ドラキュラ DRACULA

作曲・指揮:ジョン・ウィリアムス
Composed and Conducted by JOHN WILLIAMS

演奏:ロンドン交響楽団
Performed by the London Symphony Orchestra

(米Varese Sarabande / VCL 1018 1188)

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1979年製作のイギリス=アメリカ合作映画。監督は「サタデー・ナイト・フィーバー」(1977)「ブルーサンダー」(1983)「ウォー・ゲーム」(1983)「張り込み」(1987)「バード・オン・ワイヤー」(1990)「ニック・オブ・タイム」(1995)「(TV)NIKITA/ニキータ」(2012〜2013)「(TV)ARROW/アロー」(2015〜2016)等のジョン・バダム(1939〜)。出演はフランク・ランジェラ、ローレンス・オリヴィエ、ドナルド・プレザンス、ケイト・ネリガン、トレヴァー・イヴ、ジャン・フランシス、ジャニーン・デュヴィツキ、トニー・ヘイガース、テディ・ターナー、シルヴェスター・マッコイ、クリスティーン・ハワース、ジョー・ベルチャー、テッド・キャロル、フランク・バーチ、ゲイバー・ヴァーノン他。アイルランド人の小説家ブラム・ストーカー(1847〜1912)の原作『ドラキュラ』と、それをブロードウェイ舞台化したハミルトン・ディーンとジョン・ボルダーストンによる戯曲を基にW・D・リクターが脚本を執筆。撮影はギルバート・テイラー。過去に何度も映像化されているストーリーだが、この作品ではドラキュラとルーシーのロマンスに焦点が当てられている。嵐に襲われイギリスのヨークシャー沖で難破した帆船には、吸血鬼ドラキュラ伯爵(ランジェラ)の棺が積み込まれていた。難破地点の近くでジャック・シウォード博士(ブレザンス)が運営する病院には、博士の娘ルーシー(ネリガン)の親友ミナ(フランシス)が静養を兼ねて滞在していたが、深夜に難破船を見に行ったミナは倒れているドラキュラを発見する。シウォード邸に招かれ、生命を助けてもらった礼を言うドラキュラに、ミナはすっかり魅入られてしまうが、その夜寝室にやって来たドラキュラに血を吸われて死ぬ。ミナの父でアムステルダム大学の教授エイブラハム・ヴァン・ヘルシング(オリヴィエ)が、娘の死の知らせを受けてやって来るが、その頃にはルーシーもドラキュラの恋の虜となっていた……。製作費は約1,216万ドル、全世界興行収入は約3,124万ドル。

吸血鬼ドラキュラを演じた役者としては、米ユニヴァーサル製作の「魔人ドラキュラ(DRACULA)」(1931/監督:トッド・ブラウニング)でのベラ・ルゴシ(1882〜1956)と、英ハマー・フィルムの一連のシリーズでのクリストファー・リー(1922〜2015)が特に有名。リーはテレンス・フィッシャー監督の傑作「吸血鬼ドラキュラ(DRACULA)」(1958)以来、ハマー製作の「凶人ドラキュラ」(1966)「帰って来たドラキュラ」(1968)「ドラキュラ血の味」(1970)「(未公開)血のエクソシズム/ドラキュラの復活」(1970)「ドラキュラ'72」(1972)「新ドラキュラ/悪魔の儀式」(1973)で伯爵を演じている他、ジェス・フランコが監督した「(未公開)吸血のデアボリカ(IL CONTE DRACULA)」(1970)でも白髪のドラキュラを演じている。その他、ジャック・パランスが主演したテレビ映画「(TV)凄惨!狂血鬼ドラキュラ(DRACULA)」(1973/監督:ダン・カーティス、脚本:リチャード・マシスン)や、フランシス・フォード・コッポラが監督しゲイリー・オールドマンが主演した「ドラキュラ(BRAM STOKER'S DRACULA)」(1992)等があるが、番外編としては、ジョージ・ハミルトンがダンディな吸血鬼を演じた「ドラキュラ都へ行く(LOVE AT FIRST BITE)」(1979/監督:スタン・ドラゴッティ)や、レスリー・ニールセンのドラキュラとメル・ブルックスのヴァン・ヘルシングが対決するコメディ「レスリー・ニールセンのドラキュラ(DRACULA: DEAD AND LOVING IT)」(1995)なんかもある。

このジョン・バダム=フランク・ランジェラ版の「ドラキュラ」の音楽は、ジョン・ウィリアムスが作曲。これは彼が「スター・ウォーズ」(1977)「未知との遭遇」(1977)「フューリー」(1978)「スーパーマン」(1978)といった傑作を連発していた頃のスコアで、演奏もこの時期に頻繁に組んでいたロンドン交響楽団を起用。このスコアは公開当時の1979年にMCAレーベルが全11曲/約36分収録のサントラLPをリリースしており、1990年に米Varese Sarabandeレーベルが同内容でCD化しているが、この同じVareseレーベルによる「The Deluxe Edition」はCD2枚組で、1枚目には未使用曲を含む全26曲/約72分のスコアを収録、2枚目には1979年版サントラと同じ曲目を収録している。

CD1枚目の冒頭「Main Title & Storm Sequence (Film Version)」は、不吉なイントロから重厚でドラマティックなメインの主題へと展開するメインタイトル。恐怖より格調の高さを強調したホラー音楽。「Meeting in the Cave」「Casting a Spell and The Visitation」「Jonathan Pays a Call」「Into the Crypt」は、抑制されたサスペンス音楽。「A Quick Change」「Dracula Appears」「The Dining Room」「First Kiss」「Dracula Meets Van Helsing」は、メインの主題を織り込んだサスペンス音楽。「Give Me Your Loyalty」は、静かにドラマティックな曲。「For Mina」は、ストイックなトランペット・ソロからドラマティックな主題へ。「Grave Trampling and The Asylum」「The Attack」「The Capture of Lucy」「To Scarborough (Film Version)」「Dracula's Death (Extended Version)」は、ダイナミックなサスペンス音楽。「Night Journeys (Film Version)」「Van Helsing Confronts Dracula」「Waiting for Dracula」は、重厚なサスペンスホラー音楽。「Mina Impaled」は、不気味なタッチの曲。「Van Helsing's Solution」「The Night Visitor」は、ドラマティックな曲。「End Titles」は、メインの主題のバリエーションによるエンドタイトル。最後に追加トラックとして「Main Title & Storm Sequence (Alternate)」「The Love Scene (Extended Version)」の代替バージョンを収録。
全体では全37曲/約109分のスコアを収録。CD Clubリリースで5000枚限定プレス。
(2018年12月)

John Williams

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