(未公開)THE SALAMANDER

作曲:ジェリー・ゴールドスミス
Composed by JERRY GOLDSMITH

指揮:ニック・レイン
Conducted by NIC RAINE

演奏:プラハ市フィルハーモニー管弦楽団
Performed by the City of Prague Philharmonic Orchestra

(ベルギーPrometheus / XPCD 174) 2013

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1981年製作のアメリカ=イタリア=イギリス合作映画。監督はオーストリア出身で「プロフェッショナル」(1966)「ゴッドファーザー」(1972)「ゴッドファーザーPART II」(1974)「スター誕生」(1976)「愛と青春の旅だち」(1982)「ファイティング・キッズ」(1991)等の編集を手がけ「ディア・ハンター」(1978)でアカデミー賞の編集賞を受賞しているピーター・ジンナー(1919〜2007)。出演はフランコ・ネロ、アンソニー・クイン、マーティン・バルサム、シビル・ダニング、クリストファー・リー、クラウディア・カルディナーレ、イーライ・ウォラック、クリーヴォン・リトル、ポール・L・スミス、ジョン・スタイナー、レンツォ・パルメル、アニータ・ストリンドバーグ、マリーノ・マセ、ジャック・エルラン、フォルテュナート・アレナ他。「栄光の座」(1968)「(未公開)デスボーダー」(1985)「(未公開)第2の勝利」(1986)等のモリス・L・ウェスト(1916〜1999)の原作を基に「(TV)ミステリー・ゾーン」(1959〜1965)「5月の7日間」(1963)「(TV)夜空の大空港」(1966)「猿の惑星」(1968)「(TV)四次元への招待」(1969)等のロッド・サーリング(1924〜1975)が脚色し、「(未公開)裂けた鉤十字/ローマの最も長い一日」(1973)「カサンドラ・クロス」(1976)等のロバート・カッツ(1933〜2010)が脚本を執筆。撮影はマルチェロ・ガティ。ファシストのパンタレオーネ将軍(アレナ)が殺害され、現場にはサラマンダー(火の中に住むとされる伝説上の怪物)の絵が残されていた。事件を捜査するイタリア国家治安警察隊のダンテ・マトゥッチ大佐(ネロ)とステファネッリ大尉(バルサム)は、将軍の愛人でポーランド人のスパイ、リリー・アンダース(ダニング)を事情聴取し、彼女がレポレッロ将軍(ウォラック)による政府転覆の陰謀を調査していたこと知る。その事実を上司である諜報部門長のバルダサーレ王子(リー)に報告したダンテは、捜査の中止を命じられるが……。

音楽はジェリー・ゴールドスミスが作曲しており、これは彼が「エイリアン」(1979)「スター・トレック」(1979)「(TV)炎の砦マサダ」(1981)「オーメン/最後の闘争」(1981)「アウトランド」(1981)「ポルターガイスト」(1982)「ランボー」(1982)といった傑作スコアを手がけていた時期の作品。オリジナル音源は紛失したとされており、譜面も入手できなかったため、オーケストレーターのリー・フィリップスが(本作のDVDの音声を耳で聴いて)スコアを全てリコンストラクトし、ニック・レインの指揮により新たに再録音したもの。
「The Salamander Main Titles」は、ダイナミックなファンファーレからパーカッシヴでスリリングかつサスペンスフルなメインタイトルへ展開。「Funeral: Requiem for a General」は、コーラスを織り込んだ荘厳なレクイエム。「Woodpecker / Neo-Fascist Training / Lawyers / Dead People」「Dante Runs Upstairs / The Surgeon」「The Car Chase」「The Guests Arrive / After the Show Ended」は、パーカッシヴでダイナミックなサスペンス音楽。「Dante and Lili」「Photographs / Steffi's Abduction」は、ハーモニカをフィーチャーしたリリカルでややメランコリックな主題。「Island Adventure」「Dante / Zurich / Lili」は、抑制されたサスペンス音楽。「Manzini / Assassination Attempt」は、サスペンス調から後半ドラマティックな主題、ハーモニカによるリリカルな主題へ。「Steffi's Dead / The Mortuary」は、ドラマティックでメランコリックなタッチ。「Car Bomb / Torture / Death of the Surgeon」は、抑制されたサスペンス音楽からダイナミックなアクション音楽へ展開。「Phone Call to Lili / The Forest」は、リリカルでドラマティックな曲。「Goodbyes & End Titles」は、メランコリックな主題からダイナミックなファンファーレ、メインの主題へと展開するエンドタイトルで、曲の簡潔なクロージングがゴールドスミスらしい。最後にボーナストラックとして同じプラハ市フィルの演奏による「カサンドラ・クロス」(1976)「オスロ国際空港/ダブル・ハイジャック」(1975)のコンサート組曲を収録。
ゴールドスミスが得意とする職人芸的なサスペンス・スコアで、ここでのプラハ市フィルの演奏・録音もリアリスティックで良い。
(2019年4月)

Jerry Goldsmith

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