ハッスル HUSTLE
ロンゲスト・ヤード THE LONGEST YARD

作曲・指揮:フランク・デ・ヴォール
Composed and Conducted by FRANK DE VOL

(スペインQuartet Records / QR279)

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「ヴェラクルス」(1954)「キッスで殺せ!」(1955)「攻撃」(1956)「飛べ!フェニックス」(1965)「特攻大作戦」(1967)「北国の帝王」(1973)「合衆国最後の日」(1977)「カリフォルニア・ドールス」(1981)等、骨太でダイナミックな演出で知られるロバート・アルドリッチ監督(1918〜1983)と、彼の常連作曲家だったフランク・デ・ヴォール(1911〜1999)のコラボレーション2作品のスコア(いずれも主演はバート・レイノルズ)。

「ハッスル(HUSTLE)」は、1975年製作のアメリカ映画(日本公開は1976年6月)。出演はバート・レイノルズ、カトリーヌ・ドヌーヴ、ベン・ジョンソン、ポール・ウィンフィールド、アイリーン・ブレナン、エディ・アルバート、アーネスト・ボーグナイン、キャサリン・バック、ジャック・カーター、ジェームズ・ハンプトン、シャロン・ケリー(コリーン・ブレナン)、チャック・ヘイワード、デヴィッド・エストリッジ、ピーター・ブランドン、ロバート・イングランド他。脚本はスティーヴ・シェイガン。撮影はジョセフ・バイロック。ロス・アンジェルス市警殺人課のフィル・ゲインズ警部補(レイノルズ) は、マリブの海岸で若い娘の死体が発見されたとの連絡を受け、同棲中のフランス人ニコール・ブリットン(ドヌーヴ)を残して署に向かった。署では、マーティ・ホリンジャー(ジョンソン)とその妻ポーラ(ブレナン)が、海岸で発見された遺体を数年前に家出した娘のグロリア(ケリー)であると確認する。フィルは主任のサントロ(ボーグナイン)に、グロリアの死因が睡眠薬による自殺だったと報告するが、ホリンジャーは自殺説を激しく否定し、娘の死の真相を独自に捜査し始める。一方、グロリアの所持していた写真に大物弁護士レオ・セラーズ(アルバート)が写っていたことが確認されるが、彼はニコールのアメリカ入国を世話し、彼女をフィルに紹介した人物だった……。

フランク・デ・ヴォールのスコアは、「Theme From Hustle」が、トランペット・ソロと女声ヴォーカルをフィーチャーでジェントルでリリカルなメインの主題。「Main Titles」は、リズミックなメインタイトル。「Memories of Gloria」は、ジェントルな主題とサスペンス調の主題が交互に展開する曲。「Theme From Hustle」「Tired Time」「Make Up」「No Name Gun」は、メインの主題。「So Rare」「Scanty Land」は、明るく軽快なジャズ。「Temptation」「Garment Factory」「The Shoot Out (Theme From Hustle)」は、サスペンス音楽。「Moby Dick」は、ダイナミックでパワフルな曲。「Phychedelicatessen」は、エスニックなタッチの舞踏音楽。「First Muzak」「Second Muzak」「Josephina」は、明るくライトなムード音楽。「Brandied」「The Real Thing」は、ジェントルな曲。「De Vol's Mission: Improbable」は、ライトなタッチからサスペンス調の主題、ラロ・シフリン作曲の「(TV)スパイ大作戦」の主題へと展開。「Race Against Time」は、ヒロイックでダイナミックな曲。「End Credits」は、メインの主題のリプライズによるエンドクレジット。最後にボーナストラックとして「Phychedelicatessen (Alternate)」の代替トラックと、ソース曲「Begin the Beguine (Cole Porter)」「A Man and a Woman (Francis Lai)」を収録。

「ロンゲスト・ヤード(THE LONGEST YARD)」は、1974年製作のアメリカ映画(日本公開は1975年5月)。出演はバート・レイノルズ、エディ・アルバート、エド・ローター、マイケル・コンラッド、ジム・ハンプトン、ハリー・シーザー、ジョン・スティードマン、チャールズ・タイナー、マイク・ヘンリー、ジム・ニコルソン、バーナデット・ピータース、パーヴィス・アトキンス、トニー・カッチオッティ、アニトラ・フォード、リチャード・キール他。アルバート・S・ラディの原案を基にトレイシー・キーナン・ウィンが脚本を執筆。撮影はジョセフ・バイロック。刑務所を舞台に、看守チームと囚人チームのフットボール対決を豪快でマッチョな演出で描いた傑作スポーツ・アクション。ポール・クルー(レイノルズ)は、かつてプロ・フットボールの花形クォーターバックだったが、今は金持ち女のヒモとして自堕落な生活を送っていた。ある日、ポールは彼女の車を盗んだ罪でシトラス州立刑務所にぶち込まれてしまう。刑務所長のヘイゼン(アルバート)は、看守たちのセミプロ・フットボール・チームを育てあげることに異常な執念を燃やしており、ポールに看守チームのコーチ役を命ずるが、彼がそれを断ったため、懲罰として沼地の重労働キャンプへと追いやってしまう。囚人達を監督するナウアー看守長(ローター)の汚いやり方に怒ったポールは、彼に殴りかかり、独房に監禁される。ヘイゼン所長は独房から出す交換条件として、看守チームの練習台となる囚人チームの育成にポールを同意させるが……。コミカルでダイナミックな演出が見事で、クライマックスのフットボール戦も痛快そのもの。ロバート・アルドリッチ監督のベスト作の1つだろう。1974年度アカデミー賞の編集賞にノミネートされ、同年のゴールデン・グローブの作品賞(コメディ/ミュージカル)を受賞している。

フランク・デ・ヴォールのスコアは、「Main Titles」が、ハーモニカとバンジョーによる明るく大らかなメインタイトル。「Rocky Mountain Heart」は、カントリー調でライトなタッチの曲。「Muck and Mire / Muck and Mirth」は、コミカルなタッチの曲。「Sneaky Man / Walking With the Warden」「Caretaker's Death」「The Longest Note」は、サスペンス音楽。「The Longest Yard」は、メインの主題。最後にボーナストラックとしてソース曲「For He's a Jolly Good Fellow (Trad.)」「National Emblem March (E.E. Bagley)」「When the Saint Go Marching In (Trad.)」「You Gotta Be a Football Hero (A. Sherman, A. Lewis, B. Fields)」を収録。

フランク・デ・ヴォールロバート・アルドリッチ監督と、この「ハッスル」(1975)と「ロンゲスト・ヤード」(1974)以外にも「キッスで殺せ!」(1955)「(未公開)悪徳」(1955)「攻撃」(1956)「何がジェーンに起ったか?」(1962)「ふるえて眠れ」(1964)「飛べ!フェニックス」(1965)「特攻大作戦」(1967)「女の香り」(1968)「ワイルド・アパッチ」(1972)「北国の帝王」(1973)「クワイヤボーイズ」(1977)「(未公開)フリスコ・キッド」(1979)「カリフォルニア・ドールス」(1981)で組んでいる。

(2017年12月)

Frank De Vol

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