レプスキー危機一発/ロシア皇帝の秘宝 TRY THIS ONE FOR SIZE

作曲・指揮:クロード・ボラン
Composed and Conducted by CLAUDE BOLLING

(仏Music Box Records / MBR-076) 2015

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1989年製作のフランス=アメリカ合作映画(フランス語題名は「SAUF VOTRE RESPECT」/日本公開は1990年10月)。監督は「007/ゴールドフィンガー」(1964)「空軍大戦略」(1969)「007/ダイヤモンドは永遠に」(1971)「007/死ぬのは奴らだ」(1973)「007/黄金銃を持つ男」(1974)「ナバロンの嵐」(1978)「クリスタル殺人事件」(1980)「レモ/第1の挑戦」(1985)等のガイ・ハミルトン(1922〜2016)。出演はマイケル・ブランドン、デヴィッド・キャラディーン、アリエル・ドンバール、ギイ・マルシャン、マリオ・アドルフ、ピーター・ボウルズ、ハロルド・イノセント、エドワード・ミークス、ヴァレリー・ステファン、ステファーヌ・ボネ、フランソワーズ・クリストフ、ビル・ダン、マイ・ショー、アン=マリー・フン、ロジーヌ・カドレ他。「エヴァの匂い」(1962)「ある晴れた朝突然に」(1964)「傷だらけの挽歌」(1971)等のイギリスの作家ジェームズ・ハドリー・チェイス(1906〜1985)の原作を基にセルジオ・ゴッビ、アレック・メディーフとガイ・ハミルトンが脚本を執筆。撮影はジャン=イヴ・ル・メネール。イタリアのプロデューサー、セルジオ・ゴッビがジェームズ・ハドリー・チェイスの原作をシリーズで映画化した“チェイス・プロジェクト”の第一弾で、元刑事の保険調査員トム・レプスキー(ブランドン)の活躍を描く(原作は1980年出版の『Try This One for Size』で、主人公は映画化に当たりマイアミのパラダイス・シティ警察の刑事から保険調査員に変更されている)。ニースの博物館から、多額の保険金がかけられた16世紀ロシア美術を代表するマリア像が盗まれた。フランスを拠点とする国際保険会社の調査員レプスキーは、その犯人が刑事時代に彼が追っていた美術品専門の窃盗犯ブラッドレー(キャラディーン)であると突き止め、愛車プジョーを駆って追跡を開始するが……。監督に「007」シリーズのベテラン、ガイ・ハミルトンを起用しているが、中身はコメディ・タッチのアクション作。マイケル・ブランドン主演のレプスキー・シリーズは、その後「レプスキー絶体絶命/その男凶暴につき(BELIEVED VIOLENT)」(1990/監督:ジョルジュ・ロートネル、共演:ロバート・ミッチャム、マリー・ラフォレ)、「レプスキー大胆不敵/ジェネシスNo.18(HAVE A NICE NIGHT)」(1990/監督:ジュノー・シュウォーク、共演:ギイ・マルシャン、マリサ・ベレンソン)、「レプスキー最後の挑戦/コートダジュール殺人事件(WANT TO STAY ALIVE?)」(1990/監督:クロード・ベルナール=オーベール、共演:ギイ・マルシャン、カトリーヌ・エラルディ)の3本が製作されている。

音楽は「ボルサリーノ」(1970)「もういちど愛して」(1971)「おかしなおかしな大冒険」(1973)「フリック・ストーリー」(1975)「カリフォルニア・スイート」(1978)「ピラミッド」(1980)「トレンチコートの女」(1985)等のフランスの作曲家クロード・ボラン(1930〜)。ボランは本シリーズの「レプスキー大胆不敵/ジェネシスNo.18」「レプスキー最後の挑戦/コートダジュール殺人事件」のスコアも作曲している(「レプスキー絶体絶命/その男凶暴につき」のスコアはステルヴィオ・チプリアーニ)。冒頭の「The Key」は、ダイナミックなイントロからアメリカのジャズ歌手ディー・ディー・ブリッジウォーターのヴォーカルによる明るくジェントルな主題歌へと展開(作曲:クロード・ボラン、作詞:ニコール・クロワジーユ)。「007」風の主題歌で、ブリッジウォーターはこの後の「レプスキー絶体絶命/その男凶暴につき」でも主題歌を歌っている。「Red Car」「Hotel Majestic Source #1」「Café Carol」「Into Switzerland」「Bus Confrontation」「Hotel Majestic Source #2」「Red Car (Long Version)」は、ボランらしい軽快でクールなジャズ。「Bradley's Call」「Bradley's Disguise」は、明るく軽快なサスペンス音楽。「Russian Exhibition (Part 1)」「Russian Exhibition (Part 2)」は、ロシア風のマーチの主題で、ややコミカルなタッチ。「Theft and Panic」「Bradley's Business」「More Panic」「The Madonna Returns」は、ジャズ・ベースのサスペンス音楽。「Musette Source」は、アコーディオンとピアノをフィーチャーした明るく軽快なワルツ。「Lepski's Theme (Piano Source)」は、ボラン自身の演奏によるライトなピアノ・ジャズ。「Maggie's Seduction」「Drive in the Alps」は、ジェントルで気だるいタッチ。「Run from Carol」は、ライトなピアノ・ジャズからジャズ・ベースのサスペンス音楽へ。「Fight with Bradley」は、ダイナミックなビッグバンドジャズ。クロード・ボランらしい軽快でクールなジャズが実に楽しいスコア。アコーディオンはマルセル・アゾーラ、ギターはジャン=ポール・シャルラップ、ダブルベースはピエール=イヴ・ソラン、ドラムスとパーカッションはヴァンサン・コルデレットの演奏。

このスコアは公開当時に仏Disques Adèsレーベルより主題歌「The Key」のヴォーカル版とインストゥルメンタル版を収録したシングル盤が出ていたが、このMusic BoxレーベルのCDはフルスコアの初CD化で、350枚限定プレス。
(2019年2月)

Claude Bolling

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