世界でいちばん不運で幸せな私 JEUX D'ENFANTS
作曲・指揮:フィリップ・ロンビ
Composed and Conducted by PHILIPPE ROMBI
演奏:ベラルト交響楽団
Performed by Orchestre Symphonique Bell'Arte
(仏La Bande Son / 981
046-6)2003
2003年製作のフランス=ベルギー合作映画(英語題名は「LOVE
ME IF YOU DARE」/日本公開は2004年9月)。監督・脚本は「マーガレットと素敵な何か」(2009)「(未公開)ナイトメア・オブ・ロンドン」(2011)「(未公開)レジェンド・オブ・ゴースト
〜カンタヴィル城と秘密の部屋〜」(2016)等のヤン・サミュエル(1965〜)。出演はギヨーム・カネ、マリオン・コティヤール、チボー・ヴェルアーゲ、ジョゼフィーヌ・ルバ=ジョリー、エマニュエル・グリュンヴォルド、ジェラール・ワトキンス、ジル・ルルーシュ、ジュリア・フォール、レティシア・ヴェネチア、エロディー・ナヴァール、ナタリー・ナティエ、ロベール・ウィラー、マヌエラ・サンチェス他。撮影はアントワーヌ・ロッシュ。幼い頃に2人の間だけで始めたゲームを引きずり、本当の愛へ踏み出せない男女を描いたロマンティック・コメディ。ジュリアン(ヴェルアーゲ)とソフィー(ルバ=ジョリー)は小学校の同級生。ジュリアンの母親(グリュンヴォルド)が重い病にかかっていること、そしてポーランド移民であるソフィーがクラスメイトにいじめられていることを忘れようと、2人はあるゲームを始める。相手に「条件」を出し、それがクリアできれば次は相手の番。唯一の鉄則は“相手が仕掛けるゲームに絶対にのる”ということ。先生に汚い言葉を使ったり、校長先生の前でお漏らししたり、お姉さんの結婚式をぶち壊したり……単なる子供の遊びは、ジュリアン(カネ)とソフィー(コティヤール)が大人になるにつれどんどんエスカレートし倒錯の域に達していく。子供の頃の友情はやがて愛情に変わるが、あまりに長い間ゲームによって結託してきた2人は、素直に自分の気持ちを伝えることができない。やがてソフィーとジュリアンは、それぞれ別の相手と結ばれるが……。
音楽は「スイミング・プール」(2003)「戦場のアリア」(2005)「エンジェル」(2007)「危険なプロット」(2012)「婚約者の友人」(2016)等のフランスの作曲家フィリップ・ロンビ(1968〜)。「Ouverture」は、ジェントルかつ大らかで美しいメインの主題(ラヴ・テーマ)による序曲。シンプルで素朴ながらも、ロンビの作品中で最も美しく感動的な主題の1つ。「Love
thème」は、メインの主題のピアノとストリングスによる美しくロマンティックな演奏で、後半ドラマティックに盛り上がる。「Solitude
/ l'escalier du temps」は、ピアノとストリングスによる静かでややメランコリックな主題からメインの主題へ。「Beethov'
fantaisie / cap ou pas cap」は、ベートーヴェンの交響曲第5番の主題を織り込んだややコミカルなタッチの曲。「Jeux
d'enfants」は、ピアノによるメインの主題から明るく快活でダイナミックなサスペンス調へ展開し、後半メインの主題が大らかに盛り上がる。「Les
lunettes magiques」は、フランスのシャンソン歌手エディット・ピアフが歌ったことで有名な「愛の賛歌」(マルグリット・モノー作曲)の引用からメインの主題のサーカス音楽風のバリエーションへ。「Derniers
instants」は、ピアノとストリングスによる静かにジェントルでややメランコリックな曲。「Premier baiser」は、メインの主題を織り込んだジェントルで美しい曲。「Declaration
/ separation」は、ピアノとストリングスによる美しい主題からメインの主題がドラマティックに盛り上がる。「Invitation」は、クールなピアノ・ジャズから後半はピアノ・ソロによるメインの主題へ。「La
vie en rose - Trio Esperanca」は、ブラジルのヴォーカルグループ「トリオ・エスペランサ」による「愛の賛歌」。「10
ans plus tard」は、スリリングなタッチからメインの主題へ。「Mieux que la vie
(poursuite)」は、サスペンス調からメインの主題のダイナミックで躍動的なバリエーションへ。「La vie en
rose - Donna Summer」は、アメリカの歌手ドナ・サマー(1948〜2012)のヴォーカルによる「愛の賛歌」。「Le
meilleur et le pire」は、ダークなタッチからメインの主題へ。「Sous la pluie」は、メインの主題を織り込んだドラマティックなサスペンス音楽。「Pour
toujours (love thème)」は、メインの主題が感動的に盛り上がる。「La vie en rose -
Louis Armstrong」は、アメリカのジャズミュージシャン、ルイ・アームストロング(1901〜1971)のトランペットとヴォーカルによる「愛の賛歌」。「La
vie en rose - Zazie」は、フランスの歌手Zazie(1964〜)のヴォーカルによる「愛の賛歌」。
ドラマティックで美しい。フィリップ・ロンビのベストスコアの1つ。ピアノ・ソロはフィリップ・ロンビ自身、ヴァイオリン・ソロはステファン・ロデスク、チェロ・ソロはレイモン・メイヤール、エレキギターとベースはジャッキー・トリコワール、パーカッションはニコラ・モンタゾーの演奏。
(2018年5月)
Philippe Rombi
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