シェイプ・オブ・ウォーター THE SHAPE OF WATER

作曲:アレクサンドル・デスプラ
Composed by AEXANDRE DESPLAT

指揮:アレクサンドル・デスプラ、ドミニク・ルモニエ
Conducted by AEXANDRE DESPLAT and DOMINIQUE LEMONNIER

演奏:ロンドン交響楽団
Performed by the London Symphony Orchestra

(米Decca / B0027674-02)

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2017年製作のアメリカ映画(日本公開は2018年3月)。製作・監督・原案・脚本はメキシコ出身で「デビルズ・バックボーン」(2001)「ヘルボーイ」(2004)「パンズ・ラビリンス」(2006)「パシフィック・リム」(2013)「(TV)ストレイン」(2014)「クリムゾン・ピーク」(2015)等のギレルモ・デル・トロ(1964〜)。出演はサリー・ホーキンス、マイケル・シャノン、リチャード・ジェンキンス、オクタヴィア・スペンサー、マイケル・スタールバーグ、ダグ・ジョーンズ、デヴィッド・ヒューレット、ニック・サーシー、ステュワート・アーノット、ナイジェル・ベネット、ローレン・リー・スミス、マーティン・ローチ、アレグラ・フルトン、ジョン・カペロス、モーガン・ケリー他。共同脚本はヴァネッサ・テイラー。撮影はダン・ローストセン。1962年、ソビエトとの冷戦時代のアメリカ。清掃員として政府の極秘研究所に勤めるイライザ(ホーキンス)は、同僚のゼルダ(スペンサー)と一緒に極秘の実験を見てしまう。研究所に秘かに運び込まれた、アマゾンで神のように崇められていたという不思議な生きものの魅惑的な姿に心を奪われたイライザは、周囲の目を盗んで会いに行くようになる。イライザは子供の頃のトラウマで声が出せなかったが、“彼” とのコミュニケーションに言葉は必要なかった。2人の心は通い始めるが、イライザは“彼”が研究を主導する冷血で高圧的なエリート軍人ストリックランド(シャノン)の実験の犠牲になることを知る……。2017年度アカデミー賞の主演女優賞(サリー・ホーキンス)、助演男優賞(リチャード・ジェンキンス)、助演女優賞(オクタヴィア・スペンサー)、脚本賞、撮影賞、衣装デザイン賞、音響賞(編集)、音響賞(調整)、編集賞にノミネートされ同賞の作品賞、監督賞、作曲賞、美術賞を受賞している他、同年のゴールデン・グローブの監督賞、音楽賞、ヴェネチア国際映画祭の金獅子賞、全米批評家協会賞の主演女優賞、LA批評家協会賞の監督賞、女優賞、撮影賞、英国アカデミー賞の監督賞、作曲賞、プロダクションデザイン賞、放送映画批評家協会賞の作品賞、監督賞、美術賞、音楽賞を受賞している。製作費は約1940万ドル、2018年4月末時点の全世界興収は約1億9435万ドル。

音楽は「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」(2016)「アメリカン・バーニング」(2016)「光をくれた人」(2016)「ヒトラーへの285枚の葉書」(2016)「あさがくるまえに」(2016)「ヴァレリアン 千の惑星の救世主」(2017)「告白小説、その結末」(2017)等のフランスの作曲家アレクサンドル・デスプラ(1961〜)で、上述の通り彼はこのスコアでアカデミー賞の作曲賞、ゴールデン・グローブの音楽賞、英国アカデミー賞の作曲賞、放送映画批評家協会賞の音楽賞を受賞している。「The Shape of Water」は、デスプラ自身の口笛とアコーディオンを織り込んだ幻想的でリリカルなタッチの主題で、この主題は「The Silence of Love」でも登場する。「You'll Never Know」は、ハリー・ウォーレン作曲/マック・ゴードン作詞/ルネ・フレミングのヴォーカルによる主題歌(編曲・指揮はデスプラ)。「The Creature」は、ダークなサスペンス調の曲。「Elisa's Theme」は、アコーディオンをフィーチャーしたジェントルでリリカルなイライザの主題。「Fingers」は、抑制されたダークなサスペンス音楽。「Spy Meeting」は、ジョン・バリー風のサスペンス音楽。「Elisa and Zelda」は、アコーディオン、口笛、ピアノをフィーチャーしたジェントルなワルツ調のラヴ・テーマ。「Five Stars General」「Decency」「He's Coming for You」は、ドラマティックなサスペンス音楽。「Egg」「Rainy Day」は、不気味なサスペンス音楽。「That Isn't Good」は、ドラマティックでセンシュアルなタッチの曲。「Underwater Kiss」は、メランコリックで美しい曲。「The Escape」は、約11分に及ぶドラマティックで重厚なサスペンス音楽。「Watching Ruth」は、ラヴ・テーマを織り込んだドラマティックな曲。「Overflow of Love」は、ピアノとストリングス、アコーディオンによるラヴ・テーマ。「Without You」「A Princess Without a Voice」も、ピアノをフィーチャーしたラヴ・テーマ。最後に挿入歌としてマドレーヌ・ペイルーの歌(作曲はセルジュ・ゲンズブール)による「La Javanaise」、グレン・ミラー楽団の演奏による「I Know Why (And So Do You)」、カーメン・ミランダの歌による「Chica Chica Boom Chic」、カテリーナ・ヴァレンテの歌による「Babalu」、アンディ・ウィリアムスの歌(作曲はマックス・スタイナー)による「A Summer Place」、ルネ・フレミングの歌による「You'll Never Know」を収録。
ラヴ・テーマのホーンティングな美しさが印象に残る。デスプラによると12本のフルートにより滑らかな水中の感覚を描写するとともに、口笛がイライザの声、アコーディオンがクリーチャーの声を表現しているという。アコーディオンはミリアム・ラファルグ、ピアノはデイヴ・アーチ、口笛とジャズ・フルートはアレクサンドル・デスプラ、パーカッションはポール・クラーヴィスの演奏。
(2018年5月)

Alexandre Desplat

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