フィリップ・サルド=ローラン・エイヌマン監督作品集
BANDES ORIGINALES DES FILMS DE LAURENT HEYNEMANN: MUSIQUE DE PHILIPPE SARDE

作曲:フィリップ・サルド
Composed by PHILIPPE SARDE

演奏:ロンドン交響楽団、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団、パリ管弦楽団、グライムソープ・コリアリー・バンド
Performed by the London Symphony Orchestra (IL FAUT TUER BIRGITT HAAS), the Royal Philharmonic Orchestra (STELLA), L'Orchestre de Paris (LES MOIS D'AVRIL SONT MEURTRIERS, LA VIEILLE QUI MARCHAIT DANS LA MER), Grimethorpe Colliery Band (LE DERNIER CIVIL)

(仏Music Box Records / MBR-127)

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<収録曲>

DISC 1 :

1. (未公開)IL FAUT TUER BIRGITT HAAS (1981)
 ・La femme dangereuse
 ・Filature dans Munich
 ・Sur le lac gelé
 ・Disparue
 ・Athanase
 ・On ne peut plus dire à sa femme qu'on l'aime
 ・Au bord de l'Isar
 ・Une nuit d'amour, pas une histoire d'amour
 ・Le jardin anglais
 ・Birgitt prisonnière

2. (未公開)STELLA (1983)
 ・Libération sous condition
 ・Le bal des collabos
 ・Occupation du village
 ・Une gifle chez le Suisse
 ・Preuve d'amour
 ・Vers son père
 ・Côte basque
 ・Partir ou fuir
 ・Vous me devez une vie
 ・La buée effacée
 ・Hubert et Stéphane
 ・Vers l'Espagne

3. (未公開)FAUX ET USAGE DE FAUX (1990)
 ・Usage de faux
 ・Le secret de Copenhague

DISC 2 :

4. (未公開)LES MOIS D'AVRIL SONT MEURTRIERS (1987)
 ・Les mois d'avril
 ・Clara
 ・Délit d'initié
 ・Ma petite fille morte

5. 海を渡るジャンヌ LA VIEILLE QUI MARCHAIT DANS LA MER (1991)
 ・La vieille qui marchait
 ・Chantage exotique
 ・Seul sur cette île
 ・Côte d'Azur
 ・Souvenirs de la vieille
 ・Petit con a poil
 ・Radio Caraïbe
 ・Aria, bravo Pompilius
 ・Le diadème
 ・Mort de Pompilius
 ・Dénonciation
 ・Fête chez le maharadja
 ・Vieille adolescente

6. (未公開/TV)LE DERNIER CIVIL (1984)
 ・Le dernier civil
 ・Retour au pays
 ・Fête à Siebenwasser
 ・Confession au lac
 ・Le dernier bal
 ・L'américain
 ・La vendange
 ・Contre la violence
 ・Complot pour le pouvoir
 ・La réparation
 ・La vente du domaine
 ・Naissance et exil
 ・Bal transatlantique
 ・Je serai toujours le dernier civil

 

ベルトラン・タヴェルニエ監督やイヴ・ボワッセ監督の助監督を務め、「(TV)モーパッサン・ブルー 「遺産」「ふたりの友」」(2007)等の監督作のあるローラン・エイヌマン(1948〜)とフランスの作曲家フィリップ・サルド(1948〜)との10年間にわたるコラボレーション作品(全6作品のコンプリート・スコア)を集めたコンピレーション。どのスコアにもサルド独特の上質なセンスを感じさせる。CD2枚組で140分以上の音楽を収録。

1. (未公開)IL FAUT TUER BIRGITT HAAS

1981年製作のフランス映画(英語題名は「BIRGITT HAAS MUST BE KILLED」)。出演はフィリップ・ノワレ、ジャン・ロッシュフォール、リサ・クロイツァー、ベルナール・ル・コック、モーリス・テイナック、ミシェル・ボーヌ、ヴィクトール・ガリヴィエ、モニーク・ショーメット、クリスチャン・ブーイエット、ステファン・メルデッグ他。脚本はピエール・ファブル、ローラン・エイヌマンとカロリーヌ・ユペール。撮影はジャン=フランシス・ゴンドル。警察や諜報機関が扱わない特殊任務を遂行する組織“Hangar”のアタナス(ノワレ)は、シャルル=フィリップ・ボーマン(ロッシュフォール)を雇い、ドイツの女スパイ、ビルジット・ハース(クロイツァー)の暗殺を計画するが……。
サルドのスコアは「La femme dangereuse」が、繊細でメランコリックなタッチの曲。「Filature dans Munich」「Le jardin anglais」は、不吉なタッチのサスペンス調。「Sur le lac gelé」は、サルドらしいドラマティックかつスリリングな曲。「Disparue」「Athanase」は、メランコリックで美しい曲。「On ne peut plus dire à sa femme qu'on l'aime」は、トラジックなタッチ。「Au bord de l'Isar」は、ジェントルな曲。「Une nuit d'amour, pas une histoire d'amour」「Birgitt prisonnière」は、繊細でドラマティックな曲。演奏はロンドン交響楽団。オーケストレーションはピーター・ナイト

