偽りの忠誠 ナチスが愛した女 THE EXCEPTION

作曲:アイラン・エシュケリ
Composed by ILAN ESHKERI

指揮:ロバート・グロスロット
Conducted by ROBERT GROSLOT

演奏:ブリュッセル・フィルハーモニー管弦楽団
Performed by Brussels Philharmonic

(米Varese Sarabande / 302 064 236 2)

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2016年製作のイギリス=アメリカ合作映画(日本では2017年7〜8月に開催の<カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2017>にて上映)。監督は2017年4月にナショナル・シアター・ライヴで中継された『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』(主演:ダニエル・ラドクリフ、ジョシュア・マクガイア)の演出等を手がけているデヴィッド・ルヴォー(1957〜)で、これは長編映画監督デビュー作。出演はリリー・ジェームズ、ジェイ・コートニー、クリストファー・プラマー、ジャネット・マクティアー、ベン・ダニエルズ、エディー・マーサン、アントン・レッサー、マーク・デクスター、マーティン・サヴェージ、オードゥリーヌ・バルビュー、ステファーヌ・オーベルゲン、マーティン・スワベイ、クルト・シュタンデート、クリス・クッペンス、ステファニー・ヴァン・ヴィーヴ他。アラン・ジャッドの原作『The Kaiser's Last Kiss』を基にサイモン・バークが脚本を執筆。撮影はロマン・オーシン。1940年、ナチス・ドイツによる周辺国への侵攻が激しさを増す中、退位後も国内に根強い支持者を持つドイツ最後の皇帝ヴィルヘルム二世(プラマー)の動向を監視するため、ドイツ軍将校のステファン・ブラント大尉(コートニー)はオランダの元皇帝の屋敷へと送り込まれる。そこで彼は、メイドとして働くミーケ(ジェームズ)と出会い、ひと目で彼女に心を奪われる。ミーケもまたブラントの思いを受け入れ、戦時下の不安から逃がれるかのように夜ごと激しい情事に溺れてゆく。しかし、ミーケの正体はイギリス政府の密命を受け屋敷に潜入していたスパイだった。やがて、彼女の極秘任務が明らかになるが……。皇帝役のクリストファー・プラマーの威厳と、ハインリッヒ・ヒムラー役のエディー・マーサンの冷徹さが秀逸。

音楽は「レイヤー・ケーキ」(2004)「ハンニバル・ライジング」(2007)「スターダスト」(2007)「ヴィクトリア女王 世紀の愛」(2009)「キック・アス」(2010)「アリスのままで」(2014)等のイギリスの作曲家アイラン・エシュケリ「Waking Up」は、ピアノとストリングスによるメランコリックで美しいメインの主題から中盤はドラマティックに展開する曲。「Stefan Prepares Himself」「Chopping Wood」「Escape」「Return to Berlin」は、メインの主題のバリエーション。「Feeding Ducks」「The Kaiser's Theme」は、ピアノによるメランコリックな曲。「Stefan's New Room」は、ピアノとストリングスによるジェントルで美しい曲。「Apology」「The Kaiser Sees the Truth」は、ドラマティックな曲。「Restoration」「Seize the Day」「Private Conversations」「Mika's Promise」は、静かにドラマティックな曲。「Himmler Arrives」「Mika's Message」は、ダイナミックなサスペンス音楽。「The Ambulance」は、メインの主題を織り込んだダイナミックでドラマティックな曲。ラストの「Last Kiss」も、メインの主題のバリエーション。繊細で美しく、ドラマティックなスコア。
ヴァイオリン・ソロはアレクセイ・モシュコフ、ヴィオラ・ソロはポール・デ・クラーク、チェロ・ソロはカレル・ステイラーツ、ピアノ・ソロはアナステイシア・ゴールドバーグの演奏。
(2017年8月)

Ilan Eshkeri

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