(未公開)ザ・ショッカー/女子学生を襲った呪いの超常現象 SATAN'S SLAVE

作曲・指揮:ジョン・スコット
Composed and Conducted by JOHN SCOTT

(英Moscovitch Music / MVM CD 004)

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1976年製作のイギリス映画(米国公開題名は「EVIL HERITAGE」/日本では劇場未公開でテレビ放映済)。監督は「悪魔の受胎」(1979)「(未公開)ギロチノイド」(1979)「(未公開)人喰いエイリアン」(1984)「(未公開)タイム・ワープ・ゾーン」(1986)といった低予算ホラー/SFばかりを手がけているイギリス人ノーマン・J・ウォーレン(1942〜)。出演はマイケル・ゴーフ、マーティン・ポッター、キャンディス・グレンデニング、バーバラ・ケラーマン、マイケル・クレイズ、グロリア・マレイ、ジェームズ・ブリー、セリア・ヒューイット、デヴィッド・マクギリヴレイ、ロバート・コンウェイ、リチャード・クラフター、ニック・マレイ、ポーラ・パターソン、モニカ・リングワルド、モイラ・ヤング他。脚本はデヴィッド・マクギリヴレイ。撮影はレス・ヤング、デニス・バルキン、スティーヴ・ハスケット、ジョン・メトカルフとジョン・シモンズ。20歳の誕生日を目前に控えた女子大生キャサリン(グレンデニング)は、父マルコム(ブリー)、母エリザベス(ヒューイット)とともに伯父の家へと招かれたが、途中で起きた交通事故で両親を失ってしまう。ショックのあまり寝込んでしまったキャサリンを、伯父アレクサンダー・ヨーク(ゴーフ)は優しく介抱する。その豪邸には、アレクサンダーの息子スティーヴン(ポッター)と秘書フランシス(ケラーマン)が同居していた。やがてキャサリンは、彼女の家系が魔女カミラの子孫であり、悪魔崇拝者のアレクサンダーとスティーヴンがカミラを復活させるためにキャサリンを生贄にしようとしていることを知るのだった……。アレクサンダーを演じるマイケル・ゴーフ(1916〜2011)は、「吸血鬼ドラキュラ」(1958)「黒死館の恐怖」(1959)「ヘルハウス」(1973)等に出演しているホラー映画のベテラン俳優で、晩年はティム・バートン監督の「バットマン」(1989)「スリーピー・ホロウ」(1999)等にも出演している。

音楽はノーマン・J・ウォーレン監督と「(未公開)Fragment」(1965)「(未公開)Her Private Hell」(1968)「(未公開)Loving Feeling」(1968)「悪魔の受胎」(1979)でも組んでいるイギリスの作曲家ジョン・スコット(1930〜)。「Main titles」は、不吉なタッチのイントロからメランコリックなタッチのメインの主題へと展開するメインタイトル。「Sacrifice」は、パーカッシヴなサスペンス音楽。「Head smashed and stabbed」「Car inferno」「Everything seems so unreal」「Visions in the woods」「Evil elevator」「Evil elevator part 2 and trance」「Stephen kills Frances and kitchen rendezvous」「Catherine escapes」「Catherine discovers the truth」等も、不気味なタッチのサスペンス音楽。「Drive to Alexandre's and crash」は、クールなジャズ。「A walk in the grounds」「Grave side and Camilla's headstone」「Do you mind if I join you?」は、メランコリックなタッチ。「Catherine's bracelet is taken」は、幻想的なタッチ。「Picnic in a car」「Catherine's nightmare」「Frances tells all」は、メインの主題を織り込んだサスペンス音楽。「Catherine and Stephen make love」は、リリカルなタッチ。「Get her! Get her back!」は、ダイナミックなサスペンスアクション音楽。「End titles」は、メインの主題によるエンドタイトル。最後の未使用曲「Unused cue」も、メインの主題のバリエーション。

ジョン・スコットは予算上の制約で自分を含めた7人のミュージシャンしか確保できず、自らフルート、アルトフルートとアルトサックスを演奏している。「アントニーとクレオパトラ」(1972)「ファイナル・カウントダウン」(1980)「グレイストーク -類人猿の王者- ターザンの伝説」(1984)「(未公開)燃える男」(1987)といった大編成オーケストラによるパワフルでドラマティックなスコアで知られるスコットのフィルモグラフィー中では異色な作品ではあるが、低予算ながら効果的なサスペンスホラー音楽を提供しているところはさすがだし、大規模な作品を手がけるようになった後も、昔からの友人である監督の低予算作品をきちんと担当する律儀さが彼らしい。
(2017年8月)

John Scott

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