2. (未公開)STELLA

1983年製作のフランス映画。出演はニコール・ガルシア、ティエリー・レルミット、ジャン=クロード・ブリアリー、シャルル・デネール、ヴィクトール・ラヌー、ジェラール・デサルト、ジュルール・ベグーラ、ユベール・サン=マカリー、ロバン・ルヌーチ、フランソワ・ベルレアン他。脚本はピエール・ファブルとローラン・エイヌマン。撮影はジャン=フランシス・ゴンドル。第二次大戦中のフランスで、イヴォン(レルミット)はユダヤ人の恋人ステラ(ガルシア)が国外追放されるのを免れるためにゲシュタポに協力し、ナチスがフランスの美術品を略奪するのに手を貸す。フランスの解放後、追われる身となったイヴォンはスペインに逃亡しようと決意するが、ステラは彼と一緒に行くことを拒否する……。
サルドのスコアは「Libération sous condition」が、ピアノとヴァイオリンによるライトで気だるいタッチのジャズ。「Le bal des collabos」「Une gifle chez le Suisse」「Côte basque」は、軽快なダンスミュージック。「Occupation du village」は、ドラマティックでサスペンスフルなタッチから中盤クラリネットとヴァイオリンによるジェントルなジャズへ。「Preuve d'amour」「Partir ou fuir」「Vous me devez une vie」「Hubert et Stéphane」「Vers l'Espagne」は、ジェントルでドラマティックな曲。「Vers son père」は、ヴァイオリンとクラリネットによるメランコリックでジェントルな曲。「La buée effacée」は、ピアノとヴァイオリンによるドラマティックな曲。演奏はロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団。オーケストレーションはピーター・ナイト。ヴァイオリンはジャズ・ヴァイオリニストの第一人者であるステファン・グラッペリ(1908〜1997)、クラリネットはユベール・ロスタン、ピアノはハワード・シェリーの演奏。

3. (未公開)FAUX ET USAGE DE FAUX

1990年製作のフランス映画(英語題名は「FORGERY AND THE USE OF FORGERIES」)。出演はフィリップ・ノワレ、ロバン・ルヌーチ、ロール・キラン、モニーク・ショーメット、カロリーヌ・シロール、フランソワ・ペロー、ジャン=クロード・ブリアリー、ベルナール・ピヴォ、マエール・カムーン、フィリップ・モリエール=ジュヌー他。ポール・パヴロウィッチの原作を基にクリステル・エガル、ジャン=マルク・ロベールとローラン・エイヌマンが脚本を執筆。撮影はロベール・アラズラキ。著名な作家アナトール・ヒルシュ(ノワレ)は、甥のマルタン(ルヌーチ)を別名の作家エミール・アルトゥスに仕立てて小説を書き、ゴンクール賞を受賞する。ロマン・ガリー名義とエミール・アジャール名義で2度ゴンクール賞を受賞したフランスの小説家ロマン・ガリー(1914〜1980)の実話からヒントを得た作品。
サルドのスコアは「Usage de faux」が、ピアノとクラリネットをフィーチャーしたジェントルで美しい曲で、物憂げなタッチがサルドらしい。「Le secret de Copenhague」も、ピアノとクラリネットによる軽快なタッチのジャズ。オーケストレーションはユベール・ブージス。クラリネットはエディー・ダニエルズ、ピアノはハワード・シェリー、ヴァイオリンはマイケル・デイヴィスの演奏。

4. (未公開)LES MOIS D'AVRIL SONT MEURTRIERS

1987年製作のフランス映画(英語題名は「APRIL IS A MURDEROUS MONTH」)。出演はジャン=ピエール・マリエール、ジャン=ピエール・ビッソン、フランソワ・ベルレアン、ギイレーヌ・ペアン、ブリジット・ルーアン、リュック・ベロー、ドミニク・ベルナール、クリスチャン・ブーイエット、ジャン・シェルリアン、ヤン・エプスタイン他。「トレンチコートの女」(1985)等のロビン・クック(aka デレク・レイモンド 1931〜1994)の原作『The Devil's Home on Leave』を基にベルトラン・タヴェルニエ、フィリップ・ブシェールとローラン・エイヌマンが脚本を執筆。陰惨な殺人事件の容疑者としてギャングのグラヴィエ(ビッソン)を追う刑事のフレッド(マリエール)は、精神科の病院に入院している妻によって殺害された娘がまだ生きているかのように、殺人事件の捜査の進展を彼女に話しかける……。
サルドのスコアは「Les mois d'avril」「Ma petite fille morte」が、ピアノによるダークでややとぼけたタッチの曲。「Clara」は、ギターをフィーチャーした物憂げな曲。「Délit d'initié」は、ピアノによるドラマティックでジェントルな曲。演奏はパリ管弦楽団。オーケストレーションはビリー・バイヤーズ。ギターはジョニー・スミス、ピアノはウォーレン・バーンハートの演奏。

