽章から成る「少年期の組曲(Childhood Suite)」として収録。「Movement I」は、躍動的なフィドルにトランペット、バンジョー、ギター等をフィーチャーした明るく陽気な曲。「Movement II」は、フィドル、バンジョー、ギターによるジェントルでややメランコリックな曲。「Movement III」は、バンジョーとフィドルによるメランコリックな曲。「Movement IV」は、明るく躍動的なタッチ。「Movement V」は、エスニックなタッチ。「Movement VI」は、ドラマティックな曲。「Movement VII」は、明るく躍動的なタッチからメランコリックなタッチへと展開。トランペットはモーリス・マーフィー、サックスはアニー・フラテリーニ、ギターはラウリンド・アルメイダ、バンジョーはエリック・ワイスバーグ、ウード (アラビアの撥弦楽器)とナーイ(葦笛)はディック・アベル、ヴァイオリンはマイケル・デイヴィス、チェロはキース・ハーヴェイ、ハープはスカイラ・カンガ、パーカッションはフランク・リコッティの演奏。
(2017年4月)

Philippe Sarde

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