(TV)将軍 SHOGUN SHOGUN
作曲・指揮:モーリス・ジャール
Composed and Conducted by MAURICE JARRE
(米Intrada / Intrada Special
Collection Volume 394)
1980製作のアメリカ=日本合作のTVミニシリーズ(日本では1981年3〜4月にテレビ朝日で放映)。監督は「(TV)殺人ブルドーザー」(1974)「(TV)自動車」(1978)「(TV)警察署長」(1983)「(TV)アーサー・ヘイリーのホテル」(1983)「レンタ・コップ」(1987)等のジェリー・ロンドン(1947〜)。出演はリチャード・チェンバレン、島田陽子、三船敏郎、フランキー堺、目黒祐樹、金子信雄、安部徹、高松英郎、宮口精二、ジョン・リス=デイヴィス、アラン・バデル、ヴラデク・シェイバル、マイケル・ホーダーン、ダミアン・トーマス、レオン・リセック、夏木陽介、岡田真澄、他。ナレーションはオーソン・ウェルズ。「(未公開)蝿男の恐怖」(1958)「大脱走」(1963)「633爆撃隊」(1964)「サタンバグ」(1964)等の脚本や「タイパン」(1986)の原作を手がけたジェームズ・クラヴェル(1921〜1994)のベストセラー小説を基に「太平洋の地獄」(1968)「ワイルドトレイル」(1975)「(TV)権力と陰謀・大統領の密室」(1977)等のエリック・バーコヴィッチ(1933〜2014)が脚本を執筆。撮影はアンドリュー・ラズロ。1600年に日本へ漂着し、徳川家康の外交顧問となったイギリス人航海士ウィリアム・アダムス(1564〜1620、日本名は三浦按針)の実話をベースにしたジェームズ・クラヴェルの小説(アダムスをブラックソーン、徳川を虎長に変えたフィクション)の映像化で、全米では5パートのミニシリーズ(計12時間)として放映され、日本では160分に編集された劇場版が1980年に公開された。1598年にオランダからアメリカを目指して出航した商船エラスムス号が、暴風雨に遭い伊豆の漁村・網代に漂着。航海士ジョン・ブラックソーン(チェンバレン)は、領主の矢部(堺)と甥の近江(目黒)に保護される。東の虎長(三船)、西の石堂(金子)という二大勢力がしのぎを削る中で、ブラックソーンの漂着は大きな波紋を投げかけた。航海士という仕事から“按針(あんじん)”と名付けられたブラックソーンは、虎長にヨーロッパの情勢を語り、虎長はポルトガルによる交易の裏の野望を知る。ブラックソーンはこの席上で通訳を勤めたまり子(島田)を知り、やがて深く愛し合うようになる……。島田陽子が日本人として初めてゴールデン・グローブ主演女優賞を受賞。
音楽は日本映画「首都消失」(1987)「落陽」(1992)や日米合作映画「クライシス2050」(1990)等を手がけているフランスの作曲家モーリス・ジャール(1924〜2009)。尺八、琴、琵琶、三味線、太鼓といった和楽器を織り込んだオーケストラによるスコアを展開。1980年に米RSOレーベルから約38分収録のサントラLPが出ていたが、このIntradaレーベルのCDは3枚組で、1枚目にパート1、2のスコア、2枚目にパート3〜5のスコア、3枚目に過去のサントラLPの内容とエクストラ・トラックを収録した計230分超の拡張盤。
1枚目の冒頭「Main Title」は、ファンファーレから尺八と琴の短いフレーズ、ヒロイックでダイナミックなマーチ調のメインの主題、オリエンタルなタッチのマーチ、エキゾチックなまり子の主題へと展開するメインタイトル。「Erasmus」は、荘厳な主題からサスペンス音楽へ。「Reef」「Boiling
Torture」「A Slave Ship」「Sent to Prison」「To the Galley!」等は、ダイナミックでパーカッシヴなサスペンス音楽。「Wakening
in the Japans」「In the Village」等は、琴をフィーチャーしたジェントルな曲。「Yabu's
Arrival」は、オリエンタルでパーカッシヴなマーチの主題。「I'm Not the One to Go」は、ドラマティックな主題から後半ダイナミックなアクション音楽へ。「On
the Way to Meet Toranaga」は、オリエンタルでパーカッシヴな曲。「Blackthorne and
Mariko」は、ジェントルな曲。「Amida Tong」「You Will Burn in Hell」「A
Big-Hatted Person」「The Ambush」「A Nice Deal」等は、サスペンス音楽。「Ishido's
Letter」は、中盤に明るく陽気な主題が登場。「A Honeyed Tongue」は、フルート・ソロによるジェントルな主題。ラストの「End
Credits (alternate)」は、メインの主題によるエンドクレジット。
2枚目の冒頭「Mariko's
Theme」は、エキゾチックでリリカルなまり子の主題(メインの主題のバリエーションでもある)で、この主題は「To
Yedo」「Before the Ceremony」「Learning Japanese」「Kinjiru」「Blackthorne and
Fujiko」「Mariko (unused)」等で何度も登場する。「Seppuku」「Punishment」「Elegy」「Swear
to Me」「Kiku」「Unhappy Lovers」「Yabu Trapped」等は、尺八や琴をフィーチャーしたオリエンタルなタッチの曲。「Earthquake」は、メインの主題を織り込んだサスペンス音楽。「Toranaga's
Camp」「Samurai」「Samurai's Oath」等は、ダイナミックでパーカッシヴな曲。「Preparing for
Mariko's Suicide」「Yabu's Betrayal」「Yabu and Ninja」「Vinck's Madness」は、サスペンス音楽。「Mariko's
Funeral」は、オリエンタルでドラマティックな曲。「Finale」は、ダークなサスペンス音楽からダイナミックでパーカッシヴな主題へと展開するフィナーレ。ラストの「End
Credits」は、まり子の主題によるエンドクレジット。
3枚目はRSO盤LP(RSO Records / RX
1-3088)の13曲と、代替テイク、ソース音楽等のエクストラ・トラック34曲を収録。
西洋人作曲家による日本を舞台にしたスコアとしては非常に完成度の高い力作。サントラ音源の初リリースで限定プレス。
(2018年1月)
Maurice Jarre
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