5. 海を渡るジャンヌ LA VIEILLE QUI MARCHAIT DANS LA MER

1991年製作のフランス=イタリア合作映画(英語題名は「THE OLD LADY WHO WALKED IN THE SEA」/日本公開は1993年10月)。出演はジャンヌ・モロー、ミシェル・セロー、リュック・テュイリエ、ジェラルディーヌ・ダノン、ジャン・ブショー、マリー=ドミニク・オーモン、エステール・ウィルコックス、レア・ガブリエル、ララ・ギラオ、マッティア・スブラジア他。サン=アントニオ(フレデリック・ダール)の原作を基にドミニク・ルレとローラン・エイヌマンが脚本を執筆。撮影はロベール・アラズラキ。レディM(モロー)とポンピリウス(セロー)は詐欺と恐喝で生計を立てる老カップル。ところがレディMが若いランベール(テュイリエ)に夢中になってしまい……。ジャンヌ・モローが1991年度セザール賞の主演女優賞を受賞したコメディ。
サルドのスコアは「La vieille qui marchait」が、ソプラノ・サックスをフィーチャーした情感豊かで美しい曲で、いかにもサルドらしいタッチ。「Chantage exotique」は、軽快でややコミカルなタッチの曲。「Seul sur cette île」は、ピアノとオーケストラによる静かにドラマティックな曲。「Côte d'Azur」は、ジェントルでリリカルな曲。「Souvenirs de la vieille」は、アコーディオンをフィーチャーした繊細でジェントルな曲。「Petit con a poil」「Aria, bravo Pompilius」は、静かにドラマティックな曲。「Radio Caraïbe」は、アコーディオンをフィーチャーした軽快なダンス・ミュージック風の曲。「Le diadème」は、ピアノによるメランコリックな曲。「Mort de Pompilius」は、ソプラノ・サックスによる情感豊かで気だるいタッチ。「Dénonciation」「Fête chez le maharadja」は、軽快なサスペンス調の曲。「Vieille adolescente」は、アコーディオンをフィーチャーしたジェントルなワルツ。演奏はパリ管弦楽団。オーケストレーションはユベール・ブージス。ピアノはハワード・シェリー、ソプラノ・サックスはスタン・サルツマン、アコーディオンはロラン・ロマネッリの演奏。

6. (未公開/TV)LE DERNIER CIVIL (1984)

1984年製作のフランスのテレビドラマ(180分×2話/英語題名は「THE LAST CIVILIAN」)。出演はマックス・フォン・シドー、トーマス・シュッケ、パスカル・ロカール、マチュー・カリエール、ミシェル・ボーヌ、スザンヌ・フロン、ギュンター・マリア・ハルマー、ウェルナー・ストッカー、ミヒャエル・ホルスト、シシー・ホフェラー他。エルンスト・グレイザーの原作を基にクロード・ヴェイヨが脚本を執筆。撮影はリシャール・アンドリ。1927年のドイツ南西部ヴュルテンベルクを舞台に、ヴァイマル共和国の崩壊とナチス政権の樹立に巻き込まれていく人々を描いたドラマ。
サルドのスコアは「Le dernier civil」が、ハーモニカをフィーチャーしたジェントルでドラマティックな曲。「Retour au pays」「La vendange」「Naissance et exil」も、ハーモニカによる静かにジェントルなタッチ。「Fête à Siebenwasser」は、明るく快活なダンスミュージック風の曲。「Confession au lac」「L'américain」「Contre la violence」「Complot pour le pouvoir」「La vente du domaine」「Bal transatlantique」「Je serai toujours le dernier civil」も、ジェントルなタッチの曲。「Le dernier bal」は、明るく快活なマーチ調の曲。「La réparation」は、ピアノとハーモニカをフィーチャーしたジェントルな曲。演奏はグライムソープ・コリアリー・バンド(イギリスのサウス・ヨークシャー州グライムソープ村に本拠地を置くブラスバンド)。オーケストレーションはピーター・ナイト、ハーモニカはトミー・ライリーの演奏。

(2018年2月)

Philippe Sarde

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