婚約者の友人 FRANTZ
作曲・指揮:フィリップ・ロンビ
Composed and Conducted
by
PHILIPPE ROMBI
演奏:ベラルト交響楽団
Performed by l'Orchestre Symphonique Bel'Arte
(仏BOriginal / BO-31)
2016年製作のフランス=ドイツ合作映画(日本公開は2017年10月21日)。監督は「8人の女たち」(2002)「スイミング・プール」(2003)「エンジェル」(2007)「しあわせの雨傘」(2010)「危険なプロット」(2012)「彼は秘密の女ともだち」(2014)等のフランソワ・オゾン(1967〜)。出演はピエール・ニネ、パウラ・ベーア、エルンスト・シュトッツナー、マリー・グルーバー、ヨハン・フォン・ビュロー、アントン・フォン・ルック、シリエル・クレア、アリス・ドゥ・ランケサン、アクセル・ヴァトケ、ライナー・エッガー、ライナー・シルバーシュナイダー、メルリン・ローズ、ラルフ・ディトリッヒ、ミヒャエル・ヴィッテ、ルッツ・ブロッホベルガー他。脚本はフランソワ・オゾンとフィリップ・ピアッツォ。撮影はパスカル・マルティ。第一次大戦後1919年のドイツ、クヴェードリンブルク。アンナ(ベーア)は戦死した婚約者フランツ(フォン・ルック)の墓で、彼の友人だったというフランス人の青年アドリアン(ニネ)に出会う。ふたりは敵国同士であるという壁を越えて距離を縮め、フランツの家族も彼に心を開いていくが、アドリアンにはある秘密があった……。エルンスト・ルビッチが1932年に監督した「私の殺した男(BROKEN
LULLABY)」(出演:フィリップス・ホームズ、ライオネル・バリモア)のリメイクで、ルビッチの作品は「シラノ・ド・ベルジュラック」の原作者エドモン・ロスタンの息子モーリス・ロスタンの戯曲をベースにしている。
音楽はフランソワ・オゾン監督作品の常連作曲家フィリップ・ロンビ(1968〜)。冒頭の「Chanson
d'automne」は、主演のパウラ・ベーアとピエール・ニネによるセリフで、ポール・ヴェルレーヌの詩『秋の歌』の引用。第二次大戦のノルマンディー上陸作戦時にフランスのレジスタンスに送る暗号として使われたことで有名な詩で、日本では上田敏の詩集『海潮音』のなかで『落葉』として紹介され、「秋の日のヴィオロンのためいきの
身にしみてひたぶるにうら悲し……」の訳で知られる。「Une amitié」は、ピアノとストリングスによる優雅で美しい曲。「La
promenade」は、ストリングスによる情感豊かな曲。「La leçon de violon」は、ピアノとストリングスによるリッチで美しい曲。「Les
tourments」「La tranchée」は、ストリングスによる静かにメランコリックな曲。「Nocturne No.20
en Do Dièse Mineur, op.Posthume」は、フレデリック・ショパン作曲の「夜想曲第20番」で、編曲とピアノはフィリップ・ロンビ、ヴァイオリンはステファン・ロデスクの演奏。「Le
secret」「La lettre de Frantz」は、ピアノとストリングスによる静かにメランコリックな曲。「Le
départ d'Adrien」は、ストリングスによるダークでドラマティックな曲。「Quatuor a cordes
no.1, Op.11:Il Andante cantabile」は、チャイコフスキー作曲の「弦楽四重奏曲第1番ニ長調
作品11」で、演奏はボロディン弦楽四重奏団。「Paris」は、ストリングスによるドラマティックな曲。「Les
retrouvailles」は、ストリングスによる静かにメランコリックでドラマティックな曲。「Nuit d'étoiles」は、テオドール・ドゥ・バンヴィルの原詩を基にクロード・ドビュッシーが作曲した「星の夜」で、編曲とピアノはフィリップ・ロンビ、ソプラノはアンジェリーヌ・ルレイ、ヴァイオリンはジェラルディーヌ・ロンビの演奏。「Le
suicidé」は、ピアノとストリングスによるダークでメランコリックな曲。静かに繊細で美しいスコア。
(2017年7月)
Philippe
Rombi
Soundtrack Reviewに戻る
Copyright (C) 2017 Hitoshi Sakagami. All Rights Reserved.